夏の陽と月
28.*****
「なんであやまるんだよ」
そんなの、知ってるぜ?
そう言って、俺は笑って返した。
「俺は、ミツキのパートナーだからな! ミツキの旅の目的は、俺の目的なんだ。だから、あやまることねーんだよ」
窓ぎわに移って、外を見た。
今はちょっと、ミツキと目、合わせらんねぇや。
外からは海辺の町らしく、コアルヒーやキャモメの鳴き声がする。
やっぱ帰りたいのか、ミツキ。
そりゃあ、そうか。そうだよな。
ミツキには、ミツキの世界があるんだから。
俺の知らない世界が、あるんだから。
いつかこういう話になるんだろーな、とは思ってた。
いや、もうちょっと早くに話してても良かったのか。
ミツキと一緒にいるのが楽しくて、つい先延ばしにしちまったのかな、俺。
あーあ、早くに話してれば、こんなにつらくなかったのかなぁ。
……分かんねぇや。
「でもさ、俺、考えたんだよ」
そう言って、ミツキの方へふり返る。
ふり返ってみて、びっくりした。
ミツキが、今にも泣きそうな顔してたから。
……ミツキって、意外と泣き虫だよな。
やっぱり、俺がしっかりしねーと。
俺は、ミツキのパートナーだからな。
しっかり守って、ちゃんと送ってあげよう。
ミツキの、元いた世界へ。
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