夏の白い人
41.真っ青な高い空に、色とりどりの旗がぱたぱたと海風に揺れる。
様々な出店には威勢のいい店員が客の呼び込みをしており、カラフルな商品たちは太陽に照らされてきらきらと光っている。
土産物や食べ物などスタンダードなものから、ポケモンに技を教えるといった一風変わったものまで、その種類は様々だ。
そこには様々な人とポケモンでごった返しており、それぞれが楽しそうに行き来している。
何だかお祭りの様で、私もつい気分が浮ついてしまう。
ここは、ポケモンワールドトーナメントの会場前。
PWTと略されるこの場所には、各国からポケモンバトルにおける強豪トレーナーが集い、トーナメント式のポケモンバトルが日々行われているのだという。
因みに強豪トレーナーとは、ただの一般トレーナーのレベルに留まらない。
各地方のジムリーダー、ポケモンリーグの四天王、そして、リーグチャンピオン……。
そんな桁違いの強さを持った者達までが参加するのだ。
彼等のポケモンバトルを一目見ようと、ここには世界各国から人々は集まってくる。
今日行われるのは、イッシュリーダーズと呼ばれるトーナメント。
その中に、アーティさんも出場するのだという。
明日、特に行く宛が無いのならPWTに来るといい。
そうアーティさんが誘ってくれたのだ。
正式なポケモンバトルを見た事が無かった私にとっては、良い機会だった。
「なんで俺が、アーティの試合を見なくちゃいけねぇんだよ……」
不機嫌そうに陽が呟く。
今朝からずっとこんな感じだ。
よっぽどアーティさんの事が苦手らしい。
当のアーティさんはというと、陽が自分の事を好かないのは自分が虫タイプポケモンの使い手で、陽が虫に苦手な悪タイプだからなのでは、と解釈しており、あまり気にしていない様子だった。
……そういうものなのだろうか。
ポケモンには、そのタイプによって相性というものがあるらしい。
炎タイプは水に弱く、水は草に弱く、草は炎に弱い、といった具合だ。
陽の正体、ゾロアークのタイプは悪タイプなので、虫タイプや格闘タイプ、フェアリータイプに弱いらしい。
どういう原理なのかは分からないが、陽の様子を見るに、嘘では無いのだろう。
「あ、見えたわよ。あそこね」
赤や青のライトに照らされた本会場の入り口が見える。
さあ、一体どんなものが見られるのだろう。
隣でぐずついている陽を尻目に、私はわくわくとした気分でその門を潜った。
prev / next
[ back ]