夏の白い人
48.「また会いましょう! 絶対よ! 次は、一緒にお茶するんだからね!」
そう言って、カルネさんはボディガード達と共にPWTの敷地外へと消えていった。
夕陽に照らされた海を背景に手を振る彼女を見ていると、まるで映画のワンシーンを観ているかの様な錯覚に陥る。
それ程までに、彼女の立ち振る舞いは完璧だった。
彼女の人気の理由は、単なる強さや美しさでは無いと思う。
そのにじみ出るオーラはもちろん、どこか気品のある仕草やその人柄でさえも、人々を魅了しているのだろう。
「なんだミツキ、もしかしてカルネのファンになっちまったのか?」
からかう様に陽は訊いて来るが、まんざらでも無い気がする。
「あははっ。そうね、とても素敵な人だったわ」
ファンになっちゃったかも。
そう正直に応えると、彼は意外そうな表情をした。
「陽は苦手? カルネさんの事」
そう訊くと、陽は首を横に振った。
「いや、最初は変なやつだと思ったけど……。話してみると、なかなか楽しいやつだったよな」
お茶、楽しみだな。
そう言って、にっと笑う彼。
うん。本当に楽しみ。
いつになるかは、分からない。
けれど約束したのだから、いつかきっと。必ず。
彼女の去った風景は、主役を失った絵画の様だった。
ただ時が過ぎていき、次なる役者を待つ様に、先程まで吹いていた風はいつの間にかぴたりと止んでいた。
なびかずにただ垂れ下がる色とりどりの旗は、明日に備えてもうじきその出番を終える。
その中を足早に後にし、それぞれ帰路に着く人やポケモン達。
試合後の気持ちの良いざわめきを、西日に照らされた雲が静かに見守っていた。
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