11.

内緒なんですが、僕、さっき彼女に嘘を付きました。
実はこの雨、もうすぐ止むんです。
彼女と相合傘をしたくて、つい、ね?
……え? やり方が汚い?
いやね、普段から真面目だと、こういう嘘を付いてもバレないんですよ。
大目に見てやってください。

案の定、雨はやがて小降りになり、太陽が顔をのぞかせました。
ビルの谷間から、太陽が差し込みます。
ただ少し風が吹いてきたためか、雲はありませんが小雨が降っています。

「雨……、止みそうですね」

「ええ、おかしいですね。風向きが変わったのでしょうか」

なんて、とぼけてみせます。
でも彼女は、そうなんですか、と納得しています。
ほら、バレないでしょう?

「あ、もう大丈夫ですかね」

そう言って、傘の外へ出てしまった彼女。
自分から出ていっちゃうんですか…。
ちょっと残念です。
名残惜しい気持ちを抑えて、僕も傘を畳みます。
すると、

「わぁ! 凄いです!」

突然、大きな声を出す彼女。
どうしたのでしょう。

「私、久しぶりに見ました! 虹!」

え? 虹?
そう言う彼女の指さす方へ、僕も視線を向けました。
すると、ビルディングの隙間からうっすらと、小振りな虹が見えました。


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