その後、東卍幹部が集められてタケミっちが黒龍のアタマにボコられた事、その黒龍のアタマが八戒の兄って事を幹部全体に伝えられた。そして、三ツ谷くんが黒龍のアタマに会いに行くと言うので、俺とタケミっちも着いていく事にした。

黒龍の頭、大寿のところに向かっていると聞き覚えのある声が聞こえてきた。

「あれ、千冬じゃーん」
「ほんとだ、千冬だー」
「ウッス」

なまえさんのお友達軍団と遭遇した。けどその中になまえさんはいなかった。お友達軍団は俺がこんなイカつい男と一緒にいるのに平気で話しかけて来てさすが女子かよと思った。八戒なんて驚いて固まってしまった。そして三ツ谷くんが不思議そうな顔をして俺に話しかけた。

「千冬、知り合い?」
「学校の先輩っす。なまえさんといつも一緒にいる」
「え、この人たちもしかして他校のなまえファン?」
「まじ?どうも〜、なまえと仲良くしてる友達です〜」
「あれ?君たまになまえと一緒に帰ってる人じゃん!」
「ほんとだ〜!」

お友達軍団から雪崩のように言葉が流れてくる。俺に話す隙を与えないスピードでポンポンと会話が進んでいた。

「なまえの友達か。どうも、いつも世話になってるな」

三ツ谷くんはビジュアルもかっこいいし髪型とかも目立つからやっぱり知られていたようだった。お友達軍団は東卍の事をそこまで知らなさそうだったから、八戒とタケミっちの説明はしにくいしいいか。

「あー、先輩達こんなところで遊んでんすか?」
「ここらへんに新しいカフェが出来たから行ってくんの」
「ちなみになまえは隣のクラスの猪倉くんに呼び出されてるから後から合流だよ〜」
「ハァ、またっすか」
「は?」

俺からするとなまえさんの呼び出しはよくある事だから『またか』くらいの感覚だけど、三ツ谷くんからしたらあまり慣れていないから気が立つのだろう。

「お、他校の人は知らない?」
「なまえはうちの学校でズバ抜けてモッテモテだから頑張れ〜」
「そんなモテんの?」
「まぁ、高嶺の花って言われてる人なんで」

三ツ谷くんはなまえさんがモテるとは思っていただろうけど、正直予想を上回るモテ具合だと思う。同中なのが誇らしい。

「他校にファンクラブもあるよ」
「まじで?」
「そうそう、池袋の学校の人達がこの前なまえを見に校門に来てた」
「え…なまえさんそんなスゲーの」

タケミっちも驚いて俺に小声で耳打ちしてきた。俺は黙って頷いておいた。

「ま、みんな頑張って〜」
「千冬また学校でね〜」
「ウッス」

嵐のように去っていくお友達軍団。お友達軍団は俺ら全員をなまえさんのファンだと思っているみたいだけど、もう訂正するのも面倒だ。

俺らは止めていた足を動かして再び大寿のところに向かった。案の定三ツ谷くんからはさっきの話題を振られた。

「なまえのダチ明るいな」
「そうっすね。いい人達っすよ」
「やっぱいいな。なまえと同中なの」

その言葉を聞いてタケミっちはまた俺にコソコソと耳打ちをしてきた。

「えっ、三ツ谷くんもなまえさん好きなの!?」

俺はまたも黙って頷いておいた。タケミっちが小声で『スゲーな…』とボヤいていたけど無視しておいた。

「てか他校にファンクラブとかあんの?」
「俺も噂で聞いた事しかないっすけどあるらしいっすよ」
「なまえさんすげーな…」

女と話さないで有名な八戒ですらなまえさんを認識していた。もしかしたら三ツ谷くんと一緒にいたりするし顔合わせた事もあるのかもしれない。

「しかもよく呼び出されてんのかよ。猪倉って誰?」
「あー、俺も知らないっすけどたぶんなまえさんと同い年の人だと思います」
「そいつといい感じなの?」
「いや、なまえさんに告る奴は多いっすけどOKした人はいないって聞くんで猪倉って人もダメなんじゃないっすかね」
「なまえ、いつも告白断ってんのか」

三ツ谷くんは少しだけ機嫌を直していた。この感じ、三ツ谷くんはまだなまえさんの過去の話を知らないのかもしれない。それだけで優越感に浸っている俺は小さい男だなと自笑した。

「ま、俄然燃えてくんな」
「タカちゃんさすがだな」

三ツ谷くんはライバルがいるほど燃えるタチなんだと思う。この三ツ谷くんの余裕そうな感じがもう負けてんだよな、俺。

「自信なんてねーけどな。よし、んじゃ切り替えて。今は大寿の方を解決すんぞ」
「うん、そうだな」
「ウッス」

三ツ谷くんはなまえさんにどれくらいアピールしてんだろ。三ツ谷くんならガッツリ行ってそうな感じするのが怖え。

なまえさんの事を一度考えると切り替えが上手く出来ないところが俺の悪いところ。三ツ谷くんのカッケー背中を見て俺もシャキッとした。さて、切り替えて行こう。

強敵の存在





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