あの集会の後、みょうじ先輩は校内でも声を掛けてくれるようになった。入学早々から先輩をノした俺を怖がる人が多かったけど、みょうじ先輩は幼馴染が俺よりつえーからそんなのお構いなしで清々しい。
今日も登校時に、いつもいる友達3人と仲良く歩くみょうじ先輩を見かけた。
「あ、なまえ。千冬くんいるよ」
「ほんとだ」
「わ!千冬くん!ヤッホー」
ちょこちょこ話しかけてくれる事もあって、みょうじ先輩と仲良い友達からは認知されるようになった。マジで俺進展したと自画自賛する。
「ウッス!」
「圭ちゃんは?遅刻?」
「寝坊らしいんでもう少しで来ると思います」
「また寝坊?学習しないな〜。千冬くんの方が全然しっかりしてるよね」
高嶺の花と言われている先輩も、話すとすっげー気さくで、手の届かない存在と思っていた時よりも近付きやすい人柄だった。そこもマジでいい。
そこから少し話して、俺とみょうじ先輩は分かれた。
「千冬まじで羨ましいわ」
「後輩で話しかけられてんのお前だけじゃね」
「…いや、そんなことねーよ」
お前らは知らねぇだろうけど、みょうじ先輩の幼馴染が別クラにいんだよ、ボケ。と心の中で悪態をつく。言えねえけど。
こうして俺はみょうじ先輩と少しづつ会話を増やしていき、距離を縮めている。三ツ谷くんは集会でしか会えないけど俺は学校でも会えると、どこか優越感に浸っていた。俺は三ツ谷くんを舐めてた。
その日の帰り、場地さんは放課後に用事があるようだったので俺は一人下駄箱を抜けて校門に向かってると、校門に他校の男がいた。少し近付くと三ツ谷くんだと気付いた。あ、また嫌な予感。
「あれ?三ツ谷くん?どうしたんスか?」
「おー、千冬。今なまえ待ってんだけど」
「い、一緒に帰る約束ッスか?」
「そー。集会だけじゃ俺が待てなくて。たまに放課後とか遊び誘ってんだよ」
好きと言う事を知ってる俺だからか、三ツ谷くんはすげー素直にいろいろ話してくれる。三ツ谷くんはやっぱり俺よりも先をいっていた。同じ学校だからと余裕を感じていた事がダサすぎる。
「学校が違うとなかなか攻めれねえからさ。千冬が羨ましいよ」
「…三ツ谷くんっていつからみょうじ先輩の事好きなんですか」
三ツ谷くんは三ツ谷くんなりに焦ってるんだと思った。でも、本気で好きで本気で好きになって貰おうと頑張ってるのも伝わる。俺とは雲泥の差だな。
「あー、いつだろ。けど、一目惚れに近かったかもしれねぇな」
「三ツ谷くんも一目惚れとかするんスね」
「なまえだからなんじゃねーかな」
これ以上話してると俺がダメなのが如実に分かってメンタルがやられると悟り、もう会話を終えて帰る方向へ持っていくことにした。
「…そっスか。それじゃあ楽しんでくださいね」
「おー、千冬もまた集会でな。気を付けて帰れよ」
三ツ谷くんに頭を下げてそそくさとその場を後にした。背後から俺の大好きな声で三ツ谷くんの名前を呼ぶ声が聞こえた。
あー、まじで強敵すぎんだろ。