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週明けの学校で朝から絵麻に非常階段に呼ばれた。

「治と付き合った」
「…ほんまに!?わー!!おめでとう!!!やっと!!!よかったー!!」

絵麻と治くんがついに恋人同士になったと聞いて、本人以上に大喜びをする。絵麻は恥ずかしそうにしててほんまかわええ。

「まぁ治くんあれだけ絵麻大好きアピールしてたし、分かってたやろ?」
「そうやけど、治ってファン多いし大っぴらにしてもええんかなってちょっと迷っとって」
「絵麻くらいの美人やったら認めるしかないやろ、治くんの彼女なんて」

実際に絵麻は女の子からも憧れられてる。確かに治くんってガチ恋勢多いし不安になる気持ちも分からなくはない。

「もし呼び出されたりしたら私には教えてや」
「…ありがと」

こんなビッグカップル周りにバレるのも時間の問題やと思うし、治くんは普通に彼女として扱いそうな気がする。私としてはダブルデートもしたいと思ってたからそっちの方が嬉しいけど、絵麻の気持ちが1番重要だ。

その後教室に帰ると早速治くんは絵麻のところへ来ていた。治くんにおめでと、と伝えると察した治くんが嬉しそうにありがとな、と言ってくれた。

体育祭が終わってすぐのはずなのに、ホームルームで文化祭の話が出た。本格的にはまだ動かないけど各クラス何をやるかを早めに決める必要があるそうだった。

うちの文化祭は1日目に模擬店、2日目は出し物やミスコンがある。そして最後に後夜祭があって文化祭が終わる。後夜祭は女装コンテストやサプライズステージがあるらしい。サプライズステージは基本告白とかするって先輩から聞いた。

委員長の進行で候補を出していく。猫耳メイド喫茶、コスプレたこ焼き、ギャルとギャル男のクレープ屋、等いろんなアイデアが黒板に書き出され、その中で話し合った結果『ギャルとギャル男のたこ焼き屋』に決まった。クラスメイト全員が喋り方も含めてギャル、ギャル男になるらしい。

ギャルメイクとかした事ないから葉月あたりに任せようと絵麻と決めて、治くんも混ざり私たちは何着るかを話していた。

「絵麻、スカート短すぎんのやめてや」
「ギャルやのに?」
「そんなん知らへん。絵麻ギャルちゃうし」

この2人は隠す気ないのか平気で恋人っぽい会話(主に治くん)をしている。

「なまえは?何着る?」
「無難に制服にルーズソックスとか?」
「平成ギャルな、うちもそうしよかな」
「絵麻黒髪ギャルでかっこええやん」
「なまえは今の髪色ギャル感あってむっちゃかわええやん」

ブリーチをしたミルクティーカラーは私のお気に入りで、高校に入ってからこの髪色をリタッチし続けているためずっと髪色を変えていない。

「やろ?お気に入りやから文化祭もこのままでいくつもり」
「ええやん。俺ギャル男とかよく分からんのやけど」
「シャツのボタン半分くらい開けて胸元見せとけばええんちゃう?」
「それキモない?」
「キモい」
「なんやねん」

3人で「ギャル男」と検索をして探し出し、「髪のトップを盛ってM字バング」案を渡した。服は制服のシャツ開けてネクタイ緩くしてたらええやろ、と適当に言っておいた。

その日の文化祭の話題はそこで終わり、その後は普通の授業だったが女子は文化祭が楽しみなのかギャル用の服等を検索して盛り上がっていた。そして私達の席に葉月がキラキラと輝く笑顔で来た。

「なまえと絵麻のギャル、うちと凛華でプロデュースしてもええ?」
「え、むっちゃ普通に制服とかにしようとしてたんやけどあかん?」
「あんたらは看板なんやからもっとシャキッとしてや!」
「ご、ごめんなさい」

私達はプロデュースされるらしく彼女達にお任せする事にした。

昼休み、今日は食堂で食べようと絵麻と話していたので早めに向かうと、倫太郎くん達のバレー部に会った。流れで一緒に食べる事になり倫太郎くんの隣、侑くんの前のポジションに座る。侑くんを少し気にしてしまったけど、侑くんはいつも通りに接してくれてたので安心した。

「そういや文化祭何になったん?」
「俺のクラスはお化け屋敷」
「4組は猫カフェ」
「え、猫おるの?」
「俺らが猫」

倫太郎くんが真顔で言うと爆笑する侑くんと治くん。銀島くんも笑っていた。

「角名がニャーとか言うん?」
「お前が猫とかもう猫って思い込んでるチベスナになるやん」
「うるさいよ」

私は猫耳着ける倫太郎くんが見れるのが楽しみでニコニコしていると、それを見た侑くんに突っ込まられた。

「なまえちゃんニコニコしとるけどニャーって言う角名楽しみなん?」
「うん。絶対普段言わへんから動画撮ろうって決めた」

そう言うと侑くんに爆笑された。

「侑のクラスは?何すんの?」
「俺らはコスプレからあげ屋」
「ツム何やるん?」
「俺執事やって」
「へー」
「ふーん」
「ふぁ〜」
「もっと興味持てや。角名はあくびやめろ。んで、サムのとこは?」
「3組はギャルとギャル男のたこ焼き屋」

そう言うと目を輝かさせる倫太郎くんと侑くん。

「えっ、なまえちゃんもギャルになるん!?」
「なまえミニスカとか履くの?」
「ミニスカは分からんけどギャルにはなるつもり」
「むっちゃ楽しみやん!絶対かわええ!」
「あんまり露出しないでよ?」
「あー、なんかな、友達が私と絵麻をプロデュースするって意気込んでて、その子らが服とかも決めてくれんねん。一応露出少なめでとは言っとくよ」

そう言うと倫太郎くんは納得してくれたようで、ご飯を食べすすめていた。

「てかなまえちゃんと絵麻ちゃんミスコン出えへんの?」
「クラスの子にも推されたんやけど出るつもりあらへんよ」
「うちも」
「なんでー?出ればええやん。絶対優勝するで」
「ミスコンとか先輩がむっちゃ張り切ってそうやんか。一年で出る子ほぼおらんって言うし。これで出たらなんか自惚れハッピー野郎になるやん。恥ずいわ〜」
「推薦枠とかあるしええんちゃう?」
「クラスの子が推薦枠使うとか言い始めたからさっき必死で止めたところ」

勿体無いなぁ〜、と侑くんがガッカリしていたが、倫太郎くんは表情を変えずにご飯を食べている。

「角名も出て欲しいやろ?俺の彼女こんな可愛いんやで!ええやろ!って」
「え、いや。むしろ出なくていいよ。もう十分知れ渡ってるんだからこれ以上知られなくていい」

そう言うと全員が目を丸くして倫太郎くんを見た。

「角名って恋愛するとそんな感じなんやな」
「全然クールちゃうやん」
「女の子が今の聞いたら角名くんむっちゃ好感度上がるで、今のセリフ」
「いや、普通にただの本音だから」








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