05
人が少なくなった頃にゆっくりと下に降りていくと、前から治くんと侑くんが歩いてきた。
「絵麻達やん。今日どうやった?」
「むっちゃかっこよかったで!ほんま普通に感動したわ。お疲れ様」
「結城さんありがとな!みょうじさんは?どうやった?」
「ほんま凄くてむっちゃ楽しかった!また見に来よかなって思ったで!」
「俺かっこよかった!?」
「侑くんが打つボールむっちゃ速くて凄かった!」
「うわ!みょうじさんに褒めて貰った…むっちゃ嬉しい…」
わたしが侑くんと話してると、横では絵麻と治くんも2人で楽しそうに話してた。
「みょうじさん達もう帰るん?」
「んー、特に何も考えてへんけど、用事は無いから絵麻とどっか寄って帰ると思う」
「そんなら俺らと一緒に帰ろうや!今日はもう片付けてあと帰るだけやねん」
「ご一緒してええの?」
「むしろお願いしたいくらいや」
絵麻達も私らの会話を聞いていたようで、「ええやん、一緒に帰ろうや」と治くんも言ってくれた。絵麻はもちろん速攻で承諾をしていた。
片付けまでもう少し時間がかかるから、学校近くのコンビニで待つ事になった。メイクを少し直してパックジュースを買い、イートインスペースで今日の感想とかを話して時間を待った。
「今日で角名くんファン増えそうで嫌やな〜」
「確かに双子に紛れてたんが、今日の練習試合で大っぴらになった感はあんな〜」
「やめてや〜」
「治やって今日の練習試合でガチ恋勢加速させてる感あったし一緒やろ」
「ま、確かにそうやな」
「俺が何やって?」
平然と恋バナをしてた時に約束していた双子2人とまさかの角名くんと銀島くんもいた。
「す、角名くん達もおったんや…!お疲れ様!」
「お疲れ。2人が応援してくれたからお礼したくて一緒に来ちゃった」
「来んな言うたんやけどなー」
「侑ほんま意地汚すぎやろ」
角名くんが来てくれて嬉しい反面、さっきの会話をどこまで聞かれてたか気が気じゃなかった。
「ほんでー?俺の悪口でも言うてたん?」
「ちゃうって。治活躍しとったからファン増えたやろうなーって話しててん」
「結城さん、俺も活躍しとったで!?」
「侑くんも侑くんも」
「結城さん侑に対してむっちゃ適当やん」
コンビニ内で駄弁ってるのもあかんから、アイスでも買って食べながら帰る事にした。
「今日みんな頑張っとったから、うちらがアイス奢ったるよ。な、なまえ」
「ええね!何がいい?」
「いやいや!!!!そんな事したら俺ら稲高生にどつかれるわ!!」
「むしろわざわざ応援に来てくれた2人に俺らが奢るよ」
「いやいやほんまに!今日のみんなむっちゃかっこよくて感動したし、ほんま楽しかったから」
「うん、ほんまに。お礼というか差し入れと思って貰ってくれると嬉しいねんけど」
絵麻と私の説得の言葉が伝わったのか、ほんなら…とアイスを選ぶバレー部4人。みんな気を遣ってくれてるのか、中でも安めなアイスを手に取る彼ら。
「いや、せっかくの奢りやで?こっちとかは?ハーゲン⚪︎ッツもあるで」
「運動後やし甘ったるいのよりこっちのソーダ味が食いたいねん。ほんまに」
「そうなん?ほんならええけど」
確かにあれだけ体を動かした後はバニラアイスとかよりも、爽やかなアイスが食べたくなる気持ちはよく分かる。角名くんもガリ⚪︎リくんのコーラ味を選んでいた。
「角名くんはコーラ味なんやね」
「うん。ソーダはどこにでもあるけど、コーラ味って売ってない所もあるから」
「確かに。いつもガリ⚪︎リくん食べてるん?」
「いや、いつもはチューペットが好きで食べてるよ」
「チューペットって、ポッキンアイス?」
「そうそう。だからガ⚪︎ガリくんはいつもより豪華」
角名くんチューペット好きなんや。新しい事を知れた事も、角名くんと普通に話してる事もすごく嬉しかった。
「みょうじさんは何食べるの?」
「私はこのチョコアイスにする」
「あぁ、確かにみょうじさんっぽい」
「なぁ、なにを二人の世界に入っとんねん。角名、なまえちゃんから離れろや」
「ツムは何シレっと名前呼びしとんねん」
侑くんの不機嫌そうな声でハッとした。嬉しくて周りが見えていなかった事が、急に恥ずかしくなった。チラッと視線を向けた角名くんは、侑くんにしてやったりな表情をしていた。
「ご、ごめん!決まったからレジ行こ!」
それから私達はコンビニを出て、各々アイス袋を開け
ながら歩き出した。
「わざわざ来てくれたのに、アイスの差し入れまでほんまありがとうな」
「いえいえ、みんなもほんまお疲れさま」
「練習試合やけど、せっかくやし勝利にかんぱーい!」
侑くんの掛け声で、みんな「かんぱーい!」と言いながらアイスを高く上げた。角名くんは、どこからか出してきたスマホでその瞬間を撮影していた。
「また観に行くね」
「ほんま!?なまえちゃんが来てくれるんやったら俺むっちゃ頑張れるわ!」
「公式戦やったら、うちら吹部とチア部やから確定で観に行けるわ」
「そうやね、ちゃんと応援しに行けるの楽しみやわ」
「今年から稲荷崎最強なんちゃうか?色んな意味で」
「どんな意味やねん」
今日は好きな人とこんなに長い時間過ごせて、たくさん話せて凄く幸せな日になった。そして改めて角名くんが好きだと実感した日にもなった。
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