06



次の日の登校日。クラスでも比較的よく話す友達が私の机に来て少し小さな声で「なぁなぁ、ちょっと聞いてもええかな?」と声を掛けてきた。


「どうしたん?」
「あんな、4組の友達が言ってたんやけど、なまえちゃんって角名くんの事好きなん?」
「………………え?」


突然のとんでも質問に一瞬フリーズしてしまった。絵麻はそんな事をペラペラと周りに話すタイプやない事は分かってる。だとすると、なんでこの事が周りに知られているのかが分からない。


「なんかな、4組の阿部がなまえちゃんのこと好きらしいんやけど、なまえちゃんが4組の前を通る時に教室をよく見てて、たぶん角名くんを見てるって話しとるらしくて」
「……そ、そうなん、や」
「噂やし、見当違いなんやったらなまえちゃん可哀想やなって思ったんやけど…」


この子は悪い子ではないんやけど、阿部って子が私の事を好きとポロってしまうような子や。悪意は無くとも情報を漏らす可能性は高い気がする。でも、角名くんへの気持ちを嘘やとしても否定するのは嫌やった。


「まぁ、角名くんの事はかっこええな〜とは思っとるよ?でも探してるつもりはなかったからビックリした」
「そうなんや!うわ、なまえちゃんからかっこええって言われたら角名くんむっちゃ喜ぶやろな!」


友達は、変な事聞いてごめんな!と言いながら自分の机へ戻っていった。朝からなんやむっちゃ疲れた。噂されるほど探してしまった私にも非はあるし、これに関しては気をつけないとあかんと気を引き締めた。いや、そもそも阿部って誰やねん。


最初はこの気持ちも片想いでええって思ってた。けど、昨日のバレー姿を見てからは気持ちが欲張りになっているのを自分でも感じてる。


「角名くんが部活引退する時に告白しよかな」
「…突然なんやねん。しかもどんだけ先の話なん」


お昼ご飯を食べてる時に絵麻に今朝の事、自分の気持ちが欲張りになってる事を話した。


「片想いは嫌になったん?」
「なんか…抑えきれる自信がない」
「なまえそんな肉食女子やったっけ」
「いや、全然ちゃうよ」


私自身も自分の変わりように驚いてる。自分が自分やないみたい。恋って凄いんやな。


「そんななまえに朗報」
「なになに!?」
「治がさっきな、来週土曜日の部活終わりに男子バレー部でバーベキューするらしいんやけど、よかったら来ん?って」
「え、そんなんに私ら参加してええの?」
「治はアイスのお返しやって。バレー部としては華がある方が嬉しいんやと。3年の先輩で彼女連れてくる人とかもおるらしいし、割と適当な感じなんちゃうかな」
「そんならチア部も部活あるから終わったら参加する!」
「うちも同じ感じやから、部活終わったら一緒に行こ」


トントンと角名くんに接触できる出来事が舞い込んできてる。これと言ってアピールできてへんけど。


「角名くんってどんな子が好きなんかな」
「なまえから好かれて喜ばない男は少ないと思うで」
「もう!真剣に言ってんねん!」
「うちやってほんまの事言ってんねんけど」


次のバーベキューで少しでも何かアピール出来るように頑張ってみようかなって柄にもなく考えてみた。何すればええか分からんのに、絵麻も適当な事言うしどうすればええねん。


「角名くんにアピールでもするん?」
「うん、せっかくの機会やし何かアクション起こせんかなって」
「2人で話す機会を頑張って作って、バレーしてる角名くんかっこよかったでって言うたら?ほんまの事やろ?」
「…そんな事言えるかな!?レベル高すぎへん!?」
「えー、侑くんとかには言えるやろ?」
「侑くんになら緊張せえへんから平気で言える」
「なんか侑くん可哀想やな」


まぁでも確かにほんまの事やし、これで少しでも意識してくれるなら頑張る価値はあるんやないかなとも思う。


「私頑張ってみるわ」
「うん、応援してるわ。うちもそろそろなんかアクション起こそかな」
「絵麻もバーベキューで頑張ろうや!一緒に!」


夏が近づいて来た。今年は熱い夏になりそうな予感がする。







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