本日最後の休み時間、私は4組でツッキー&グッチーと共にポンポンを作っていた。出来はさておき、今私たちが持っているもので人数分は確保出来ている。ツッキーはさっさと自分の分を作り終え、トイレと言って席を立った。その隙に、グッチーに気になったことを尋ねる。
「ところでグッチーよ。ほんとにスポットライトの手配、大丈夫なの?」
「えっ、ああうん。それは本当に大丈夫だから!心配しないでよ」
「そうなの?」
ニカッと笑うグッチーに、私も何だか安心感が沸く。頼もしいな!安心した。私もつられてニカッと笑い返すと戻ってきたツッキーに「不気味なんだけど…」と不審がられた。
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「それ、夏休みの工作?」
「なんだよ、お前らだって似たようなもんだろ」
「日向たちも手作りしたんだね!」
「うん、おれメガホンとか初めて作ったからちょっと変なんだけど…」
そしてタイムリミットである部活後。私たちは再び坂ノ下に集まっていた。もちろん3年の先輩たちには内緒だ。私たちはそれぞれ頼まれていたモノをテーブルの上に広げていた。日向、影山は無骨なCDラジカセとへろへろのメガホン。ツッキーとグッチー、私は絡まった毛糸のようなポンポン。ツッキーの作ったポンポンは凄くキレイだったけど…。
「おお!手作りか、熱くていいじゃねーか!」
「お前らの心意気、しっかり受け取ったぜ!」
ガラガラと店のドアが開かれ、その言葉とともに駆け寄ってきたのは龍先輩とノヤさんだった。メガホンやポンポンを手にとり、大喜びしてくれている。私はほぼ何の役にも立っていないけど、嬉しくなってニヤニヤしながら「やった!」と日向とハイタッチを交わした。そんな私の隣で影山も交じりたそうにソワソワしている。本当に分かりやすいな、影山は。
ヘイ!と両手を上げ掌を見せると、オウ…と言いながらパチンと両手を合わせる。そして合わせたまま「小せぇな…」そう呟いた。手のひらから伝わる熱を感じて胸のあたりがむず痒くなる。影山の手は大きいな。
「このこのー、お前らよくやったな!!」
メガホンやポンポンをひとしきり眺めた後、龍先輩が私たち1年の頭を順番に小突き回す。そこまで褒められるとは思っていなかった。ツッキーもぶすっとはしていたけど、嫌ではないのか避けたりはしない。
その後ろで成田先輩と木下先輩がラジカセをいじり、縁下先輩が何気なく「スポットライトはどうなった?」と呟く。すっかり忘れていた。スポットライトに関してはグッチーに一任している。ソワソワと時計を見るグッチーは、多分もうすぐ…と呟いた。
「すまんすまん!待たせたな!あれ、ここに置いとけばいいのか?」
「あ、ハイ」
再びガラガラとドアがあき、私たちが一斉に視線を向ける。誰かと思えばグッチーに手を振る滝ノ上さんだった。だだだ、と外に飛び出した変人コンビがうおお、なんだこれ!デカイ!と声を上げる。私たちも気になって外に出ると、軽トラックに積まれた大きなスポットライトが目に入った。何これ、本格的!すごいすごい、と日向と一緒にスポットライトをペチペチ叩く。すると滝ノ上さんから「壊したら15万な」と言われて、そっと離れた。
そ、そんな高価なものを壊したら大変だ…。
「嘘だよ。こないだ市民体育館が買い替えたから古い方を引き取ってきたんだ。まだ使えるし特別に貸してやるよ」
「わざわざありがとうございます!」
ははは、と悪戯っぽく笑った滝ノ上さんにグッチーが深々と頭を下げる。ツテって商店街の人たちだったのか。照れ臭そうなグッチーの背中を皆で叩きながら浮かれていると、縁下先輩が「これどこに隠そうか」と言った。
この大きさでは、部室も用具室も体育館にも置けないし、大地さんの目にも止まってしまうだろう。そうなればせっかくのサプライズも台無しだ。全員が黙りこんだ時、ツッキーがスポットライトを指差しながら言葉を発した。
「これさ、堂々と講堂に置いとけばいいんじゃない?演劇部のものだってことにしとけばいいでしょ」
滝ノ上さんが運んでくれれば、搬入ということにも出来るし、演劇部の名前を使わしてもらうお礼に舞台で使わせてあげればいいということだ。なるほど!さすがツッキー!と妙案に皆で囃し立てるとフイ、と顔を背ける。照れてるな、とニヤニヤしながらツッキーを見ればジロリと見下ろしてきた。
「ツッキーって本当は優しいよね」
「はぁ?僕はいつも優しいデショ」
「確かに」
思い返せば口は悪くても何だかんだ助けてもらっている。ツンの割合が高すぎるだけだ。私が肯定すればツッキーは戸惑ったように「…冗談なんだから否定してよ」とつぶやいた。
「これさ、どのくらい光るのかなぁ」
「試してみようぜ!」
日向の言葉に龍先輩が答える。そして、このスポットライトの威力を確かめるためにお店のコンセントを借りて試しに点けてみることにした。本番で不具合が見つかっても困るし、予習も兼ねて。のはずだったけど、一瞬だけ強烈に光ったかと思えばすぐに消えた。
「これ、ブレーカー落ちたんじゃ?」
「ヤバい、アイスとか溶けるって!」
「す、すいませーん!」
「溶けたアイスとか、も、もしかして全部弁償?!」
「ななし野さん、落ち着いて!つ、ツッキーどうしよう!?」
「君たちうるさい。この一瞬で溶けるわけないでしょ」
動揺してぎゃあぎゃあ騒ぐ私たちは慌ててブレーカーを上げ、お店の人に平謝りする。程なくして光を取り戻した坂ノ下商店にホッと胸を撫で下ろした。アイスも溶けなかったし、スポットライトの威力は充分だ。後は明日の壮行式で行うサプライズの段取りと、本番だけ。ワクワクするのと同時に私は結局何の役にも立っていないという事実が複雑な心境を生み出していた。
部活動壮行式"中編"
(滝ノ上さん、お願いがあるんですけど!)
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