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「何?素性の分からぬ女に得体の知れない物を押し付けられた?」
「はい」
「得体の知れないものじゃない!お守り!お守りよ!」
「お守り?」
お守りなんて、私の世界では当たり前すぎてなんて説明したら良いのか分からない。それも、気休めみたいなものだったし。でも、正直に説明したら絶対に捨てられちゃうよね。…あの女の人の顔、忘れられない。嘘はついてないと思う。それを言ったって、根拠なんてないんだから誰も信じてくれないよね。
「井宿、どういうものか探ることはできるか?」「やってみますのだ」
「あ!」
「悪いようにはしないのだ、少しだけ貸してほしいのだ」
…まあ、柳宿よりはマシか。
素直に井宿にお守りを手渡して、井宿がそれをいろんな角度から眺めるのを見守る。
残りのお守りは、取り上げられないようにスカートポケットにぎゅうぎゅうに詰め込んだ。…紐がちょっと出ちゃってるのはまあ、仕方ないよね。
「…凄いのだ」
「どうした?」
「詳しくは何とも言えませんが、持ち主に危害が及ぼうとした際、身を守るもの…おそらく、結界が出現するよう術が練られています。疾病は防げないと言っていたが、これだけ複雑な術、オイラでも難しいのだ…」
「じゃあ、悪いものじゃないのね?」
「だ。問題はないのだ」
「その話が本当だとして、それだけの力を持つ術士、もしかしたら七星士じゃないの?」
「その可能性はあるな」
「あの女の人、探しに行く!?」
「他の七星士探しの旅に出る予定だったのだ、ほんの少し町を探しても問題はあるまい」
「じゃあこれから、」
「今日はもう寝て、明日行くのだ」
「そうよ、闇雲に探したって見つかるわけないじゃない」
逸る気持ちを抑えきれず飛び出そうとすれば、柳宿に襟首を掴まれて蛙が潰れたような声が出る。それに嫌そうな顔をした柳宿がすぐに手を離したけど、一体誰のせいでこうなってると思ってるの!
睨みつけても柳宿はどこ吹く風。星宿に綺麗な笑顔を向けている。…別にいいけど!
「ともかく、明日はその七星士候補を探しに町へ下りるぞ」
「星宿も行くの?」
「うむ。…と言いたいところだが、私が王宮を空けるわけにはいかぬ。すまないが、また3人で行ってくれるか」
「任せてください!」
柳宿ってば張り切っちゃって。
でもこれで、本当にあの女の人が七星士だったら簡単に4人目が見つかったことになる。鬼宿を迎えに行くまでの道のりが、随分楽になるわ!
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