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「して、其方が美朱におまもりとやらを渡した者か」
「は、はい」



星宿、綺麗すぎる。それ以上に、私のような庶民がお目にかかれるような立場ではない皇帝様と対面していることで、緊張して身体が小刻みに震えてしまう。



「今一度確認しよう。朱雀七星士ではないのだな?」
「はい。誓って、そのような高潔な立場ではございません」
「…そうか」



皇帝様の声に落胆が滲むのに胸を痛めたつつ、しかし嘘をつくわけにもいかない。
どうやら私を七星士だと思って探し回っていたらしい彼らには本当に申し訳ないことをした。本当だったら既に旅に出ているはずなのに。彼らの旅がスムーズに行くようにとお守りを渡したはずなのに、出発を遅らせてどうするんだ。
パン!と強めに頬を叩けば、目の前の皇帝様が驚いたように目を丸くする。あらまあ、我らが皇帝様がこんなに可愛いわ。



「私は朱雀七星士様ではございません。巫女様方の身を案じて勝手ながらお守りをお渡ししましたが、かえって混乱させてしまったようで申し訳ございません。私のことは忘れて、残りの七星士様をお探しください」
「…あなたは、私を救世主のようには見ないんだね」
「…失礼ながら、巫女様と言えど、私からすれば年下の女の子。心配するのは当たり前のことかと」
「…ねえ、あなたの名前は?私は夕城美朱!」
「ちょっと美朱!」
「いいじゃない!この人、絶対悪い人じゃないよ!」



ちょろすぎて心配になるけど、今はそのちょろさに助けられたよ美朱ちゃん〜!
そして、名前を知れたことでこれから名前を呼んでも変な目で見られないぞ。
止める柳宿をものともせず、私の前に跪いて手を取ってくれた美朱ちゃんは、まさに巫女様だった。いや、聖母?美しすぎる。



「…名乗るほどのものではございません」
「教えて。私のために何かをしてくれる人の名前、知らないなんて嫌だもの」
「…みょうじ、なまえと申します」
「なまえさん!歳はいくつ?」
「今年18になりました」
「本当にお姉さんだ!私、お姉ちゃん欲しかったの。なまえさん、なってくれる?」
「…私が?」
「うん!」



美朱ちゃん、コミュ力凄すぎる。初対面でお守りを押し付けた怪しさ満点女にもこうして優しく接してくれるなんて神…?これは鬼宿も翼宿も好きになっちゃうわね。
決めた。私がこの子をあらゆるものから守ってみせる。いや、そう決めてお守りを渡したのだけれど。それ以上に気持ちが強くなった。



「不肖みょうじなまえ、巫女様をお守りするためにこれまで以上に精進させていただきます」
「んぇ?え?いきなりどうしたの?」
「巫女様、これからは安心して危険に突っ込んでいってくださいまし」
「それって安心することかしら!?」
「なまえさん、敬語はなし!ね、私のことは妹みたいに思ってくれて良いから!」
「美朱もそれどころじゃないわよね!?」



柳宿がいてくれて良かったな。





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