空き教室の窓際。
差し込む光と風が、心地よく髪を通り抜ける。
ダルそうな友人は大きな欠伸をしていて、もうすぐしたら目まぐるしくなっていく嵐の前の静けさみたいだった。
「ティーパーティーだァ?」
「Yes. 意外だよね?」
「意外っつーか、アイツまた恋人に何か吹き込まれたのか」
「タフで懲りないところが、アレックスの良いところだと思うよ」
「少しは懲りろ」
「ふふ、あはは!そう、そうだよね」
卒業の文字が少しづつ目の前に迫ってきている今日この頃。元ルームメイトが声を掛けてきたと思ったら、
「ティーパーティーしないか?!」
だって。
ヴィルにも相談したらOKをもらえたから、俺としては結構楽しみにしてる。4人で集まれる時なんて今後あるか分からないのだから。
「男4人で駄弁るだけだろ?菓子食いながら?」
「そのあたりは任せて。美味しくてヘルシーを心掛ける事をヴィルに誓ってきたから」
「開催意義を問うてんだが?」
「うーん、……今後の友好を願って、かな」
「願うなよ、そういうモンじゃ無いだろ」
「そうだけれど、願っておくのは
「まーな」
「あらエデン、バート、ここにいたの?」
振り返ると我らが寮長が扉のところに立っていた。
厚い本を一冊持っているところを見ると、何か借りてきたんだろうな。
「ティーパーティーの話をしてたんだ」
「ああ、その話」
「ヴィル、珍しいな。聞く限りお行儀の良い茶会じゃないだろ」
「良いじゃない。これでも疲れてるの、たまにはマイペース天然ちゃんで癒やされたいわ」
本を置いて隣に座ったヴィルが寄りかかってくる。
今年度の入学式から異様にバタバタしているから、ヴィルはそれはそれはお疲れなんだと思っ……
「………ヴィル、もしかしてそのマイペース天然って、俺の事を言っていたりする?」
「気付いた?」
「からかわないで」
「からかってなんてないでしょ、ねえバート」
「どっちかっつーと褒めてただろ」
「噓だ」
「嘘じゃないわ」
全然そんなワードではないと思うけれど。
くすくす笑うヴィルの声。
「全く、いつもそう」
「そうかしら」
「意地悪だ」
「はいはいストップ、お前らそろそろ寮帰るぞ」
立ち上がったバートの腕を掴んで立ち上がる。
ヒールのある靴を履いたヴィルと身長の高いバートに並ぶと、少し上を向くようになる。自分の視線の癖に気づいて、なんとなく、くすぐったいな。
いつまでも続いたらいいのに。
「エデン、お菓子は何を作る予定?」
「悩んでいるところ。ヴィルは何が良い?」
「そうね……、」
「俺には聞かねぇの」
「バートはなんでも食べるよね?」
「食うけど、紅茶のフィナンシェな」
彼はなんだかんだ紅茶が好き。それは知っているから元より作るつもりだ。
でも、ヴィルは大抵ヘルシーなものを食べるからお菓子の好き嫌いが分からない。
「胡桃のクッキーは美味しかったわよ」
「そう?じゃあそれと、──」
「先輩、エデン先輩!!」
「……?なあに、そんなに急いで、どうしたの?」
後ろから追いかけてきたのは後輩くん。
名前で呼ばれたけれど、話したことは無い子かな。
息を整えるために深呼吸をした彼は、風を切る音がしそうなほど勢いよく頭を下げた。
「髪の毛ください!!」
「え?」
「は?」
「エデンの髪?よくもそんな事を言えたわね」
「ひぇぇ」
思わずポカンとしてしまった俺とバートを差し置いて、ヴィルの機嫌が氷点下になってしまった。
聞いてから叱責までが早すぎる。
「事情くらいは聞いても問題無いよ、ヴィル。君は寮に戻るところ?話しながら一緒に行こうか」
「あ、ありがとうございます……!」
「何を言ってるのよ。折角そこまで綺麗に伸ばしてるのに」
「一房くらいは全然、?!」
歩き出そうと後輩くんに背を向けた瞬間。
ポニーテールを引っ張られたと思った次には頭が軽くなっていた。
ヴィルの息を飲む音が聞こえる。
「ハハハ!!バーカ!!わざわざ許可取る訳ねぇだろ!」
三下みたいな言葉を残して駆けていく。
馬鹿かあ……。
ヴィル達や家族以外には初めて言われたかも知れないな。
「礼儀も知能も欠いているなんて救いが無いわね」
「同感。ヴィル、1本くれるか」
「2本くれてやるわ。ブチかましなさい」
バートの使う弓矢の呪文をぼんやり聞きながら、どこか他人事みたいに、後輩の脚に突き刺さる矢を眺める。
2本目できちんと見えた、金の羽根、金のシャフトと、アメジストの矢尻。
珍しい、ヴィルの髪を矢に変えてる。
背中ど真ん中に突き刺さったそれは、後輩を倒して幻のように消え去った。髪に戻ったんだろう。
そうなったら、ある程度自動的に掃除されるこの学内ではもう、倒れた原因は分からなくなる。
「驚いた」
「呑気にアンタねえ!やだ、もう、ギザギザじゃない……!」
わさわさと髪の状態をチェックされる。
自分でも触ってみると、なるほど、結構切られてしまったみたいだ。
切り揃えようとしたら、デュースくんくらいかな。ちょっとシルバーくんには足りない。エースはハネのせいで分かりにくいけれど案外長いしね。
「なんっ、てことしてくれたのよ、信じられない……」
どうやらヴィルは俺が思っていた以上に、俺のロングヘアが好きだったみたいで、惜しむように抱きしめられる。
視界の端で、バートが倒れた後輩に何か長めの呪文を唱えているらしいのを見守りながら、軽く抱きしめ返して背中をポンポン撫でた。
終わったらしい呪文の直後。
不意にふらっと立ち上がって、手に持っていた髪の束をボサリと落として何処かに去っていく。
「すごいね、バート。何したの?」
「黙秘。お前な、怒るとか無いのか」
「そうだね……何が原因なのかは気になるかな」
「っまさか!待ちなさいエデン!!」
反逆の夕火
ヴォーパルを掲げよ
勝者に首を
「やったわね……」
「はあ……さすがシルバーに『王であり剣』と言わせるだけある……」
うん、バートが掛けた魔法は俺のユニーク魔法で打ち消されたらしい。特に何も感じない。
相手の全てを奪い取って自分のものにするユニーク魔法の期限は24時間。
奪った身体は目線が違うので少しフラついた。
すぐ慣れるだろうけど足元も覚束ないまま、後輩がいたところに髪を拾いに行く。
「あんなに着崩した制服でだらしない歩き方……エデンが植物部じゃなければ映画研究会に引き抜いたのに、残念」
「アレは借りもんだろ?演技とは言えねえんじゃねえの」
「意図的に動かすのはエデン自身らしいわよ」
「は?面白すぎるだろ」
歩きながら記憶の引き出しを手当たり次第に開けて、この身体の持ち主が何をしたかったのかを探った。
「なるほど」
「何か分かったの?」
「コイツ、彼女のおねだりを叶えたかったらしい」
「おねだり?」
げ、と顔を歪めたバート。
アレックスの恋人に巻き込まれたのが余程嫌だったらしい。
開けた引き出しには、先程の捨て台詞には不似合いなほどキラキラして可愛らしい記憶が詰まっていた。
その中に、「永遠にプラチナブロンドになりたいの!」という可愛らしい声。
魔法薬を調べた記憶が芋蔓式に掘り起こされて、呆れて溜息が出てしまう。
「髪の染色魔法に他人の髪なんて必要無いわよ?」
「SNS上の都市伝説を信じたっぽい。理想の髪を入れると効果が上がるとか言うやつ」
「そんな事でエデンの髪を切り落としたって言うの?有り得ない」
「記憶読む限りな。馬鹿じゃねえの、俺の髪はプラチナブロンドじゃなくてほぼ白だろ。アホに巻き込まれた。マジでクソ」
「待てエデン、言葉遣いが、……本当に脳がバグるから勘弁してくれ………」
「慣れろよ」
「うわ、鳥肌」
この身体の口調のままバートを見れば、苦虫を噛み潰したような顔。対してヴィルは案外平気そうな顔をしている。
「意外だな」
「あら、特殊メイクしてると思えば平気。ただ本当に憎らしい顔だけど」
確かに、俳優としてはそうなのかも知れない。
俺はとりあえず遊びに行こうかな。
一旦2人とはお別れ。
内ポケットを探ると小さめのフリーザーバッグがあったので、そこにポニーテールだったものと解けたリボンを入れた。
「用意周到だったようね」
「これだけの量、染色薬を市販できるくらい完成するんじゃね?」
「させないわよ。貸しなさい、必ず元に戻して見せるわ」
稀代のポムフィオーレ寮長が断言するので、重いくらいの量の髪を預ける。
「じゃあな、また24時間後」
「……気付けろよ、エデン」
「終わったら部屋に来なさい」
「了解」
「ちょちょちょ、おい!お前どうだったんだよ」
「は?何が?」
所属寮の部屋へ戻った途端、ルームメイトに詰め寄られた。
至って普通の3人部屋、かな。
後輩のルーティンをなぞりながら、ルームメイトへ視線を送ると、ニヤニヤと好奇心しかない笑顔が返ってきた。
「何がって、グランドフロラ先輩の髪もらいに行くとか言ってただろ?」
「そーだそーだ、あのヴィル・シェーンハイトの鉄壁の守りを崩してやるとか言ってたじゃん。無理だろって賭けてたワケ!で、どう?!どう?!」
掛けまで開催されていたらしい。
心外だな、別に四六時中ヴィルと一緒な訳では無いし、守られている事も無いんだけれど。
「……失敗した」
「お!イエー!俺の勝ち!!」
「おい、愛しの彼女のために命張るとか言っといてそんなモンかよ?!」
「大穴狙わなきゃ良かっただろ?」
「テメーらマジでふざけんなよ、こっちはトーヴ先輩まで敵に回してんだからな?!」
「は?それはバカすぎじゃね?話しかけるタイミング終わってる」
真顔で電子マネーをやり取りしているルームメイトたちは、この後輩と仲がいいらしい。
それは何よりだ。
ルームメイトっていうのは、今後の思い出に大きく関わるからね。
「はー、最悪。もう寝るわ」
「はや。彼女と通話せんで良いのかよ。浮気疑われるから〜とか言って、デレデレデロデロ お や ちゅ み も し も し してただろ?」
「あっはっはっはっは!!おやちゅみもしもし!!」
漁った記憶には、本当に彼女を溺愛している様子が伺えた。
暇さえあればメッセージを送って、写真を撮って添えて、通話もして、デートの計画立てて、記念日にはプレゼントを用意して。
その思いやりの1μmでも、今回のことに分けてくれたら良かったのに。俺だって、理由を聞いて納得できていたら、染色の魔法薬を作るくらいの髪は渡していたと思う。
でももう手遅れ。
少し痛い目をみてもらおうと思ってるからね。
「うるせー、起こすなよ」
「おい、どうなっても知らねえからな」
「不貞寝かよ〜彼女ちゃんカワイソ」
そうかな?
だいたい、魔法薬では無い普通の脱色剤でもプラチナブロンドは作れる。なのに態々、魔法士見習いの彼氏に永久染色薬をねだったって事は、余程の執着があると思う。
メッセージの履歴には、気が強くて我儘を無理にでも通そうとするようなところが見えた。
その一方で、記憶の中の彼女は、キラキラ輝いて愛らしくキュートでセクシーで無限の魅力がある女の子。
とても分かりやすく、彼氏のフィルターがかかって記憶されてると思う。
着信を知らせるスマホの振動を無視して、ベッドに転がった。
ノックを3回。
一呼吸置いてドアが開いた。
「ただいま、ヴィル」
「お帰り。ギザギザ頭のままなのね」
「たったの24時間だから。頭、すごく軽いよ」
元の姿で、約束通りにヴィルの部屋へ。
入って、と促されたので遠慮無く。
「少し疲れたな」
「珍しいじゃない。ブロットは?」
「そこそこだと思う」
デスク前の椅子を勧められて一息つくと、ガラス瓶とコーヒーが置かれる。そのままヴィルはすぐ横のベッドに座って、静かにこちらを見た。
嫌な沈黙に察するしかない。
この瓶の中は不味い薬。
思わず椅子ごと向き合って近づいた。
「味はどうにかしてくれなかった?」
「知ってるでしょ、あのレシピの即効性復元薬はどうしても不味いの」
「復元薬の効果対象を髪の毛にして転用したんだ?あれは……ヴィルが作るから、美味しくしてくれるんじゃないかと思ったんだけれど」
「絶対に飲ませるために努力はしたわ。材料は覚えてる?」
「覚えてるよ」
正規の《髪を伸ばす薬》は金銭面で現実的では無いし、効果のコントロールが難しい。
でも、どうしても髪を伸ばしたい時ってあると思う。正確に言うなら、「もとに戻してやり直したい」時。
前髪を切りすぎてしまったとか、今回みたいな事とか。
そういう日常のことをどうにかするための、ポムフィオーレ寮長の秘伝レシピブック記載版、即効性復元薬、育毛バージョン。
レシピブックの存在を知る人は極少ない。
以前見せてもらったアレを美味しくしろというのは無茶だろうということは分かる。
香りの強いコーヒーを用意してくれただけ優しい。
「はあ……い、いただきます……」
蓋を開けると髪が燃えたような刺激臭が漂ってきて、顔が強張った。
でもせっかくヴィルが作ったから、思い切り飲み干して、嫌な苦味で口が覆い尽くされる前にコーヒーを流し込む。
頭の後ろがビリビリと痺れたような感覚。
口の中はコーヒーがなんとか戦っているけど、鼻から抜ける妙な酸っぱい匂い。
不味い。
嫌だ。
デスクに突っ伏して耐えていると、ヴィルが背中を擦ってくれた。
「ぐ」
「よく耐えたわね」
これはだいたい30分ほどで効果を出し切る。
ヴィルが調整しているはずだから、うっかり伸びすぎも伸びなさすぎも無く、30分後には切られる前に戻っていると思う。
「効果は出てるわ、良かった」
独り言みたいな声に顔を上げた。
俺の髪を見ていたヴィルは一先ず安心したらしい。
「ヴィルでも、緊張するんだ?」
「当たり前よ。特にあのレシピブックは正規の魔法薬じゃないんだから」
諸々の試験なんてものも吹き飛ばした、民間療法薬だ。歴代寮長とその寮生の、必死な想いで少しづつ調整されたもの。
手に入りやすい材料に、難しく複雑な手順が必要で、弱くても確実な効果。クルーウェル先生が聞いたら寮に乗り込んで来るだろう内容だった。
「切られた髪が回収できていて、こんなに有難かったことは無いわ。二度と御免ね」
「俺も二度と飲みたくない」
頭が痛いような気すらしてきた。
どんどん力が抜けてきて背もたれに寄りかかっていると、ヴィルの手が額に触れる。
「やっぱりね。復元薬は飲用者の体力を奪うわ。少し休んでいって。着替えとベッドを貸すから」
「でも、部屋はそんなに遠くない……」
「自分の身体を支えられないくらいヘロヘロで何を言ってるのよ。アタシはそれの他に副作用が出ないかを確認したいし、大人しく諦めて」
「確かに経過観察は必要か……ごめんね」
長袖のパジャマを用意してくれたのにまともに動けず、ジャケットとシャツを脱いだあとは、着せ替え人形みたいに脱力してしまう。
「エデン、ベルトは取れる?」
「ちょ、と、むり、かも、手が」
「魔力の貯金箱みたいなものを急に復元してるから消耗が激しいのかしら……?外すわよ」
「えっち」
「馬鹿」
友人に脱がせてもらうのは恥ずかしいのに、腕がもう自力ではほとんど上がらない。
ヴィルの指が、ベルトを抜いてスラックスのボタンを外して、ファスナーまで下げていく。
ゆっくりと抱きついて来た。
「ヴィル……?」
「少し持ち上げるから、脚から抜くくらいはしてちょうだい」
脇の下に差し込まれた腕で持ち上げられた。
なんとか足元に落としたのを回収してハンガーにまとめて掛けてくれている。
正直、早く履かせて欲しい。
自分で動けるならともかく、こんな状態で下着だけなのはいくらなんでも居た堪れない。
「サイズは大きいと思うけれど我慢して」
誰がこの状況で文句を言えるだろう。
力の入らない関節を曲げてもらったり、また体重を支えてもらって、少しブカブカなパジャマを着終わった。
ヴィルって、俺が思っているよりも細身じゃなかったりする?
ベッドに運んで、掛け布団まで掛けてくれる。頭を預けた枕はヴィルが使うシャンプーの香りがした。
「何笑ってるの?」
「いいかおり」
「……寝なさい。2時間で起こすわ」
疲れで落ちる瞼の隙間から、呆れた顔が見える。
ありがとう。
ティーパーティーはヴィルの好きなものをもっと追加してあげなきゃね。
「あら、アイツ」
「ん?ああ、あの子」
2日後。
あの後2時間で問題無く回復した身体で歩いていると、樹の下のベンチで呆然と座り込む子がいる。隣にはルームメイトがいた。
「結局、何かやったの?」
「何もしていないよ、寮に帰って、寝て、学校生活したくらい」
「それにしては干からびてるじゃない」
げっそり痩せこけた頬。
ルームメイトの言葉に上の空の返事。
虚ろな目は手元のスマートフォンを見ていた。
「彼女さんに振られたんだと思う。俺、本当に何もやってないから」
俺のユニーク魔法は、掛かった対象が全てを奪われて《透明になる》。
奪って成り代わっている俺とは別に、必ず本人の存在は保ったままの魔法だ。誰にも感知されないけれど。
俺が彼女の連絡を全て無視していたのも近くで見ていたから、ストレスが限界値だったんだと思う。
「たったの24時間よ」
「彼らには24日だったのかもしれない」
「それにしても生温い愛ね」
「ええ、そう?手厳しいね、ヴィル」
「本当に欲しいものは諦めたくないの」
ふふん、とこちらへ笑いかけるヴィルは自信に満ちていて格好良い。こういうところが人を惹きつけるんだろうな。
すると、ふと思い出したように、ヴィルは俺の髪の毛を手櫛で梳かした。
「ヴィル?」
「だからあの薬の調薬は必死だったわよ。本当に何をやっても不味かったんだから」
「手間をかけてごめんね」
「あの薬を何が何でも飲ませるって決めたのはアタシ。謝る必要なんて無いわ。諦めなかった結果がここにあるんだから」
元通りのポニーテールは、魔法薬の効果なのか、何故か今までよりも艶々している。
「でも、例えレシピが無くても俺自身でなんとかしようとしてたと思う。髪の毛短くなったらヴィルが俺の事飽きちゃうかもと思ったから」
「はあ!?アンタ本当に質が悪いわね……。その程度で愛想尽かすような関係だったら、等身大着せ替え人形なんてしないわよ」
「う、わ、それは、その」
「珍しいものが見れたわ」
「ヴィル!」
機嫌が良さそう。
これはもしかしたら、バートとアレックスくらいには知られてしまう流れだ。なんとかしないと、週末に予定したティーパーティーが、ただのいつもの雑談になってしまう。
ヴィルの口止め方法を必死で考えながら、長い脚でサクサク歩いていくのを追いかけた。
end.