Which do you like?



「これで…終わった〜〜!!!」
「こちらも…終わりました」
「お、お疲れ様でしたぁ…!!」

とっくに終電もなくなり、そろそろ朝日も見れるんじゃないか、という深夜の事務所。
私とプロデューサーさんは、朝までに提出しなくてはならないデータをようやく!まとめ終わった!!!
ちなみに、山村君は学生なので帰しました!

「…はい、今データを送ったので…本当にこれで終わりです」
「よかったぁぁー…!!ばんざーい!ばんざーい!!」

寝ないとすぐに壊れてしまう私は、とっくにメーターを振り切っていて、深夜テンションMAXなのだけれど。
プロデューサーさんは、見た目はお疲れなものの、いつも通りのテンションだ。さすがだなぁ。

…というか、私は今日だけでこの有り様だけど、プロデューサーさんは色々立て込んでいて、数日前から帰っていないはずなんだけどなぁ…?
これが社会人力…いや、人間の器の違い?

「みょうじさん、本当にありがとうございました…」
「どーいたしましてですよー!プロデューサーさんこそ、お疲れ様でした!あ、なにか飲み物入れてきますね!」

こんな時間だけど、疲れたし、ココアいれちゃお!
プロデューサーさんにも同じでいいか確認すると「お願いします」と力ない微笑みが返ってきた。
…終わったから、プロデューサーさんも電池が切れてきたっぽい。

「お待たせしましたーどうぞ!」
「ありがとうございます」

プロデューサーさんにカップを渡して、自分の席に戻って、ココアに口をつける。
ふぅ、あったかーい。しみるー。

「女性にこんな遅くまで仕事させてしまうなんて…本当にすみません。助かりました」
「いえいえ、大丈夫ですよ!プロデューサーさんのお手伝いをするために、山村君や私がいるんですし!どーんと遠慮なく頼ってください!」
「ふふ、頼もしいですね」

そんなことを話していると、プロデューサーさんがだんだん眠そうになってきた。
そりゃそうだよね…プロデューサーさんだって人間だもの。

「みょうじさん、タクシー呼びますか?」
「いえ、このまま始発が動くまで待ってます!」

この時間のタクシーは高いし。経費削減しなきゃね!!

「プロデューサーさんこそ、ずっと働きづめですし、帰ってください」
「いえ、朝一で打ち合わせがあるので…」
「えっ!」

プロデューサーさんの予定が書かれたホワイトボードを見ると…うわぁ、ほんとだ…
しかも、調整してもらうには難しそうな相手だ。ひえぇ…

「だったら!少しでも横になった方がいいですよ、ソファー使ってください!」
「みょうじさんは…」
「私は帰って寝れますから!」

うちの事務所にも、仮眠室が必要だ。プロデューサーさん用に。
社長に直談判してみようかなぁ。
それか、レッスン室に布団引けばいいのかなぁ?

「わ、机で寝たら体痛めちゃいますよ!」

考えている間に、プロデューサーさんが机に突っ伏して寝そうになっていたので慌てて止めた。
こんな状況で突っ伏して寝るのはよくないって絶対!
それにプロデューサーさんの机、今にも雪崩が起きそうだし!

「ほら、ダメですって!ソファーにいきましょ〜〜!!!」
「…もう、動けません…」
「ほらほら、あと少しだけ頑張ってくださいよ〜〜私じゃ運べませんから!!代わりに、ソファーまで行ったら膝枕でもなんでもしてあげますからーーなんて」
「ではぜひお願いします」

ん?
私の口が滑った。
深夜テンションだからね、仕方ないね!!
まぁそれは置いといて。
プロデューサーさんからも変な言葉が聞こえてきたような??
しかもいやに滑らかに。

さっきまで私がプロデューサーさんを引っ張ってたのに、なんで逆転してんだろ?
そしてソファーに座らされ、私の膝の上にはプロデューサーさんの頭が乗った。
んんん〜?
なんだこの状況。

「おやすみなさい…」
「お、おやすみなさい…?」

展開についていけないながらも、なんとか返すと、プロデューサーさんは超マイペースに寝始めた。
おおおお???
な、なにが起こっているんだろう…??

ま、まぁ…あのまま机で寝るよりはよかった、のかな?
……プロデューサーさんも普通に見えて、実はものすごい変なテンションだったんだろうか。

プロデューサーさんが寝息を立てる頃には、私も冷静になってきたので、ものすごく恥ずかしい状況なのでは、ということに気付いた。
けれど、せっかく寝始めたプロデューサーさんを起こしてまで逃げることもできなくて、私はとりあえずソファーの背にかけてあったブランケットをプロデューサーさんにかけた。

…それにしても、プロデューサーさんをこんな近くでまじまじと見るなんて初めてかも。
なんであんなにむちゃくちゃ働いて、こんなに肌綺麗なのかな。
それに髪の毛さらさらで羨ましい。
プロデューサーさんだって、みんなに混ざって十分アイドルできちゃうよねぇ…

「ふわぁぁ…」

静かだし、寝ているプロデューサーさんを見てたら、睡魔がうつってきたみたい。
眠い…でもここで寝たら、プロデューサーさんによだれを垂らしてしまう気が…
でも…もう…無理、だ…
おやすみなさい…


◇◇◇


<続きは選択式です>

プロデューサーと迎える穏やかな朝

プロデューサーと迎える予想外の朝




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