14 挿話


アミーは、最初に契約を結んだ女性を礎とした。
女性の救いだった契約は、女性を殺した。
アミーは、物質界での体を得た。
そして、女性の姿をした悪魔に、村はなす術なく滅んでいった。

しかし、人間の体は脆く、半年も経たないうちに悪魔に耐えきれなかった体は崩壊し始める。
アミーは別の体への憑依を試みた。
だが、全て失敗に終わり、アミーは、女性の子を見つけた。
アミーがその子へ憑依をすると、体が崩れる事はなかった。

この血だ、この血筋が必要だ。

アミーは、血筋の人間に憑依を繰り返した。
憑依した体を使って、子を作り、その人間の体が朽ち始めれば、次の子へ。
幾年も繰り返し、アミーは物質界に居続けた。

すると、力に溺れた血筋の人間が現れた。

『体は与えるから、力を貸してほしい』

アミーは、人間に力を与えた。
人間は、悪魔を従えるようになったのだ。
人間は喜び、アミーに服従した。
その頃になると、アミーが人間を操らなくても、人間はアミーの次の体を用意した。

例え、自分が死のうとも、その子が死のうとも。
血は力を、欲した。
いつしか人々はこの血を、悪魔に魅入られた『穢れた血』と呼ぶようになった。

そのうち、のちに祓魔師と呼ばれる存在が現れ始める。
悪魔に体を乗っ取られていようとも、悪魔を使役する力は、この頃の祓魔師にとっては貴重な存在だった。
『穢れた血』は、予想通り大いに力を発揮した。
しかしそれは、『穢れた血が己の身であるまで』は。
血がアミーに体を明け渡すと、それは力以上に損害を与えた。

いずれ、騎士團という存在が出来る頃になると、人間も悪魔へ対抗する術を得始める。
騎士團は『穢れた血』にアミーへ対抗する術を与えた。
騎士團と誓いを結ばせ、体を乗っ取られるとその人間を殺した。
『穢れた血』を徹底的に『管理』した。
アミーは気に食わなかったが、別に良かった。
次の体はもう用意されていた。

『穢れた血』が死のうとも。
その子が死ぬ運命にあろうとも。
人間は力を、手放さなかった。

幾年も、幾年も、そうして『穢れた血』が受け継がれた頃。

ある祓魔師が現れる。
その祓魔師の名は、暦 トモエ。


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