「あー、起きたか?」
呆然とするわたしの横で寝ていたシカマルがごそごそと動き始めた。
寝起きのシカマルは結っていない髪をぼりぼり掻き毟ってあくびをすると、立ち上がって部屋から消えた。
しかし、わたしはその後ろ姿に口をがばりと開けてしまった。
服、上半身、着てない。
さっとじぶんの姿を確認してすこし安心した。
わたしは、上も下も、着ている。
多少寝くずれてはいるが昨日のまんまだった。
いやでもシカマルは着ていなかった…し、何より一緒に寝ていた。
隣の布団とかじゃなく、一緒の布団で。
わたしがほぼ占領していたし、シカマルはほぼ布団にも入ってないようではあったけど、ここには一組の布団しか無かった。
ぐるりと見渡せば見知らぬ和室で、おそらくシカマルの家じゃないかと推測する。
そのまま昨日の記憶を手繰り寄せてみるけど何も思い出せない。
え?まさか、まさか。致したりしてないよね?
ドッと汗が噴き出てきて、でもどうすることもできなくて、白い布団の一点を見つめていると、髪を結ったシカマルが帰ってきた。
「おまえ今日仕事は」
「あ、ある」
「じゃあ風呂貸すから入ってくれば?」
「え…」
「タオル置いてある」
「この廊下右曲がればすぐ」と言ってまたシカマルは消えていった。
思わず、呆気にとられてしまった。
いつも通りだ。
じゃあ何もなかったのかな、なんてとりあえずご厚意に預かり、お風呂を借りることにする。
能天気なわたしはすっかり安心して、すこしだけズキズキと痛む頭痛に気づいた。
完璧に二日酔いだ。
脱衣場で服を脱いで、鏡を見ると目元は腫れて、なんかもうすごい顔してた。
これ職場で絶対からかわれるなあ、なんて苦笑を浮かべて鏡を覗き込んだまま、ふと目に入ったそれ。
わたしは今世紀最大のパニックに陥ることになる。
ぱにっくになるあさ
首もとについた小さな赤い跡。
それが何かなんてわからないほどわたしはもう子供ではなくて。
「ドライヤーは棚にあるからな」
と扉の外から聞こえたシカマルの声に小さく悲鳴をあげた。
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