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「はい」
「…なにこれ」

先に会計を済ませ、コンビニの外で待っていた五条に袋を2つ渡した。それぞれの袋の中を覗いた五条が不思議そうな顔でこちらを向いて思わず笑った。

「ハッピーバースデーと、クリスマスプレゼント」

五条が持つ袋の片方は、さっきカゴに入れたプリンパフェ、もう片方には会計のとき急遽追加購入したホットスナックコーナーにあった肉まん、それからホットコーヒーだ。これから鍋パをするのであろう人に食べ物ばかりでどうかとも思ったけど、男子高校生なのだからこのくらいは余裕で入るだろう。まあ、なんとも色気のないプレゼントになってしまったけどコンビニで揃えられるプレゼントなんてこんなものだ。

「…おー、いいの」
「悪いね。まあ、気持ち程度ってことで」

一応、そう声をかけてみたが五条は気にする様子も無く、早速肉まんにかぶりついていた。美味しそうに食べていたので、不正解ではなかったのかなと安心した。
五条がかぶりつくたびに、ほわんと宙に白い煙が立ち昇って、何とも美味しそうだ。それを見てわたしも袋から、餡まんを取り出した。買う予定は無かったけど、五条の肉まんを見たら欲に負けた。
かぶりつけばほかほかとした生地から熱く、甘い餡が口の中いっぱいになって、口内に伝わる熱さに涙目になりながらも幸せな気持ちだ。
高専へと向かう道はすっかり暗く冷え込みもずいぶん増した。雪も止みそうになく、これは明日もそのまま降り続けるだろう。

「ホワイトクリスマスってやつだね」
「はあ?やだよ、明日任務だっつーの」
「ああ、そうだった」

横目で五条を見ると本当に嫌そうな顔をしていて、少し同情する。生憎、わたしは明日は休みだ。何も無ければ、だけど。少し感じた杞憂に、何もありませんようにと願わずにはいられない。

「誕生日、いつ」
「え?わたし?」
「おまえ以外に誰がいんだよ」

突然問われたことに驚いて変な返事をしてしまった。確かにそうだ。気を取り直して「12月31日」と自分の誕生日を伝えた。

「じゃあ年始な」
「…え?なに?もしかしてお返しとか返そうとでもしてる?いらないよ」
「もらったまんまじゃ気分悪い」
「ええ?なにそれ?それに誕生日って言ったってもう」
「いいだろ別に。誕生日は誕生日、かおりが産まれたってのは変わりねー」

肉まんを頬張りながら言われた言葉に、思わず言葉が詰まった。
そうか。わたしの産まれた日なのか。
お母さんが8年の寿命を終えてわたしに呪いが引き継がれたあの日、わたしの時が止まったあの日から、心のどこかで誕生日を迎えたって何も無いではないかと思っていた。
今まで喜んでいたはずのその日を、自分の中で勝手に『何も意味のない日』に変えてしまっていた。
誕生日は歳を取るだけの日ではない。わたしがこの世に産まれた日でもあるじゃないか。
そのうち寿命が8年となってしまうことは物心つく前に知っていた。産まれなければ。そんな事を思った時だってあった。それでも。
今まで生きてきた19年間は、決して、無意味ではなかったはずだ。

「…うん、そうだった。五条、ありがとう」
「なんだよ、プレゼント貰う気満々?」
「いやそうゆう意味で言ったんじゃ…ああまあいいか。うん、楽しみにしてる」

もう歳は取らないけど、誕生日を迎えたってわたしは19歳のままだけど。
少しだけ、未来が楽しみになった。

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