日和見感染 (実行者)



彼は何時も憂いて居る。

溜息の回数が、1日約50を超える程に…。

其の憂いの原因は、彼が仕える主に関する事柄が大半を占めて居る。


幼き頃に出会い、共に育った主は、下々の民…民百姓等の被支配層から見れば、とても善い殿上人だろう。

民を、国を想う主の姿は、確かに彼を含む家臣達から見ても、誇り高い国主だと自負して居る。


しかし、だ…


主は、夢見がち過ぎる。世の中の女子達でさえ、此処まで夢見がちではないだろう。

其の夢見がちさに、代表達は厭きれを胸中に滞留させ、頭を抱える日々を送る。頭痛に悩む毎日だ。


乱世の世で戦を許容しない彼の主の考えは、乱世真っ只中の本島に住む彼等からすれば、きっと乱世も戦も知らぬ甘い奴と思われるだろう。

甘い主に頭も胃も傷める日々だが、それでも彼が唯一慕い、敬う主に変わりは無い。(しかし実を言うと皆、戦を当然の様に許容しない主を羨ましいと密やかに思いつつ、尊んでも居る。)


そうして、此度も主の(我儘な)命により、噂の仙女を、彼は迎えに行った。

己が主が最も信頼する彼に、仙女の迎えにやったのは、仙女を主の傍に置くのが相応しいかを見極める為。主の期待に応える為、彼は仙女なるものを見据える。


其の瞬間、彼は思ったのだ…≪主と似て居る≫と。


外見ではない。雰囲気、中身、思想…仙女と主の相性は、ウマが合うと一目で分かった。

其れと同時に、全身全霊を持ってして、感じた。仙女は、主の願いを叶える為の術が、形を成した化身そのモノなのだと、悟った。

感嘆の溜息が、無意識の内に彼の唇から零れ落ちた。…かくして、彼は仙女を引き連れて、仙女との相見を待ちわびて居るであろう主のもとへと、歩を進めるのだった。



彼は謂わば、実行者









And that's all
(それでおしまい…?)

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解せぬ花