奇野 もずめ 03



計画は、即座に頓挫(トンザ)した。


何故って?

答えは簡単。


原因不明の病“達”で私は意識不明の重体に成ってしまったからだ。

数多の“病毒”達の御蔭で、軽〜く見積もって、1ヶ月は病院の床に伏せって居たらしい。


しかし、其の1ヶ月、私は懐かしい感覚に襲われ続けて居た。

そう…、“奇野”として、“病気”に“毒”に馴染(ナジ)む様に作らされて行った感覚。


そして、極めつけに、“向こう”での人生を、辿って行く様な夢を見た。

目が覚めると、其処には、幼馴染みの2人が、泣きそうな顔で此方を覗き込んで居た。





(##NAME1##)「デクに、かっちゃん?」



(緑谷・爆豪)「「##NAME1##/ちゃん!!」」





どうやら、両親は医師に呼ばれ、2人の付添人の親は席を外した時だったらしい。

デクは、わんわん泣き始めるし、かっちゃんも、かっちゃんで、愚図(グズ)り始めるし…大変だった。


子供の泣く姿は、嫌いだ。

と、言うよりも、どうして良いか分からず、苦手…と、言った方が正しいのか。

上体を起こして、よしよしと、頭を撫でて居たら、騒ぎを聞きつけたのか、両親や医師達が来て、更に大騒ぎに成った。


皆、奇跡だなんだと、大騒ぎ。

謎の数多の“病毒”に打ち勝ったと、新聞の記事や、ニュースにも出てしまい、心底、参った。


“前世”じゃ、考えられ無い事だった。

まぁ、そりゃ、“裏社会”で生きて来たからなんだけれども。


だから、勘弁して欲しかった。

何せ、“奇野”にとっては、不都合、極まりないからだ。

“奇野”、前世での私の、ある意味、職業では、尚の事。


“奇野”は略称。

正式名を、【感染血統奇野師団】。

またの名を、【病毒遣い】。


『暴力の世界』の一派で、“戦わない事に長けてる”【呪い名】の序列3位に君臨する組織。

正確には、『直接手を下さない』だけに過ぎず、“殺す”と言う共通点に置いては、【殺し名】と何ら変わり無いのだけれど…。


まぁ、そんな事はどうでも良い。

悪夢の様な、綿菓子の様な“夢”から覚めると、『あら、不思議!』“前世”で得た、“病毒”達が、現在の、此の身体に、確かに宿って居た。


此れは、願ったり叶ったりの現象だった。

其の事実に、私は、込み上げて来る笑いを、隠す事は出来無かった。










And that's all
(それでおしまい…?)

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解せぬ花