奇野 もずめ 07



少女は、視線を、少年から外す。

外した視線を其の侭、男性へと移し、そして、目を合わせた。





(##NAME1##)「――――ひ」





少女…##NAME1##は、思わず、漏れそうになった悲鳴を、両手で口を押える事に因って、押し留める。

身体が、反射的に、いや、本能の成すがままに、退いた。





(##NAME1##)「(怖い!!!)」





全身と言う全身が、1つの隈なく顫動(センドウ)する。

心臓が、破裂せんばかりに、早鐘を打つ。


感じたのは、恐怖。

恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖。

恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖恐怖。





(##NAME1##)「(此の人は――――、怖い。)」





冷や汗が、滲み出る。

心臓が、ばくばく割れる。





(##NAME1##)「(でも…――――、)」





此の感覚は、覚えが、ある。

此の人も…――――――――、





(##NAME1##)「貴方も、人類最悪の…“魂”の持ち主!!」





そうして、思い出すのは、“前世”での“彼”。

白い着物に和傘と言う古風な格好に、狐の仮面を被って居た“彼”。



本名を、西東 天(サイトウ タカシ)。

愛称、【狐さん】。

自称、【人類最悪の遊び人】。

辣腕の機械師【砂漠の狐(デザート・フォックス)】。



世界の終焉を望み、周囲を狂わす存在。

【戯言遣い】の“敵”で、私の…――――。。。





(弔)「あ゙ぁ?てめぇ、クソ餓鬼!先生を、俺の恩人を…侮辱するなぁあああアアアーー!!!」





未だ、固まって男性を凝視(ギョウシ)し続ける、##NAME1##。

そんな、##NAME1##の思わず零れ落ちた言葉に、弔は激怒し、少女に向かって駆け出し、五指を振りかざす。


固まって動けない侭の、##NAME1##に、其れを防ぐ術は無い。

ボロボロと皮膚から浸食され、粉々に、散り散りに、バラバラに、崩壊する様に、殺されるのみ…――――。





(AFO)「まぁ、待ちなさい。そして、落ち着きなさい、弔。」





##NAME1##に弔の手が届く瞬間、オール・フォー・ワンは、弔の腕を掴み、##NAME1##の崩壊に因る死を、回避した。





(弔)「でも!だって!こいつは先生を侮辱しやがった!!」



(AFO)「果たして、そうかな?」



(弔)「え?」



(AFO)「少なくとも、僕には、歓喜の感嘆に聞こえたよ。まるで、称賛する様に…――――。」



(弔)「はぁ!?何言ってんだ、先生ッ」





オール・フォー・ワンの台詞に、弔は戸惑いを隠せず、反論しようとした。

…が、オール・フォー・ワンは、弔の腕を下ろさせ、未だに口元を覆って居る少女に、##NAME1##に近付き、其の幼い両手を、自身の大きな両手を使って口元から、引き剥がした。





(弔)「……ぇ?」





##NAME1##の双眸(ソウボウ)は、恐怖に満ち満ちて居る。

…と言うのに、其の唇は、歪(イビツ)に、歪んだ弧を描く様に三日月形をして居る。

そして、腫れて無い方の頬は、腫れて赤く成って居る頬に、負けない位、紅潮して居て、其処には、愉悦の色が確かに滲んで居るのを、弔は見て、感じた。





(弔)「………はぁあ!??」





意味が分からない!!と、弔は心の中で絶叫した。





(弔)「(何なんだ、何なんだ、何なんだ、何なんだ、何なんだッ、此の餓鬼は!!)」





継(ツ)ぎ接(ハ)ぎだらけの、理解不能な少女。

其れに苛立って、弔は、ガリガリと首を掻き始める。


そんな、弔を余所(ヨソ)に、オール・フォー・ワンは、##NAME1##に声を、勧誘の言葉を掛けた。





(AFO)「ふむ……僕達と一緒に来ないかい?」



(##NAME1##・弔)「「………はぁ?」」





オール・フォー・ワンの提案に、2人の子供は、素っ頓狂な声を上げた。

そして、言葉を失い、再び、オール・フォー・ワンへと視線を釘付けにされる。

少女は、 開いた口が塞がらないと言う程、大きく口を開け、唖然とし、少年は、信じられ無い、納得いかない、とでも言う様に大きく目を見開いて…。


そんな間抜け面を晒す2人に、オール・フォー・ワンは、思わず、笑みが零れる。

自分が発した言葉の意味を、理解する為の処理能力が追い付かない2人を、見て笑い、其れに追い打ちを掛ける様に、言葉を、紡いだ。





(AFO)「僕なら、君を護ってあげられるし、どうやら、並々ならぬ君の“訳ありの事情”への手助けをしてあげられるかもしれない。」





“此方”の事情も何も知らない癖に…。

たった今、バッタリ出遭ったばかりの、赤の他人の筈なのに…。

“彼”は、『先生』と呼ばれる正体不明の男は、的を射た、鋭い指摘をして来た。


そして、極め付けは『どうだい?』と、聞いて来る始末(シマツ)。

運命を、人生を、狂わされる様な、其れで居て、其のお誘いは、甘い毒を、連想させられた。










And that's all
(それでおしまい…?)

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解せぬ花