1メガトン級の核爆弾1000億個で爆撃された世界の話1
『世界が違えど、名作は名作』
と充分に証明が出来る程、前世の世界で生み出された数々の名作達は全弾命中、大ヒットした。
特に注目を集めたのが、まぁ、今世で言う無個性の人物(キャラクター)達が活躍する作品達だ。
「全員無個性だと!?」「無個性のキャラクターばかりなのに物語がちゃんと進んでいく!?」的な斬新さは大きな衝撃を与えた事だろう。
それはそうだ。今世の作品には、必ずと言って良いほど、登場人物達の個性が序盤に書かれている。
例えば、「桃太郎は動物に好かれる個性を持っていたので、きび団子をあげて更に仲良くなりました」とか「王子様は、身体がキラキラ光るというシンデレラの個性に惹かれました」とか、まあこんな感じ。
どの作品にも、必ず個性について触れられているし、それなしでは物語が展開しない作品ばかりだった。
そんななので、世界中の皆が無個性の世界、なんなら個性という概念自体がない世界。そんな設定でも物語は進む世界を書いた作品。それが、この世界の人たちにはウケたのだ。
スポーツを題材にした作品では、個性のように、現実離れした能力が飛び交う、テニスの王子様や黒子のバスケよりも、弱虫ペダルやスラムダンクの方が賞賛された。
他にも、どちらもファンタジーとSFを融合させた面白い作品として楽しめるけど、やっぱり、有個性みたいな世界観の鋼の錬金術師よりも、無個性みたいな世界観のDr.STONEの方が高く評価された。
こんな例もあった…どちらも人気の推理作品として君臨した名探偵コナンと金田一少年の事件簿は、大人向けで客層が狭い金田一よりも、子どもから大人まで楽しめる客層が広いコナンの方が、当然、人気はあった。
けど、有個性みたいな薬やサポートアイテムみたいな発明品が多々あるコナンよりも、そんな要素が全くない無個性要素だけの金田一の方が、やはりと言うか、注目を集める事が多かった。
同じ作者の作品同士でも、その傾向は強かった。例で挙げるならば、ジャパニーズホラー作品の金字塔になった小野不由美の作品達。
有個性みたいなキャラクター達が活躍する悪霊シリーズことゴーストハントよりも、無個性みたいなキャラクターが活躍する営繕かるかや怪異譚の方が話題性が高かった。
そう言った視点での見方に関しては、毎回毎回、主に掲示板上で大炎上レベルで繰り広げられる、無個性を貴い存在と位置付ける無個性至上主義者達と、個性至上主義や無個性者排斥を掲げる者達による、主義の対立の大論争が凄かった。
また、作品達は、個性の有無の問題だけに留まらず、ヒーロー社会の是非についても、世界中の人々を喧々諤々させた。
代表作を挙げるなら、鬼滅の刃、東京喰種、進撃の巨人etc...
基本的に人は自分の立場でしか思考しない、立場が変わると正義は変わる、人は誰しもが悪になる可能性がある、単純に善と悪では割り切れない、それぞれの立場や状況がある事。
自分と同じ1人の人間として扱い、ひとりひとりの個性や才能を尊重し、ひとりひとりと向き合うこと。対等な人間として尊敬し、1部分の弱さだけで判断しないこと。
その人の抱えている苦しみや悲しみに、ひとりひとりが寄り添おうとする事、加えて、対人援助職などの必要性を強く感じさせられた。
今の社会のように、ただ単純に表面だけを見て、社会に歓迎される者をヒーローと称賛し、社会に歓迎されない者をヴィランと糾弾し、それで、めでたしめでたしで片付けるだけで終わる社会について、見つめ直すきっかけを与えた。
勿論、他にもある。
個性の有無や、ヒーローやヴィランや一般人等と無関係に、読者全員もれなく、例外なく、宇宙猫状態に陥れた、西尾維新作品。(我に返った全員を混乱させながらも、やっぱり前世と同じように、厨二病のバイブルとされる。)
絢爛豪華で個性豊かな登場人物達が大量に投入され、織りなす独特の世界観に、リズミカルな会話劇、思わず笑ってしまうようなユーモア溢れるセリフもあれば、考えさせられるようなメッセージ性がある名言が多数登場する。
物語を引き立てる多彩な言葉の表現が見所で、巧みな言葉遊びに、人間の表裏一体を面白可笑しく、そして、しっかりと掘り下げるという思考回路をフル稼働させてくれる…そんな西尾維新作品に沼る人が、自分の立場に関係なく、続出した。
スポーツ作品で個性の有無に関係なく、協調性や友情が美徳とされてきた従来のスポーツ作品とは、真逆のアプローチを取ったブルーロックは、異質でイカれたスポーツ作品ダントツ1位とスポーツ界をも騒がせた。
本(文字と絵)を介した音楽作品に関しては、この音とまれ!が、音(歌と曲)を介してではないけれど、ボイスヒーロー兼ラジオDJのプレゼント・マイクを筆頭に音楽界から大絶賛された。
ついでに言うと、後に、この音とまれ!は、轟焦凍の1番好きな作品になる。なんでも、過去の克服や友情と成長など、とても親しみ深く共感が持てるからだとか。(好物の蕎麦と同じくらい語って布教する。)
「アイドル漫画でしょ?」って侮ると、良い意味で裏切られ、「やべっ、続き気になる!」ってなっちゃう不思議な中毒性があって、結構、社会問題的なテーマも取り上げられている作品の推しの子に、読者達は、大変盛り上がった。
特に、芸能界のシビアさや、マスコミの存在、SNS社会の闇、推す者と推される者のすれ違いで起こる悲劇や、送り手とお客の間で愛が通じ合う奇跡のような瞬間が、「実際あるよね」と感想を抱ける位、リアルに描写されている場面が多い所。
これが単純なファンタジーやほのぼのアイドル漫画じゃない、もう1つの魅力の推しの子は、芸能界の人達はもとより、Mr.コンプレスやメディア露出の多いヒーロー達を筆頭に、多くのエンターテイナーから、凄く賛同できる!と、激しく同意された。
意外にも、スピナー達、異形型に人気だったのは、カテゴリー的には少女漫画に入る作品の、高屋奈月によるフルーツバスケットだった。
物の怪憑きの人達や親などの周りの環境や、それ故の苦悩や葛藤に共感が出来たとか、そんな痛みを抱える自分とどう向き合うか、どう生きていくかのヒントをくれる作品だと、賞賛された。
余談だが、作品に出て来る「世界で1番馬鹿な旅人」は、ステインが大絶賛。見返りを求めない旅人に、酷く心を打たれたとの事。
ただの妖怪モノじゃない!荒れた心を優しく癒してくれる作品ナンバーワン!ポイントは、妖怪達がただの「敵」や「怖い存在」として描かれていない事。ほんわか、シクシク泣けるほど切なくて温かい、読むクスリとまで言われた夏目友人帳。
他とはまた違う方向で、このヒーロー飽和社会に、してはいけないと厳重に禁止されているような「倫理」や「性別」の固定観念を、隠し立てする事なく、堂々と表立って謳う由貴香織里作品は、衝撃的でセンセーショナルな作品として、注目を集めた。
天使禁猟区、伯爵カインシリーズを始め、美しい絵柄と、耽美なるゴシック的世界観と、個性的なキャラクター達よる、近親相姦や同性愛などの禁断の愛をテーマにした物語が、真面目に切なく描かれている作品達。
そんな素敵作品達に、前世で言うなら、90年代少女のような人達は、見事に沼落ちしたし、マグネを筆頭とするセクシャルマイノリティの方々にも、根強い人気を誇った。
これを機に、マグネは、幼馴染のお友達と、サイトで知り合い意気投合したLGBTの皆と共に、銀魂のおかまバー「かまっ娘倶楽部」みたいな店を構え、店主のママとして、お店を営んでいく。(HNも源氏名もマグネだが、皆からはマグ姉と呼ばれてる。)
ぇ?勿論、マグネ達にとって、銀魂と由貴香織里作品は、人生を変えたバイブルです←
ギャグ作品の金字塔と賞されながらも、刑務所で読んで救われた人が出る程に、凄く心に響く人生の教訓や学びを与えた、人生の教科書といえる作品の銀魂。
トゥワイスの一推しであり、自分を救ってくれた尊い作品。好きなキャラはマダオ。そのトゥワイスにサイトの存在を、そして、銀魂を薦めた義爛の好きなキャラは、坂本辰馬である。
なお、読者に【理想の教師像】を聞かれた際の答えで、暗殺教室の殺せんせーと、銀魂の松陽先生は、もう当然とばかりに最上位にランクインする。
初めの内は、個性の有無や、社会の適合者・不適合者などと主張の対立が頻発してたけれど、何度も作品を読んだり聞いたり、他の作品鑑賞者達と語り合いをするに連れ、次第に、大勢の者が、大なり小なり、程度の差はあれ、相互理解をする事が出来た。
無個性で苦労してきた者、個性で苦労してきた者。持たざる者の地獄があるならば、持っている者が見ている地獄もある事。他にも、社会から爪弾きにされた人間や、社会に馴染めない個性など、社会から逸れた者の地獄もあるのだと知る事も出来た。
今となってはの話だが、当初、ヒーロー公安委員会のような各国の組織達は、今の社会の基盤を揺るがしかねないと危険視し、作品のあるサイトと、布教者である摩耶と、(この世界には存在しないと知らない)作品の作者達を消そうと躍起になった。
他にも、学園アリスの作品で『盗み』と『入れる』アリスが出て来た時は、オール・フォー・ワンやオールマイト、その2人と深く関わる関係者達を動揺させ、もしや、自分たちの事を?と勘繰られ、捕獲対象にもされていた。
(しかし、西尾維新作品の登場人物である死線の蒼レベルとまでは行かないが、ラブラバやスケプティックより高レベルのスキルを持つ、工学のプロフェッショナルの摩耶の母親が作ったパソコンやサイトのお陰で、それらは昔も今も達成出来ていない。 )
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解せぬ花