「……誰?」

いつも通り俺は堀さんの家に来て、あれ静かだな、と思ったら2階から降りてくる見知らぬ人。誰?なんて俺が聞きたい。派手な銀髪はどこか見覚えがある気がしてならない。

「えっと、どちら様で……。」
「……あ、京子の彼氏か。」
「へっ。」
「あーーーっ!?」
「堀さん!?」

大きな声に振り返ると扉を開けて固まっている堀さんと創太。俺がまだ玄関から動けずにいるから人口密度が凄い。

「おかえり京子。」
「帰るなら言ってよもーっ!!」
「なんでなんで!?なんで居るの!?」

俺の混乱なんかに全く気付いていないのか見知らぬ人と堀さん達は盛り上がっていく。

「おかえりなさいっ。」
「おかえり!」
「ただいま。」

そして、抱き合って……え、抱き合って?

「ほほほほほ堀さん!?う、う、浮気だ!!」
「あ、宮村来てたの。」
「ひ、酷い!」
「ねえ京子、これお前の彼氏?」
「宮村ね。」
「ふーん。兄の名前です。」
「………えっ!?!?」

兄。堀家に兄。

「聞いてないよ!?」
「あれ、言ってなかったっけ。」
「聞いてない!!」
「宮村くん可哀想…。ごめんな、こんな妹で。」
「あ、いえ…。」
「ちょっと!」
「お兄ちゃんなんで帰って来たの?」
「んー?仕事辞めちゃってさぁ、部屋追い出されたんだよね。」
「流石だね!」
「なー。」
「はぁ!?名前仕事辞めたの!?何してんのよ馬鹿!!」
「大丈夫なんですか?」
「大丈夫、大丈夫。京子もそんな怒んなって。俺が帰ってきて嬉しいだろ?」
「それとこれとは別よ!」
「帰ってきて嬉しいのは否定しないんだ、そういうところ可愛いよなお前。宮村くんもそう思うだろ?」
「は、はぁ…そうですね……。」

この兄、顔とか性格は母似だけど髪とろくでなさは完璧に父似だ…!堀家やべえ!

「次の決まるまでは暫く家居るから。宮村くんも堀家みたいなもんなんでしょ?よろしくね〜。」
「よ、よろしくお願いします。」