故障主人公原作ラスト

人の歓声が鳴り響き誰が何を言っているのか分からないような中。俺の周りだけまるで空間が切り取られたように、耳に膜が張っているみたいに、呆然と一人だけ取り残されていた。

「苗字さん!」

確かに俺の名を呼ぶ声にようやく我を取り戻すも未だ冷静になれていないことだけは分かった。震えた身体は上手く動いてくれずに立ち尽くす。そんな俺の両手を力一杯に握ったのは目に涙を浮かべ堪えることもせずにポロポロと零していた歩だった。

「苗字さん…!勝ったんですよ…勝った、方南が…!」

歩がそう言うも俺の口からは言葉なんてものは出てこない。未だ震える身体は心とは裏腹にその事実を理解できているようだ。まるで凍ったかのように動かない身体に痺れを切らしたのは俺だけではないようで、手を片手に持ち替え歩は俺の足が縺れようが気にせず走り出した。俺もなんとか自分に鞭を打ち転ばないように足を動かす。

連れてこられた先は元いたところよりも騒がしく、けれどその中心はいとも簡単に見つけることができる。ここまで来ると流石の俺も現状が理解できて歪み出す視界に負けずに歩いていた。騒ぎの根源もどうやら俺に気付いたようで揃って駆け寄って来る。

「っ苗字先輩!」
「苗字先輩!」
「先輩…!」
「名前くん!」
「苗字!」
「苗字。」



「「「「「「勝った!」」」」」」



涙を流している奴も居るけれどみんなとびっきりの笑顔で青い空に浮かぶ太陽なんかよりずっと眩しく輝いて居る。視界が滲むのを隠すことも出来ずに彼らを見つめることしか出来ない。ああでも言ってやらなきゃ。

「…っ、おめでとう!」



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もうちょっと書くつもりだったけど置いてたら何書こうとしたか忘れました。

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