嘘で固めた愛はいらない
「やあ、おはようエルザ。ソフィーも」
「あら、私はついでなのね」
「ごめんごめん、拗ねないでよソフィー」
何が起こっているんだろう。
あの衝撃的な朝食から数日。リドルは毎日飽きもせずに私達の前に座り、一緒に朝食を取るようになった。ソフィーはすっかり絆され、仲良く談笑している。
周りを見渡すと、リドルの取り巻き達がこちらを睨みつけたまま器用にコーンスープを飲んでいた。
…見なければ良かった。
私はちびちびとリドルオリジナルブレンドを飲む。リンゴジュースをベースにとにかく甘いものを入れて混ぜ合わせたようなそれは、朝から甘ったるくて胸焼けしそうだ。だけど私は毎日それを律儀に飲み干している。
ふと顔を上げると、リドルと視線が交わった。ニコッと微笑まれ、慌てて顔を逸らす。今まで遠くから見つめては嫉妬し羨望していた相手でも、毎日続けて朝食を共にしている今、親愛に近い感情を抱いているのは確かだった。
胃袋を掴まれたのかもしれないな、なんて事を考えてみる。
少なくとも、前程リドルと同じ空間にいる事を苦痛に感じる事は無くなった。賢い彼の話を聞くのは楽しかったし、生徒に人気なのもその会話の上手さからくるものだと分かった。得体の知れないインチキ神もどきという認識から、話の面白い気さくな優等生に変わるくらいには仲良くなったと思う。
ちら、と正面を盗み見れば、目を軽く伏せて優雅にアップルパイを口に運ぶリドル。
自然と顔に熱が集まるのを気にしないように務めながら、食パンを千切って口に放り込んだ。
初めて会話してから数日で恋に落ちるだなんて、そんな出来すぎた話がある訳がない。
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