14.マシンガントーカーの襲来
パッと見仲睦まじい男女が二人きりで使用している(意味深)コンパートメントに突っ込んでくる勇者ってのはほとんど居ない。全くじゃなくてほとんどって所がミソだ。居る奴は居る。例えば、我らが主人公ハリー・ポッターの父、とか。





通路では空いているコンパートメントを探してうろうろしている生徒が何人か居て、ホグワーツに着くまで立ちっぱなしってのは辛いよなぁ、と他人事のように考えていると、急に扉がガラッと開かれた。


「ねえ、ここ空いてる!?空いてるよね!僕ジェームズ・ポッター!よろしくね!今年から入学するんだけど君達は何年生!?ってああ!その銀髪はグレンフェル家の…って事は君がリーザ・グレンフェル!そしたらそっちの君はブラック家のシリウス・ブラックか!うげぇどっちも純血主義の家じゃないか!最悪だ…なんで純血主義なんて頭おかしい奴らのコンパートメントなんかにはいっちゃったんだ…今日の星座占いが12位だったのはこういう事だったのか…あ、いや何でもないさ。僕は別のコンパートメントを探す事にするよ。お邪魔しましたー!!」

「待て待て待て待て待て」


慌ててガシッとジェームズの腕を掴み引き止める。何なんだ、何なんだこの自由人。元気か。元気すぎるわ。
というか星座占いチェックしてきたのかよ可愛いな!!


「えっなんの用?」

「いやぁ…」


(ここで君に出ていかれちゃったら、シリウスとの親友フラグが立たないんだよねぇ…)

なんて言える訳も無いので苦笑いで誤魔化す。日本人は困ると曖昧な笑顔で誤魔化すんだぞ知ってたか。今の私はイギリス人だけどな!


「おいてめぇ、ジェームズ・ポッターって言ったか?勝手に俺の事純血主義者なんて決めてんじゃねえよ!」

「えっ違うのかい?」

「ああ違うさ!俺はあいつらとは違う。あんなクソみたいな連中にはならねえ。そうだよなリーザ!」

「あっ、うんそうだね」


名前呼ばれて反射的に返事しちゃったけど駄目じゃん。
クソみたいな連中代表枠ブラック家じゃんこれ。
レギュラスは天使みたいに可愛いしヴァルブルガさんだって子供思いの良い人なんだぞ!
オリオンさん?知らん。あまり話した事無いから分からん。
まあそれは置いといて、ブラック家は純血主義だけど可愛い所もあるんだ。クソみたいなとは言っちゃいかん。
そうシリウスに力説したらジェームズに大爆笑された。この子の情緒は大丈夫なんだろうか。ちょっとお姉さん心配。


「ひひっ、あはっ、君達面白いね!!分かった分かった、それでブラック、君が"クソみたいな連中"とは違うって事を周りに証明するにはどうするんだい?」

「グリフィンドールに入る。それで証明できる」

「ヒュー!気に入ったよ!僕はジェームズ・ポッター。ジェームズで良いよ、これからよろしくね!」


笑顔で私とシリウスの手を握り(元々ジェームズの片手は私が握ったままだったが)、上下にブンブン振ったジェームズ。シリウスと目を合わせ、うん、と頷く。


「俺はシリウス・ブラック。シリウスって呼んでくれジェームズ」

「私はリーザ・グレンフェル!リーザって呼んで!」

「よろしく、シリウス、リーザ!」


もう一度手をブンブン振って初男友達GETだぜ!やったねシリウス、親友GETだよ!


「あのさ、荷物置いて良いかな?」


足元に置かれたトランクを指して困ったような顔をして笑ったジェームズを見て、慌てて道を開けてトランクを詰んでやったシリウスまじイケメン。


…あれ、私なんか忘れてなかったっけ。





「ふぁぁ…あれ?」


いつの間にか眠ってしまったらしい。
私の肩にはシリウスのものと思われるローブが毛布替わりにかけられていた。ありがとうシリウス、あったかい。
ジェームズとシリウスが無事意気投合し仲良くなって良かった良かったと微笑ましげに2人を眺めてたら眠くなっちゃって…そのまま寝たのか。アホだわ。

コンパートメント内には2人の姿は無い。きっと探検にでも出かけたのだろう。


で、なーんか忘れてませんか私。


コンパートメント内、寮について、親世代初の顔合わせ…

あっ。


「あああああっ!!」


リリーとスネイプ先生が同じコンパートメントに乗ってないじゃん!!
私というイレギュラーがいたせいで!!
同じコンパートメントに乗ってないじゃん!!

や、やらかしたぁぁ、と頭を抱えて蹲る。完全にやらかした。どうしよう、このせいでハリーくん産まれなくなっちゃったらどうしよう。

オロオロして何度も何度も窓を開け閉めする。人間荒ぶると無意味な行動を取りたくなる生き物なんです。
ガッタンガッタン建付けの悪い窓を開けたり閉めたりしていると、「たっだいまー!」と元気な声でジェームズが入ってきた。


「聞いてくれよリーザ!!さっきシリウスと2人で探検してきたらさ、素敵な女の子に会ったんだ!!彼女と目が会った瞬間、時が止まったようだった…これって」

「恋だね」

「そう恋さ!!彼女はきっとグリフィンドールに入る!恋の引力が僕と彼女を引き合わせてくれるに違いない!」

「ジェームズ、邪魔だ」

「ごめんよシリウス」


ありがとう恋の神様!!ハリーくん産まれますよ!!
どうやら運命は多少誤差が生じても正史に沿うように直されるもんらしい。一つ学んだ瞬間だった。


「でも隣にいた奴はすげえ陰湿そうな奴だったな。あいつはスリザリンに違いねえ」

「そうそう!僕と彼女の会話の邪魔してきてさ、嫌な奴だったよ」

「リーザも気をつけるんだぞ」

(うわスネイプ先生ェ)
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