16.現れたまえ我が同志
先輩達に手厚く歓迎され、純血がどうこう言われたが持ち前のスルースキルを発揮して適当に空いている席に座った。辺りを見渡すとルシウス・マルフォイ(めっちゃ若い)と目が合ったので会釈しておいた。
素敵なプラチナブロンドですね。はは、君も素敵なシルバーブロンドだ。なーんちゃって。
新入生全員の組み分けが終わったらダンブルドアによる挨拶、そして豪華な夕食が始まった。
だがしかし、特に面白い出来事もなく、周りの新入生仲間に話しかけようともビビられて上手く会話が繋がらず人がいるのにぼっち飯状態になったので割愛する。
どうやらシルバーブロンドはグレンフェル家の特徴らしく、ブラック家とお友達なグレンフェル家はそれはもう凄く高い地位なのだそうだ。初めて知った。知らなかったって言うのはダサいから日本人お得意のアルカイックスマイルで誤魔化したけど。
カロリーがめちゃくちゃ高そうな料理に舌鼓を打ちデザートまで楽しんだら楽しい楽しい部屋分けタイムだ。
まあ上級生が既に部屋分けしておいてくれたらしいんだけどね!こういうワクワクイベントってのは楽しんでおかないともったいない精神が働いてしまうのだ。
監督生に着いてこいと言われたので皆でぞろぞろ着いていくと、地下にあるスリザリン寮にたどり着いた。
薄暗いしなんなら肌寒いくらいなんだがここで7年間過ごすのか?石造りの地下に生徒寮を作ろうと言い出した創設者は誰だ。せめて保温魔法でもかけてくれれば良かったのに、と心の中で愚痴りながら寮内に足を踏み入れる。
合言葉なんだっけなぁ聴き逃したなやばいなと思いながら談話室に入るとあらびっくり。シンボルカラーの緑色で纏められたシックな談話室がそこにあった。
さすが貴族意識の高いスリザリン、革張りのソファーやテーブルが落ち着いたダークブラウンで統一されており、品の良さが感じられる。
「部屋の前に名前が張ってあるからよく見るように。では、入学おめでとう。明日から期待している」
監督生のルシウス先輩はフッと笑うと(イケメンの微笑みにちょっとドキドキした)、優雅に男子寮の通路へ消えてしまった。イケメンは罪深い。期待しているって言われたら期待に応えられるよう頑張らなきゃって思ってしまうじゃないか。私も気が向いたら頑張ろう。
女子寮へ向かう新入生の女の子達の後ろを着いていく。
どこかなどこかなと自分の名前を探していると、一番奥の角部屋に名前があった。私の他にあと2人いるらしい。すぅ、と深呼吸して扉を開いた。
「リーザ・グレンフェルです!これからよろしくね!」
叫んでから中に入る。部屋の中には荷物を片付けている姿勢のまま固まった女の子2人。
あ、失敗した。
順番を完全に間違えた。
てへぺろ、と頭を小突いてみるがアホにしか見えない。女の子達は口をあんぐり開けてこちらを見ている。どうしよう魔法界難しい。なんせ恥ずかしながら私、こちらの世界に来てからの友達がシリウスとレギュラスとジェームズしかいないのだ。…メンツが駄目だ。女子が居ない。
「ええっと…2人の名前を教えて欲しいな!」
気まずさに耐えきれず話しかけてしまった。ちょっとずつ前に進んで彼女達と距離を詰める。警戒しないで、怖くない怖くない、と某風の谷の少女が頭の中で王蟲と踊っている。そう、怖くない怖くない…
じりじりと距離を詰め、遂に50cmくらいの距離まで近づけた。困惑する少女達にもう一度名前を教えて欲しいな、と言うと、金髪をポニーテールに纏めた女の子が「ケイト・マクラーレン…」と小さく答え、黒髪をストレートに下ろした女の子が「ノエル・オリヴィエですわ」と薄く微笑んだ。
「ケイト、ノエル、これからよろしくね!」
2人の手を取ってブンブン振ると、2人は困ったように顔を見合わせ、こくりと頷いた。
なんだろう、純血主義の貴族らしくないって思われてんのかなぁ。
貴族ってなあに?教えてトライさん。
我が家が特殊過ぎて正しい貴族としての振る舞い方が分からない。別に貴族らしく振る舞う必要は無いと思うんだけどね。
まあこのまま気まずさ満載のルームメイトで終わるような奴じゃないのさ、この私は。
思った事はなんでも聞く。だって子供だもんね!
「あのさ、2人ともやっぱ私の事苦手って思ってる…?グレンフェル家だから?私自身の性格が苦手?」
「そ、そんな事ないよ…!」
眉を下げて悲しそうに微笑むと、ケイトが慌てて否定した。ごめんケイトちゃん、計画通り。「本当?良かった!」と明るい笑顔に切り替えるとケイトもはにかんでくれた。よし、攻略完了。
「あの、少しよろしいかしら?」
「いいよいいよ、どうしたのノエル」
「貴女の荷物に付いているそれ…防犯ブザーじゃないですか?どうして貴女がそれを?」
「えっちょ、落ち着いてノエルちゃ」
「なんで純血主義の家庭の貴女が防犯ブザーを!?マグル好きなんですか!?私もですわ!!」
「ちょっ揺らさないで揺らさないで!!」
ケイトと距離を縮められたと思ったら防犯ブザーを見つけてテンションが上がったノエルに肩ゆさゆさと揺さぶられてた。この症状を私は知っている。知っているぞ!!
「ノエルちゃんマグルオタクだな」
「はっ、何故それを…!!」
えっと目を丸くさせたケイトには悪いが、「みーとぅー」と悪い笑顔を浮かべてノエルとガシッと固い握手を交わす。
「まさかここで同志と会えるなんて思ってもいませんでしたわ。スリザリンという敵地に放り込まれたスパイの気持ちで7年間を生きようと思ってたのですけど」
「なんだそれ面白いな!!ちょっと待って、ノエルは純血…?」
「純血ですけど、両親が変わってまして。マグル廃なんですの」
「みーとぅー!!!」
感情が高ぶり熱いハグを交わす。どこかで聞いたような話だ。まんま私の家じゃん!!同志に出会えてテンションがおかしいノエル、ぽかーんと置いてけぼりのケイト。
「あの、私は混血だから…家にマグル製品色々あるよ」
マジかよ、と綺麗にハモる私とノエル。マグルの話色々聞かせて、と荷物そっちのけでベッドに3人で上がりお喋りが始まった。
マグルの力ってすげー!
さっきまでカチコチだった空気はマグルという共通の話題を得た事で暖かくなった。
ルームメイトがマグルに理解があって良かった、とほっと息を吐く。
「マグル大好き同盟」の大きな戦力となってくれそうだ。
それから私達は、夜が更けるまでマグルについて語った。
やったねお父様、女の子のお友達2人纏めてGETだぜ!
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