19.悪戯仕掛け人の結成
『マグル大好き同盟』とは、文字通りマグルが大好きな人間が集まった秘密組織の事である。会員はスリザリン生オンリー。そう、私はスリザリン生の中にこっそりマグル大好きな裏切り者達の為の団体を作ろうと思っている。私達の代からマグル沼に落とす事によって、ホグワーツ最終決戦の敵陣営の人数を少しでも削りたいという完全に超個人的事情からなるとんでもない狙いがあるのだが、まあそこは黙っていればよかろうなのだ。
とにかく、純血サイコー!からマグルってすげー!に沼を移動してもらう。狙うのは私達から下。上は無理だ。私が7年生の時に1年から7年までマグル大好きになった純血の子が1人ずつでもいれば、後は細々とその意思を継いでくれるだろう。全ては私の力量次第だ。


「という訳で2人ともマグル大好き同盟に入ってくれない?」

「良いですわよ。面白そうですしね」

「私も良いよ…!」

「やったー!会員2人ゲットー!活動内容は休日の数時間だけ集まってマグルについてだべるだけっていうゆるーい会にするつもりだよ」

「場所は決まってますの?」

「うーん、校舎の8階にあると言われている必要の部屋、かなあ。マグルグッズ出してくれそうだし」

「へえ、そんな部屋あったんだ。知らなかったな」


あっやべ。本の内容は基本的にネタバレがいっぱい詰まってるから話す時は気をつけないといけないんだった…!


「あー、え、えーと、図書館の奥の奥のそのまた奥の本に書いてあったんだ…って上級生が。嘘だろって笑い飛ばしてたけど、私はあると思う。ホグワーツだし」

「まあスリザリン生でマグル好きな人なんて私達3人だけでしょうし、しばらくは自室で良いと思いますわよ。部屋探しはリーザに任せるという事で」

「おっけー任せて!」

「ありがとうリーザちゃん!」


胸をどんと叩き「リーザちゃんに任せなさーい!」と笑うと、ノエルは「頼んでおいて何ですけど心配ですわ…」と苦い顔をした。美人に苦い顔をされると心が苦しいね。真面目に頑張ろうと思います。





「やあリーザ、ちょっといいかい?」

「やあジェームズ、カツアゲなら他所のスリザリン生に当たって。私のオススメはルシウス先輩」

「わお!それは魅力的だね!だけど今用があるのはリーザ、君なんだ。シリウスも待ってる。着いてきてくれないかい?」

「おっけ行こうすぐ行こう」

「本当シリウス大好きだね…」


哀れむような目で見つめられ、「見ちゃいやん」と頬を染めて顔を背けると「勘違いしないでよ!僕はエバンズ一筋だ!」と怒られた。なんだよ、からかっただけじゃんか。
まあそれはさておき、ジェームズがスリザリン生に話しかけるなんてどういう事なのだろうか。ホグワーツに入ってからこれが初会話である。

正直ジェームズとはあまり関わりたくないんだけどな…未来が辛いからね。でもシリウスも待ってるって言ってるし、とノコノコついて行く私。意志が弱い。だってシリウスに会いたいじゃん!既にレギュラス不足で死にそうなんだよ!せめてシリウスで栄養補給したって良いじゃん!心の栄養補給、大事。

誰に向けての言い訳なのかよく分からない言い訳を脳内でしていると、人気の少ないスポットして私の中で定評のある禁じられた森の前まで来た。


「はい、連れてきたよ!」

「遅かったじゃねえか」

「ス、スリザリン生…!?」

「こいつはスリザリンだけど良いスリザリンなんだよ」

「へえ、君がシリウスのお姉さん。よろしくね」


木の後ろからぞろぞろと出てきたのはシリウスと後2人。ピーター・ペティグリューとリーマス・ルーピンと思われし少年。ピーターは怯えた表情でリーマスの後ろに隠れ、リーマスは苦笑しながら私に手を出した。


「厳密には姉じゃないんだけどね。リーザ・グレンフェルだよ。よろしく!」

「僕はリーマス・ルーピン。後ろに隠れているのが」

「ピーター・ペティグリュー…」


へい知ってます、とは言わず「リーマスにピーターね、私の事はリーザって呼んで!」と微笑んだ。


「挨拶は済んだかい?じゃあ今日の目的を話しちゃおうかな。…リーザ、君はスリザリンの中で『マグル大好き同盟』を作るってシリウスから聞いたんだけど本当かい?」

「えっシリウス言っちゃったの!?」

「すまん」

「良いよ許す!…けどもう言わないでね。スリザリンでさらし首にされちゃう。さっきの質問の答えはYES!既に2人の仲間がいるよ。同室の女の子達だけどね」

「へえ、早いな!それでその後リーザはシリウスに『ホグワーツの皆を笑わせられるような事をして欲しい』って頼んだそうじゃないか。そこで僕達は考えた!ホグワーツの皆が爆笑の嵐に包まれるような、そんな楽しい悪戯を仕掛ける組織を!その名も『悪戯仕掛け人』!!」


バーンとかドギャァァンとか効果音が付きそうなドヤ顔で仁王立ちのままふんぞり返ったジェームズ。わお、悪戯仕掛け人結成って訳か。おめでとうおめでとう、頑張れと気の抜けた拍手を送ると、ジェームズはキョトンとした顔でこちらを見た。


「何言ってるんだい?君も入るんだよ。言い出しっぺがやらないなんてルールに反してる」

「何のルールだよ」

「ジェームズ・ルールさ!」

「やだ可愛い」


なんなのこの子、俺様がルールブックってやつなの。可愛い。ちょっと胸がキュンとしてしまい、思わず「分かった、入るわ」と言ってしまった。


「よし、悪戯仕掛け人結成だ!頑張ろう皆!」

「「「「「おーー!」」」」」


右手を突き上げてから気づいた。
悪戯仕掛け人に私が入るという時点で原作の流れが変わっちゃうじゃん。幻の5人目になっちゃったじゃん。
やっちまったやっちまったと頭の中でお侍さんが踊っている。誰だお前。

さて、ここからどうしようか。早速どんな悪戯をするかで盛り上がっている彼らの輪から一歩引いて、私は上手く原作から離れないようどうすれば良いのか考える事にした。
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