20.手紙も毎日書くと話題が無くなる
「さーて、今日も話題を捻り出しますかー」


ううんと背筋を伸ばすとボロい椅子がギギッと音を立てた。いけないいけない、図書館内ではお静かにってやつだ。
離れたくないと泣くレギュラスに毎日手紙を書くねなんて口走ってしまったせいで本当に毎日手紙交換が続いている。消灯時間前に私が手紙を出すと、必ず次の日の昼食時間に手紙を持ったふくろうが飛んでくるというルーチンワークをぐーるぐる。段々書く事が無くなってしまい、『毎日手紙書くって言ったけどお互い封筒代が大変な事になっちゃうから1週間に1回の頻度にしませんか?』と送ったら次の日便箋が大量に送られてきた。

…つまりそういう事だ。

という訳で未だに律儀に毎日手紙を書き続けている。ブラック家にぽつんと残された弟分の為にも楽しい話題を提供してあげたい。そんな気持ちが篭もり、この時間はとても気合が入る。


「よし、書けたー!」


今日の話題はもうすぐ行われるクィディッチにした。最初に行われるのはスリザリン対レイブンクロー。スリザリンのシーカーを目指すレギュラスには良い話題だろう。

ふくろう小屋に行き、毛繕いをして待っていてくれたブラック家のふくろうに手紙を託すと、彼(彼と呼んで良いのだろうか)はぺこりと頭を下げ、手紙を咥えて飛んでいった。なんて頭の良い鳥なんだろう。魔法界ぱねぇ。
完全にふくろうが見えなくなった後、私はポケットからもう一通の手紙を取り出した。両親への手紙である。


「これ、お願いしても良いかな?」


近くにいたふくろうに頼むと彼は快く承諾してくれた。ホウとひと鳴きして私の手から手紙を奪うと、くるりと空を旋回してから颯爽と夜の闇へと飛び立って行った。

か、かっけえ〜!!ふくろうさんかっけえ〜!!

今の旋回は私へのサービスだろうか。なんだあのふくろう。イケメン過ぎる。顔がきりりとしていたような気がするようなしないような、そんな君の顔は覚えたぞ。帰ってきたら一口大のソーセージをあげようじゃないか。

ちょっとだけ気分が上がった私はふんふん鼻歌を歌いながら自室へと向かった。今日はとっても楽しかったね。明日はもっと楽しくなるよね。リーザ太郎!とロコちゃんの声が脳内で聞こえた。いやリーザ太郎って誰だよ。





私がふくろうに託した家族の手紙にはとある魔法がかけてある。それは家族以外の人間が封を破ると文書が燃えてしまうという素晴らしい魔法だ。それだけ厳重にするという事は、機密情報が詰まっているという事なのだが。では機密情報とは何か?それは、私に与えられた『お願い』と深く関わってくる。


『リーザに、お願いがあるんだ』

『お願い?何をすれば良いの?』

『純血主義を掲げていないスリザリン寮生の名簿を作って欲しい。すぐじゃなくて構わない。できれば卒業するまでに、だ。頼めるか?』

『うん。良いよ、任せて!』

『…難しい事を頼んでしまってすまない』

『大丈夫大丈夫!気にしないで!』


以上、回想終了。既に2人、ノエルとケイトを確保したからその事について書いた。ついでにマグル大好き同盟を設立する事も。
深刻な顔してどんな話をされるのかと思いきや、意外と簡単な話で正直驚いた。隠れマグル崇拝組織作るより遥かに簡単な仕事だ。余裕のよっちゃんだ。お母様は最後まで反対していたが、私の反応があまりにも軽いので諦められた。
一体名簿を作ってお父様はどうするつもりなのだろうか。ヴォルデモートに反旗を翻すのか?やめておいた方が良いと思うんだけどな。全てが終わってからルシウス先輩のように嘘八百並べ立てて逃げる方が賢い選択だと思う。まあヴォルデモートが滅ぶと知っているのは私だけだから口が裂けてもそんな事言えないんだけど。言ったら最後預言者だなんだと持ち上げられて歴史が変わるエンドだ。みんな死ぬしかないじゃないエンドは嫌だ。

と、色々悩んでみたが初歩的な魔法しか使えない私がどうこう考えても時間の無駄でしかない。今すべきなのはマグル大好き同盟の為の必要の部屋確保と、あと…悪戯仕掛け人としての活動だ。本当にどうしてこうなった。


自室に戻るとよほど難しい顔をしていたのかケイトに「ひっ」と悲鳴を上げられてしまった。うじうじ悩むのはキャラじゃない。悩みと嫌な宿題は全部ゴミ箱に捨てて、私は「人の顔を見て悲鳴をあげるなんて酷いじゃないか!こしょこしょしてやる!」と満面の笑みを浮かべながらケイトに飛びかかった。

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