130a...
ポアロから待ち合わせ場所へと急行した降谷は、なまえとのデートの日取りがこの時期に重なってよかった、とまるで童心に返るようにワクワクしながらそう思っていた。キラキラとした街中。素敵なクリスマスの始まり。なんとなく浮き足立った世間にまで、急に味方されているようだと都合よく思えて嬉しくなる。冬なのに、暖かさまで感じるこの街の空気からも、降谷は俄然、勇気をもらって。今日は、愛しいなまえに告白することを強くその心に決めていた。
約束の時間より少し早く到着していた彼は灰色のマフラーに顔を埋めながら、手元のスマートフォンを操作してネット上のとあるページを見つめていた。題された文字はずばり、イルミネーション特集。冬の夜長を彩るライトアップ情報を一挙に集約したそのページの下部へ、指先ひとつでスクロールしていけば、これから彼女と向かおうとしている場所が数件目に表示されて思わず指を止める。そこに添付されていた写真は去年のものらしかったのだが「カップル・ファミリー人気はやっぱりナンバーワン!」という、いかにも平和ボケした謳い文句が、わずかに降谷の頬を染めた。
一瞬、告白の場所としてはベタすぎるかと思いながらも、その写真を見ていたら、嫌が応にもそこに自分となまえの姿を投影してしまう。昨夜、眠れずに考えた告白の言葉は、結局のところ上手くまとまらず。どれだけ愛を語り尽くしても、陳腐で足りないようにしか思えないから、いまいちそのセリフまできちんと決めきることができなかった。この十年以上にも渡る拗らせた積年の想いを、あの鈍感ななまえに正確に伝えるには一体どうすればいいのか。それに相応しい言葉を、彼は未だにずっと探し続けているのである。
そうして降谷がスマホと睨み合いをしながら、悶々とそのセリフを考え込んでいたとき。約束の時間ぴったりになって、なまえが背後からひょっこりと顔を出す。
「れーいっ!」
ふいに本当の名前を呼ばれて、意図せず彼の心臓がドキリと大きく飛び跳ねた。降谷のことをそんな風に呼ぶのは、この世界で唯一なまえしかいない。いろいろ考えるのに必死すぎて声をかけられるまで彼女が来たことに気づかなかったらしく、降谷はとっさに顔を上げる。
その視界に映ったのは。スカートの丈を恥ずかしそうに気にしながら小さく手を振っている、工藤なまえ。降谷はすぐに気がついた。やわらかそうなパウダーベージュのコートを着ているせいで見えている部分は少ないが、彼がその服を見間違えるはずがない。なぜなら、彼女がコートの中に着ていたのは降谷が安室としてなまえに買い与えた、唯一のプレゼント。レモン柄のワンピースであったのだから。
「なまえ、その服……」
「えへへ。もう着ないって思ってたんだけど。二十代最後だし、おばさんになったら着れなくなりそうなくらい可愛い柄だから」
ちょっと寒いけどね、と。つけ加えて話す彼女は、アウターのポケットに両手を入れて子どもっぽく笑う。その様子があまりにも可愛いから。降谷はある意味さらに悶々としてしまい、早くもキャパオーバーになりそうなくらい愛しい気持ちをひた隠しにしながら、こうまでも自分の心を永きに渡って盗んでいくなまえの無垢さを呪わずにいられなかった。
「まずいな……」
「? どうかした?」
「いや、別に」
「?」
別に。そんな可愛げの欠片もないその言葉は、彼女の目にも実に素っ気なく映ったことだろう。でも、今、口を開いたらもう駄目なのだと降谷は人知れず思う。散々考えていた計画を台無しにしてしまうくらい、今すぐ告白してしまいたくなる。一刻も早く、彼女の全部を自分のものにしたいから。
いや、どうかここは一旦、落ち着こう。彼の頭の中には、先ほど自己投影しながら見つめていたイルミネーションの写真がぼんやりと思い起こされて、その輝かしい景色の方がよっぽど今いる場所よりも告白の場に相応しいと思える。そう必死に納得して、自分自身でその衝動に歯止めをかけた。
けれど、一方のなまえは、降谷のそんな素っ気ない態度にはもう慣れっこのようで。そのままいつも通りの笑顔を見せて、彼を誘うようにその腕を引く。
「それより、早く行こう? 今なら前に見れなかったイルカショーの最終回に間に合いそうだから」
「ああ」
「ペンギンの餌やりにも間に合うかも」
なまえはそう言うと、はやる気持ちを抑えきれないように先に意気揚々と歩き出す。そう。ふたりはこれから、以前、安室透として一緒に行った東都水族館へと、まさしくリベンジデートに向かうことになっていたのであった。あの日、景光の最期の場所に行った後。彼が「降谷零としてデートをして欲しい」となまえに申し入れれば、彼女はふたつ返事で「だったら東都水族館だね」と即答したのである。それを聞いた瞬間から、降谷の今日の計画は始まった。水族館内にある広場は、イルミネーションが毎年有名であることも。そのライトアップが始まる日も。時間も。彼は逐一周到に調べて、自らの告白のシチュエーションを万全に整えていたのである。
でも、その前に。手くらいは繋いでもいいよな? なんて。降谷はまるで誰かに確認でもするみたいにそう思うと、彼に構わず前を行くなまえの小さな手を取ろうと腕を伸ばす。しかし、その瞬間。なまえがくるりと何の前触れもなく振り向くから、別に悪いことを企んでいたわけでもないのに、思わず彼はその手を引っ込めなければならなかった。
「零。今日、すっごく楽しみにしてたでしょう?」
降谷はそれを聞いて、びくりと肩を震わせた。その口調が、やけに断定的な言い方だったからだ。とある危険な組織に潜入捜査までしているくせに、そんなにわかりやすい態度をしていたかと思うと「それでよく公安が務まるな」という風見を叱責するために頻用しているセリフが自分自身に思い浮かんで恥ずかしくなる。かと言って否定するのは、なまえに嘘をつくことと同じだから。降谷は伏し目がちにおずおずと肯定した。
「まあ、な」
「クラゲ、好きだもんね?」
「…………は?」
「え? 違うの?」
なまえはそう言うと、一瞬にして怪訝な顔つきへとその表情を変えた。確かに前回、安室透として彼女と一緒に東都水族館に行ったとき。終盤近いクラゲの水槽のところで、なまえが知り合いに会いそうになって思わず走り出し、きちんと見られなかったことを怒っているのだと勘違いされたことがある。しかし、それはあくまでただの勘違い。実際はあのとき、彼女の口から聞きたくもない「昴くん」という名前を聞いて激しい嫉妬に駆られていただけなのだが、依然として鈍感すぎる彼女には、それがまったくと言っていいほど伝わっていなかったようだった。
まあ、もう今さら蒸し返す必要もないか。苦々しく思いながらも、降谷はそう合点して。不思議そうな顔をしているなまえを軽くいなすみたいに、至極どうでもいい感じでうんうんと首を縦に振る。
「いや、うん。そうそう。クラゲ、見ような」
「?」
「ほら、置いてくぞ」
その、なんともなまえらしい勘違いをしてくれたおかげか、変に意識していた緊張感はいつの間にかゆるやかにほどけてしまっていた。だから今度は、強引にも彼女の手を握ることができて。そこからはまるで恋人同士が寄り添い合うみたいに、歩調を合わせて歩き始めるのである。お互い、無性にドキドキして。ワクワクして。そんな素敵なデートの始まりであった。
case130a. 出会ってくれてありがとう
なまえが楽しみにしていたらしいイルカショーの時間は余裕で間に合い、大きなプールで雄大にジャンプをしてみせる可愛いバンドウイルカたちの様子をふたりは大いに喜びながら並んで鑑賞した。さらに、前回は時間が遅くて見ることができなかった、ペンギンの餌やりタイムや触れ合いコーナーにまで間に合って。なまえは一貫してずっと楽しそうな表情を浮かべて笑っている。そんな彼女の傍にいる降谷の感動はまさしくひとしおで。これ以上の幸福は今までに感じたことがないな、と。彼は大真面目にも本気でそう思っていた。
一方のなまえも、今までで一番近くで降谷のことを見つめていたが、彼が感じている幸せというこの上ない感情が光栄なことにも目に見えるように感じられて。楽しくて、嬉しい気持ちが、さらに輪をかけて増していくのであった。以前も安室と一緒に来たが、その彼とまったく同じ顔をしているはずなのに、気持ち的には全然違う。長年ともに傍にいて、自分のことを知り尽くしている降谷と一緒だからこそ何も飾らない素のままの自分でいられることができて、なまえ自身、とても気持ちが楽なのである。
そしてそれはきっと、降谷も同じだろうと思う。安室透でも、バーボンでもない。たったひとりの「降谷零」として、なまえと再び同じ時間を重ね合わせるように新しい思い出を共有できたことが、今は何ものにも変えがたい愛しい時間になっていくのであった。
降谷が見たがっていたと思われる幻想的なクラゲの水槽ももちろんきちんと見終え、ひと通り回った後。出口のゲートまで来た彼らは未だ手を繋いだまま、これからの予定についてその場で軽く話し合うことにした。
「少し疲れただろうし、どこかカフェでも入ろうか。夕食にはちょっと早いし」
「うん」
そう言って、ばっちり降谷がリサーチ済みであった水族館に併設されたカフェを目指して歩き始めたとき。なまえはその道の途中でちょいちょいと、彼の服の裾を引いてあるものを指差すのである。
「零。見て」
「ん?」
なまえの指先が差し示した場所にあったのは、本当に何の変哲もない、どこにでもある普通の赤い自動販売機であった。しかし、その下段中央にディスプレイされていたレモンスカッシュに視線が吸い寄せられてしまうのは、それを「ふるさと」として懐かしむことのできる彼らであれば、当然のことだったのである。
「私。お洒落なカフェよりも、今はあれがいいな」
そう言って笑うなまえがやっぱり可愛くて。降谷もお返しのように笑って、静かに頷いた。
「同感だな」
そうしてふたりしてカフェには行かず、自動販売機で懐かしのレモンスカッシュを買い、寒空の下でムードも何もなくその場で乾杯をした。日は既に暗くなり始めており、イルカやクジラなどのモチーフが置かれたイルミネーション会場である広場には少なからず人が集まり始めている。点灯までの時間を測るために降谷が腕時計を確認すれば、ちょうどあと十分ほどだということがわかった。告白のタイミングが点灯した瞬間というのは考えていなかったが、それもまたいいかもしれないな、なんて。彼は次第にうるさくなる心臓をなんとか静めつつ、ひとりでそんなことを考えていた。
レモンスカッシュは、実は冬になると消える自動販売機が多い。単純に暑い夏に比べて、売り上げがガクリと落ち込むせいだろう。暖かい飲料に場所を明け渡す意味もあるのかもしれない。だから、この時期にこれが飲めるのはかなりのレアケースで、運がいいとも言っていいだろう。高校の自販機は、たぶん、三人のおかげで売れ行きがよかったから通年販売されていたのだろうなと、大人になってからその現実味ある事情を推測することができた。
しかし、さすがに少し寒いことは寒い。隣にいたなまえがくしゅんとくしゃみをしたところを見て、降谷は自分のマフラーを彼女に巻いてやることにする。なまえに風邪を引かせないようにすること以外に何も意識していない自発的な行動であったが、その既視感に一瞬、彼の手は止まってしまった。高校の、卒業式の日のことを思い出したからであった。
「ありがとう。あったかい。零の温度、残ってる」
「……」
「でも、寒くない? 私の右のポケットにカイロが入ってるから、手入れてもいいよ」
「……」
無邪気になまえがそう提案してくれているにもかかわらず、降谷は終始無言であった。なぜならその胸の内は、またも感情を溢さないよう必死に耐えていたからである。
零の温度って何だよ。手入れてもいいとか、普通に勘違いするだろ。だから、頼むから。告白したくて堪らなくなるから、まだあんまり可愛いことを言わないで欲しい。伝えるべき言葉もまだきちんと決めきれていないのに、気持ちばかりが先走ってしまうから。降谷はなまえのことを愛しく責めるみたいに、恨めしくそんなことを思ってしまっていた。
けれど、そんな配慮が必要であるなど一切思ってもいないなまえはあまりにも楽しかった水族館の興奮から覚めやらぬ様子で。たとえ一方的になったとしても構うことなく、レモンスカッシュに口をつけながら無言の降谷に楽しげに話を続けるのである。
「前は時間が遅くて、イルカショーとかペンギンの餌やりとか見られなかったからすっごく楽しかった! 水族館って癒されるね」
「……」
「次はトロピカルランドなんてのもいいなあ。ほら、高校生のとき。ヒロと三人で行ったよね? 変なカチューシャ買ったの、覚えてる? ヒロのは普通だったのに、零のは確かリボンがついてて……」
「なまえのはカエルだった」
「そう! 全部、ヒロが選んだんだよね!」
なまえはそう言って、大きく笑う。降谷はもちろん、そのときのことも思い出していたが、もっと胸の深いところで別のことを考えていた。
なまえと過ごした、美しい日々のこと。
高校一年の、初夏。いつも通り親友とギターを弾こうとしていたら、突然、心まで暖かくなるような優しい音色が聞こえてきたのだ。忘れもしない、ピアノの音が。しかも、自分たちの演奏を聴いていたとしか思えない『ふるさと』という選曲とアレンジの手法。ふたりはすぐに顔を見合わせて、ピアノがある音楽室へと気づけば駆け出していた。そのときから降谷は、大きな好奇心を綯い交ぜにしながらも心の奥底ではドキドキとした予感をしていたのであった。これは、自分の運命が変わる音なんじゃないかって。
案の定、音楽室でピアノを弾いていたなまえの笑顔に一瞬にして恋に落ちた。後は自分で自分が馬鹿になってしまったんじゃないかと思うほど、独占欲を剥き出しにしたりして。景光のために作っていたと思ったレモンパイも、食べたくないから嫌いだなんて言って、嘘をついて。傷つけて。思えばいつも、降谷はなまえのことを泣かせてばかりで。好きでいる資格なんかないんじゃないかって何度も思ってやめようとしたのに。それでも呆れるくらい、一度たりとも諦めることなんてできやしなかった。
大学に入って。警察学校に入って。公安になって。なまえと音信不通になる道を選んだのは自分のくせに、それでもやっぱり最後まで諦めきることができなかった。一緒になまえを迎えに行こうと約束していた景光を守ることができずに先立たれ、もう彼女に合わせる顔がないとも思ったくせに。別人になりすませば傍にいられるかもと都合よく考えて、その結果、やっぱりめちゃくちゃ傷つけた。
学習能力がない自分が嫌になるほど、降谷はこれまで繰り返し何度もなまえを泣かせてきた。でも、今。何のしがらみもなくなって。すべてをさらけ出して。何もかも楽になった瞬間、わかったよ。なまえ。僕はお前のことがやっぱりこの世界中の誰よりも大好きだ、って。
饒舌に笑顔で昔話をし続けるなまえの横顔に、降谷はこれまでで一番優しく微笑みかける。そして、その話の途中で口を挟むように愛しい彼女の名前を呼ぶのだ。
「なまえ」
「ん?」
その瞬間。神様の吐息のような優しい風が吹く。
「好きだ」
気づけば、降谷はそう口に出していた。限界だった。考えていたシチュエーションとはあまりにもかけ離れすぎたものだったけど、もうどうだっていい。本当はもっと順序立てて長い話をして、今まで散々なくらい心配かけて泣かせてきたことを謝るつもりだったのに。そんな長すぎる言葉じゃ、いつまで経っても上手くまとめきれそうにないから。だから、全部すっ飛ばして、自分の持つありったけの想いをたった三文字に込めたのである。
それを受けたなまえの顔は、見事に真っ赤に染まっていた。けれど、すぐに目を伏せて、彼女は降谷の顔も見れないまま小さな返事を口にする。
「……うん」
しかし、返ってきたのは予想外にもたったそれだけ。
「え? うん、って……それだけ?」
「だって……」
「だって?」
せっかく一世一代の告白をしたというのに、なまえから返ってきたのはたった一言。まるで軽く流すみたいな相槌だけだった。まったく人のことは言えないが、さすがの降谷も不服すぎて絶句する。
けれど、次になまえの口から飛び出したのは。彼の息の根が思わず止まりそうになるほどの、突拍子もない殺し文句だったのである。
「だって。零のことが好きだなんて私には今さら当たり前と言うか……」
それを聞いた瞬間、降谷はつい、呆れるみたいに頭を抱えた。何だよ、その返事。可愛いがすぎないか?
ああ、もう。
降谷はもう我慢ができず、なまえの腕を強引に引き寄せて独り占めしてしまうみたいに力強く抱きしめた。その際、レモンスカッシュの缶が彼女の手からすべり落ちて、わずかに残っていた中身がふたりの足先を濡らす。なまえは恥ずかしさのあまり「誰か見てるから!」と腕の中で喚いていたが、「誰も見てない」と降谷は問答無用で黙らせた。
どうせ浮かれたクリスマスシーズンなんだ。世界で一番幸せなときくらい、ちょっとだけ見逃して欲しい。
「今のそれ。告白の返事ってことでいいんだよな?」
降谷の腕の中で、観念したみたいになまえはしばらく硬直する。そしてその後、まるで小動物のように小さく頷くのだ。
「……うん」
「友達としての、好き、じゃなくて?」
「……うん」
降谷は強い安堵感から大きなため息をついた。そして今一度、彼女のことを抱きしめる腕の力を強めて。もう絶対に手放すものかと神に誓うと、情けない声で今まで塞き止めていた感情をだらだらと吐露していく。
「あー、可愛い。好き。駄目だ、好きすぎる。全部どうでもいいから早く持って帰りたい」
「いや、最後おかしいから」
「おかしくないよ。僕は本気だ」
そう言って本当に真剣な顔つきをしてみせる降谷に、なまえはたじたじになる。けれど、彼女にもきちんと降谷に言いたいことがあったから。少し彼と距離を取って、きちんと目を見つめてこう言うのだ。
「零。私と、また出会ってくれてありがとう」
その一言を聞いて、降谷はきょとんとした。けれど、なまえの言葉は続く。
「今の零が一番眩しいな」
「……」
「やっぱり、私の光だったんだね」
そう言った瞬間、広場には明かりが灯る。集まっていた人たちがわあっと歓声を上げて、走り出す。けれど、ふたりだけはしばらくその場に留まったまま。むしろ人気が少なくなったことで、多少、抱きしめ合っていた恥も薄れていた。
なまえの目には、無数の電飾のせいではなく本当に降谷自身がキラキラと輝いて見えていた。私の光。再びそう言って、彼の頬に手を伸ばそうと背伸びをしたとき。降谷がその手を掴まえて「その言葉、そっくりそのままお前に返すよ」と言ったかと思うと、顔の距離が近く。
なまえはもう避けない。だって、彼のことが好きだから。
彼は、ようやく降谷零として彼女の唇に念願叶ったキスを落とした。それは甘酸っぱくて懐かしい、弾けるみたいなレモンスカッシュの味がした。
2019.11.24 -fin!-