ふたつ

連れてこられたぴえろさんの家は広くて綺麗だった。
ぴえろさんは今、私の髪をタオルで乾かしてくれている。
これから一緒に生活する彼が優しい人でよかったと安心する。

「ねぇ、君の名前はめるでいいの?」
頭上から飛んでくる質問にこくりと頷く。

「ぴえろさんのお名前は?」
上を向いて視線を合わせて尋ねると「ヒソカだよ♡」と返事がきた。
ピエロじゃなくて奇術師さ♢と話してくれたけど奇術師がなんなのかは分からない。

「ヒソカさん、ヒソカさん。」と忘れないようにか何度も繰り返し名前を呟く。

「さんはいらない、ヒソカでいいよ♤」と頭を撫でられる。
「ヒソカ、ヒソカ...」とまた呟く。

物覚えは悪くない方のようだった。
人間とそう変わらない、めるとヒソカはすぐに打ち解けた。