「なんだ、あいつと知り合いか」
「そうみたいだな、」
「・・・随分と、仲良しじゃねぇか」
キッドは仲良さげな2人をみて、なんだか面白くないような、腹がムカムカする感覚を覚えた。目当てのものを取られたような気分。酷く気に入らない。どういった繋がりがあるのかは知らないが、ここが人目につく場所じゃなければ、その繋がりを今すぐにでも断ち切ってしまっただろう。
ちっと舌打ちを一つこぼし、気分が萎えたように壁に寄りかかった。
「ロー!無事だったんだね・・・よかった」
「・・・こんなところで泣くなよ?」
「泣かないっての」
ナマエはローを感じるように、離さないように抱きしめたが、すぐに目的を思い出す。再会を喜びたいのは山々だが、それよりも優先すべきことがある。ローが生きて、目の前に生存していることが分かっただけで充分だ。
「ローが生きててよかったよ、ほんと。でも今は探さなきゃいけない人がいるんだ」
「'ここ'にいるのか?」
「うん。売られる前に連れ戻さないと」
「またあとでね!」と先を急ごうとするが、それはローの手によって阻まれた。ローは神妙な面持ちでナマエを見つめていた。
「・・・ナマエ、お前、今'どこ'にいるんだ?」
傍から聞けばなんだそれはと思うような質問だが、ナマエにはそれが今の'野宿先'を指していることに気づいた。そして、その奥にある'真の質問'にも気づいてしまった。そして寂しげな笑みを返す。
「麦わらのところ。・・・でももう抜けたから、大丈夫。ちゃんと'目的'を果たすまでは誰にも、捕まらないから」
「そうか・・・なぁ、おれと来ないか?」
ナマエはその誘いに何故だかドキリとした。恐らくローといた方が目的は果たせるんだと思う。そう思ってローを探していた時もあった。でも今は、誰の船にも乗りたくなかった。つい先程まで'あの船'にいたからか。また前の生活に戻ってしまえば、心が廃れてしまいそうでナマエは怖かった。
「ごめん、今は一人がいい」
胡散臭い笑顔を浮かべるとローの声を聞かず、それを振り切ってケイミーの元へと急いだ。ローごめんね。私は誰かに必要とされるなんて真っ平である。だって能力だけしか見ていない奴らばかりだったから。それなら一人の方がマシ。
「・・・・・・変な顔しやがって。似合ってねェよ。」
ローはその小さな後ろ姿を見たまま帽子の鍔を下げた。全くあいつは何も分かっちゃいない。お前の能力なんてどうでもいいのに。久々の再会がこんな慌ただしいものだと思わなかったが、無事で良かったと思ったのはお前だけじゃない。
だが、あいつは昔からあんな顔をする。何もかも一人で生きてきたような顔。誰も信用していない顔。それをおれにでさえ向けてくるとは思わなかったが、何かあったのだろうか。暫く離れていた間におれとの心の距離も離れてしまった。
「キャプテン、今の人、盗人だよね?知り合い?」
「・・・おれと同じ目的を持つ者、だ。」
「昔馴染みのな」と呟いたきりローは何も話すことはなかった。
「ケイミー、どこっ」
ナマエの脳裏にケイミーの可愛らしい笑顔が思い浮かぶ。あんな子を'こんなところ'に売りつけるなんて、人攫い屋はろくな奴がいない。ギリギリと奥歯を噛み締めた。本当に胸糞悪い。その時、微妙ながらに'覇気'を感じた。肌にピリピリ伝わるこの感じ、ナマエはそれが只者ではないと感じた。ケイミーが危ないかもしれない。
「なっ!お前何者だ!」
「ここは関係者以外立ち入り――」
「うるさいよモブ共が」
まずは警備員らしき人物が2人。「Pilfer」と呟いた後、ナマエはスピードはそのままに身を屈めて相手に'2回ずつ'触れた。相手はガクンと膝をつき、身体が動かせないようだった。何が起こったか分からないというような顔をしているが、ナマエはそれに何の情もなく、そのまま相手を思いっきり足蹴りにして吹っ飛ばした。
「・・・っ!!」
だが、痛みを吐き出す'声'さえも出ないのだ。そして'足の感覚がない'。まさか、まさか――
「(こいつ!懸賞金4億ベリー、気まぐれの――)」
「私は
ナマエを見つめる顔は怯えていた。ナマエはそれに対して冷ややかな視線を向けると、拳に力を込めた。そしてバキッと鈍い音がすると、相手はそのまま気絶してしまった。
「それではみなさん長らくお待たせいたしました!!」
そして、遂に、オークションが始まった。
補足↓↓↓
ロブロブの実は臓器や感情だけではなく、五感さえも奪えてしまう能力です。感覚は一度奪われてしまうと夢主が戻す為にもう一度触れる、もしくは気絶or死亡しない限りは元には戻りません。そのため気軽には使えません。
臓器や技、記憶等は物体を表すようにメモリーカードや巻物といった表現をしています。物体自体に触れれば相手の中に戻るからです。ですが感覚だけは違います。
物体ではない神経そのものを奪うので戻らないのです。難しいかもしれませんが、何となく頭の片隅に置いて見て頂ければ嬉しいです。
質問あればmailにてどうぞ。