ロードライトガーネット




「ナマエちん・・・ルフィちんのところに、行かないの?」

ケイミーはナマエの手をとり、こちらを不安げに見つめていた。ナマエはそれに対してやはり瞳を揺らした。無理だ、私の目的は麦わらの一味に必ず迷惑を被ってしまう。こんな優しい一味達にこれ以上は、私の運命を背負わせられない。でも、本当は――

「ケイミーさん、私は――」

仲間ではありません、という言葉はかき消された。

「おいおい!!もう首輪も手錠もねェじゃねェかよっ!!見ろ!やっと見つけてきたのに!!」

「あの・・・ありがとう!!」

「――ほう優秀だな・・・だがもういい。キミこの娘さんを運びたまえ・・・・・・!!それに、文句はこのお嬢さんに言いなさい」

「あーん?って!ナマエじゃねェか!おめェさん無事だったか!」

「・・・フランキーさん。」

フランキーはナマエに文句を言うどころか、理解したかのようにふっと笑みをこぼし、ナマエの頭をぐしゃぐしゃに撫で付けた。その大きな掌には血は通ってなかったが、温かみのあるそれで、何故か涙が出そうになった。頼むから、これ以上優しくしないでくれ――


「犯人は速やかにロズワード一家を解放しなさい!!直'大将'が到着する。早々に降伏することを進める!!どうなっても知らんぞ!!!ルーキー共!!」

ふと気が付くと海軍の交渉のような脅しに、どうやらその包囲網を突破しない限りは出ていっても捕まるだけだ。まずは、包囲網を何とかしなければならない。ナマエは男に向き直る。先程、ローとキッドが気づいたのだが、この男の正体がまさかあの'シルバーズ・レイリー'だったとは。只者ではないと思っていたが、こんなところに海賊王の右腕がいるなんて誰も思わないだろう。全くもって恐ろしい男である。

「あなた、'冥王'だったのですね」

「ハッハッ、今はただのコーティング屋さ。・・・・・・お嬢さんはこれからどうするんだい?」

「・・・まずはこの包囲網を突破しなければなりません。表で翻弄するくらいなら、造作もない。」

「・・・そうか」

そして、目線をズラした先で見たものに目を見開いた。先程は急いでいた為気付かなかったが、ステージの後ろのカーテンにその'マーク'があった。このマークは!!こいつの仕業だったのか!!ナマエはギリギリと奥歯を噛み締めた。こんなことになってしまえば、'マークの持ち主'はもう既に事には関わらないよう手を回しているだろう。

ナマエは思い出した。自分の本来の目的を、果たさなければいけない目的を。ああ、私は――過去を精算しなければ、ならない。

瞳には迷いを隠すように冷たい空気が揺れていた。本当は、麦わらの一味達をずっと傍で見ていたい。同じ空気に触れていたい。だが彼らは'海賊'。思い出した。私のやることは――どこにいても変わらないのだ。入り口へと近付くため階段を一歩一歩登る。その過程で麦わら一味の横を通り過ぎた。

「ナマエ・・・・・・」

「・・・皆さん、心配かけてすみません・・・・・・ここまで、送ってくださりありがとうございました。私はここで、船を降ります。」

それに対して面々は驚愕の表情を浮かべており、そして憤慨している様子の者が1名いた。

「おい!ナマエ!おれはそんなの認めねぇぞ!!」

「元々魚人島までということでしたが、それが早まったまでです。貴方にどう言われようと関係ありません。」

「ぐぬぬ〜!!ナマエ!!」

ルフィはそう言うとナマエの腕を掴もうとするも、その手は何者かによって阻まれる。

「くくっ、麦わらァ・・・残念だったな!ナマエ、魚人島まで行きたいんってんなら、おれが連れてってやろうか?」

そう言ったのはキッドだった。キッドはナマエの顎を掴みあげると視線を無理矢理合わせる。相も変わらずこの男は強引で、自分の欲のままに動く、獣のような男だ。

「おまっ!ナマエに何してんだッ!」

「・・・おい、ユースタス屋――」

「そうですねェ・・・考えておきます」

騒がしいからなのか、慣れない距離に戸惑ったのか、ナマエは胡散臭い笑顔を浮かべると、掴まれた手を振り払い、入り口に向かう。

「ったく、気まぐれすぎんだろ・・・」

「あー、私はさっきのような'力'はもう使わんのでキミら頼むぞ。海軍に正体がバレては住みづらい。」

「・・・はぁ。長引くだけ兵が増える。先に行かせて貰うぞ。もののついでだ、お前ら助けてやるよ!表の掃除はしといてやるから安心しな。」

その瞬間に、約2名の頭の血管が切れた音がした。






「出て来たぞ!!構えろ!!!」

「あれは3人共船長キャプテンだ・・・!!
!?大変です!更に続けて――気まぐれの盗人シーフもおります!」

「なに!?」

「先陣きって出てきやがった!!!」

「右から'3億'、'3億1500万'、'2億'、そして――'4億'の首です!!」

ルーキー共の船長3人だけでなく、まさか盗人がいるとは!噂でシャボンディには来ていると聞いていたが、何故こんな場所にいるのか。とりあえず、こんなところで逃すわけにもいかない。

「お前ら・・・下がってていいぞ。ナマエも!話は後だ!」

「お前ら2人に下がってろと言ったんだ・・・おれも話あるからなァ、ナマエ」

「もう一度おれに命令したらお前から消すぞ、ユースタス屋。ナマエ、おれも話が――」

「3人とも、うるさいです」

話が話がって、こちらはないというのに自分勝手な奴らだ。だが3人のその似たような思考回路に少し呆れた息が溢れた。

「迫撃砲!!撃てェ!!!」

大きな轟音と共に放たれる砲丸に各々は余裕な表情を浮かべる。

「'ゴムゴム'のっ!!'風船'〜〜っ!!!」

「'反発リペル'」

「'ROOM'――'シャンブルズ'」

「'Steal'」

「気をつけろ!!!こいつらに大砲は効かねェ!!!4人共・・・!!!

――'能力者'だ!!!」