アクアオーラ


かなり蹴飛ばされたナマエはお腹を押さえながら、上半身を起こした。あの猿野郎・・・!!!
思わず口が悪くなるが、許してほしい。'ALIVE'になってしまったからなのか、明らかに自分を遠ざけようと手を抜いて攻撃されたのだ。ナマエは舌打ちを打った。
やはり海軍も嫌いだ。

瓦礫から立ち上がると息を整えながら前を見据える。ルフィさんはエースを助けることに集中しており、まだ私には気づいていない。
黄猿の追撃はイワンコフが防ぐも、次々とルフィの行く手を阻む、海軍と七武海達。そんな様子を処刑台から見てたエースは堪らなくなったのか悲痛の声を上げて叫ぶ。

「来るな!!ルフィ〜!!!」

「おれにはおれの冒険がある!!!おれにはおれの仲間がいる!!!お前に立ち入られる筋合いはねェ!!!」

「帰れよルフィ!!!!なぜ来たんだ!!!」

ナマエはその光景に、自分の記憶がリンクした。

『来るんじゃねェ!ナマエ!』

『わし達は大丈夫じゃ!逃げるんじゃッ!!!』

『弱ェヤツは引っ込んでろ!人間のクソガキがッ!!!』

『待って!!ドフィは本当にあなた達を殺しちゃう・・・!殺せちゃうのッ!!!』

『フッフッフ・・・どうする?ナマエ、お前がこちらに来るならこいつら'タイヨウの海賊団'は見逃してやるよ』

『・・・ふッ、ぅぐ・・・やめて!!・・・分かった、分かり、ましたから・・・・・・あなたの'仲間'に、なる、から――絶対この人達を殺さないで!!!』

『フッフッフ―――いい子だ。'家族'の我儘は聞いてやるよ。』


ナマエはドクドクと脈打つ心臓に手を添える。エースの気持ちは痛いほど分かるのだ。自分のために誰かが傷つくのも、誰かが犠牲になるのも嫌なのだ。だからそうやって傷つくのは自分だけでいい。辛いことも、嫌なことも自分が耐えて耐えて耐えまくればきっと、どうにかなるって、そう思ってた。
でも彼は、ルフィさんは―――

「おれは弟だ!!!!」

誰かのために、戦える人だ。
それは決して無駄に死ににいくことではない。命という覚悟をもって、どんな戦いになっても戦い抜くという強い意志。'戦い'、とはそういうものなのだ。誰もが易々とできることではない。
ナマエは拳を握り締めると、かなり後方に飛ばされたこともあり、一旦白ひげの元へ飛躍した。

「白ひげさん、海軍が処刑時間を早めるのはもうお聞きしていますか」

「あぁ。あの麦わら小僧にも聞いた」

「ナマエ、おまえボロボロじゃねェかよぃ」

「あぁ、さっき大将黄猿に一撃もらったので」

すぐ近くにマルコも来ていたようだ。少々小言をもらったが、何ともないという風に笑みを向けるとそれ以上は何も言って来なかった。
するとどこかのスピーカーからセンゴクの大きな声が響き渡る。

「その男もまた未来の【有害因子】!!幼い頃エースと共に育った義兄弟であり、その血筋は―――【革命家】ドラゴンの実の息子だ!!!」

周りは更にざわざわと騒ぎ出す。そりゃそうだ。あの謎多き革命軍のトップに立つ男の息子だというのだ、あの男は。そんな周りの喧騒をものともせず、彼は叫ぶ。

「好きなだけ何とでも言えェ!!!おれは死んでも助けるぞォオ!!!」

血まみれで、既にボロボロなのに彼は立ち上がる。もう本当は辛くて、しんどくて、動くのも大変なはずだ。なのに絶対倒れない矛。何だか胸が暖かくなると共に笑みがこぼれた。

「ふッ!ふふふふ・・・死んだら助けられないでしょう!・・・全く、」

白ひげはそんなナマエの姿を一瞥すると、目を瞑り、脳裏に昔懐かしい、'麦わら帽子'の男を思い浮かべた。

「ナマエ、お前の惚れた男は、いい瞳をしている。」

ナマエはそんな白ひげの発言に目を見開く。
惚れた男か・・・。否定は―――しない。
どうしてもあの輝くような笑顔に惹かれてしまうし、何かを期待してしまうようなワクワク感。着いて行ってしまいそうになるほど、力強い意思のある瞳。思わず恋焦がれてしまう。それは本来の恋愛的な意味ではなく、人としてと言った方が正しいだろうか。

「マルコ、ナマエ・・・アレを死なすんじゃねェぞ・・・」

白ひげの言葉にマルコとナマエは顔を見合わせて、不適に笑った。

「了解」

「仰せのままに」