「改めまして、ナマエと申します。皆さんのことは存じております故!サンジさんは…サンジさん??」
ナマエは一味の手配書をパラりと捲り、1人ずつに目を配るも、サンジのところで首を傾げる。似ても似つかないそれに眉間に皺がよる。
「それはおれだが、おれじゃねぇ!!」
腹立たしそうにサンジは舌打ちをする。周りはクスクスと笑っており、ナマエも苦笑いだ。
「イケメンさんなのに、これは酷いですね…」
「野郎に言われても嬉しかねぇよ」
「ははは〜」
煙草に火をつけ、サンジはナマエを一瞥する。その華奢さから、こいつちゃんと飯食ってんのか?と疑問に思った。前にいた船は潰してしまったと言うし、どのくらいの期間ちゃんと食えていないのだろうか。いや、でも強さは本物であり、お金に困ることはないだろうか。
ちょうどお昼に差し掛かってきた頃合いだし、とサンジは少し言い訳をひとりでに考えながら厨房に入っていった。
「おい、お前さん、あの小舟はいいのか?」
フランキーは己が乗ってきた小舟を指差す。ナマエは気付いたようにポンと掌に手を打ち付ける。
「そういえば忘れていました!特に必要は無いのですが、しまっておける場所はありますか?」
「あるっちゃーあるぜ」
「じゃあお願いしたいです!」
「おうよ!任せておきな」
フランキーは着いてこようとするナマエを制し、小舟を引き上げる為、船内に入る。まぁあまり船内を見られたくないのも分かるし、彼は船大工だ。触って欲しくない場所もあるだろう。ナマエは制された理由に対して検討をつけ、1人で納得していた。すると、
「とにかく!少しの間とはいえ、ある程度の場所は教えておくわね、私は航路を見ていないといけないから、ウソップお願いね」
「え!おおおおれか!」
「どうせ暇でしょ!!」
「おれも!おれも案内するぞっ」
そうしてぴょこぴょこ動いているのはチョッパーだ。可愛らしいその見た目にナマエはキュンと心打たれた。かわいい、なんだこの生き物は!!こんな荒れくれた海の上で生活していると、変な生き物に遭遇したり、凶暴な動物に追いかけられたりするため、心がとても癒された。だがそれを顔に出さないよう必死にこらえた。
ナマエがジーッとチョッパーを見つめてることに気づいたのか、チョッパーはきょとんと見つめ返す。
「なんだ?」
「え、あ、いや…」
気まずそうに視線を逸らすナマエにチョッパーは些か傷つく。そうか、この一味にいると忘れそうになるが、おれは化け物だもんな。慣れていたとはいえ、久しぶりのその感覚にズキリと胸を痛めた。
チョッパーの悲しそうな表情に気付いたナマエは諦めたようにボソッと呟く。。
「…チョッパーさんかわいくって」
ふとそんな発言が聞こえたと思ったら、ナマエは頬を赤らめ、愛しさの篭った目でこちらを見てきた。かわいい、かわいい…?おれが…??
「そんなこと言われても!うれしくねぇぞコノヤロぅー!!」
チョッパーはくねくねと恥ずかしそうに文句を言う。ナマエは更にキュンとしてしまい、口元を押さえる。そして、「抱き上げてもいいですか?」と手を広げるとチョッパーは嬉しさからか、とてとてとナマエに飛びついた。
そんな様子に面々もホッと暖かい空気が流れた。ルフィもにししっと笑い、空気が緩んだところでウソップが案内するぞと歩みを進め、ナマエもそれに続く。
それを見ていたゾロはロビンに歩み寄る。
「あいつ、大丈夫なのか?」
ゾロのその瞳は信用してもいいのか?と言われているような疑り深いものだ。自分も最初の頃そんな目を向けられたものだとロビンは彼のその長所でもある警戒心にくすりと笑う。
「さぁ?ただルフィがいいと言うのなら何も言えないわ。」
「それはそうだが…」
「ただ、あんな懸賞金がかかるくらいだもの。今まで1人で生き抜いてきた、ということは、とても強い子だと思うけど。」
色々な意味も含めて、ね。この思いは胸に留めておく。ゾロは更に眉間に皺を寄せるも、諦めたように溜息をつく。
「まぁなんかあれば、おれが切ってやるがな」
「それは頼もしいわね」
気まぐれの
それはとても傲慢で、強欲で、慈悲もない、海賊でも海軍でもない、ただ、己の欲のために動くご都合主義者。
「と、聞いていたのだけれど…」
ボソリと呟いたそれは'彼女'に届くことはなく、瞳だけそちらに向ける。その姿はうちの可愛らしい船医をむぎゅむぎゅと抱きしめ満足そうな顔だ。
実際は、どうなのだろうか。
――盗人と海賊は共に生きられるのだろうか。それとも――――