不意打ち


「ただいまー!」















いつもの様に仕事を終えてから家に帰宅する。
今日は本当に疲れた。早くお風呂に入って寝たい。
そう思っているとソファに居たのか爆豪くんが顔を出してくれた。









「爆豪くんただいま」
「…」
「ただいま!」
「…おー」









返事をしてくれるまで粘るスタイルが定着してきている。あまりにもしつこく言うものだからなのかちゃんと返事をしてくれる爆豪くん。
思わず笑みが出てくるのを堪えて家に入り靴を脱いで入ると早速いい匂いがする。
台所を覗くと今日はオムライスだ。爆豪くんにリクエストをしていたけどもまさか本当に作ってくれるとは…。









「えへへ、爆豪くんありがとう」
「っ、うっせぇ!笑うなブスが目立つ」
「はいはい。爆豪くんは怒っても可愛いねぇ」










真に受けないで流すとあァ?!と更に怒る爆豪くん。
さてさてご飯を食べようと思い怒っている彼を置いて部屋に入り着替えてから食卓に向う。
家に帰ってくると妙な安心感がある。









「……ふぅ」

「……今日疲れたんか」

「え」




「……いつも以上に酷い顔してんぞ」










行くと早々に爆豪くんに見抜かれる。
こうゆーときの爆豪くんはよく私を見ていると思う。









「あはは、大丈夫よ」
「…いいから早く飯食って風呂入って寝てろ」
「…ありがと。爆豪くん優しいね」








笑ってみせると茶化すなと言わんばかりにテーブルに作られたオムライスが置かれる。
いい匂いだ。爆豪くんが作ってくたということに歓喜をして待ちきれない気持ちを抑えていると彼に笑われる。爆豪くんに声をかけて一緒にいただきますをして口に運ぶ。









「んー!美味し!!」
「…そーかよ」
「爆豪くんどうしたらこんなに料理上手になるの…嫁にほしい」
「っは、誰がてめーのとこに行くかよ」








あ、少し口角が上がった。
爆豪くんの機嫌が良くなった時というのはわかりやすい。ふわふわ卵にケチャップライスとは最早お店並みだ。
それにしても爆豪くんのオムライスのライスが赤いのは気の所為だろうか。いかにも辛そうだ…。









「…爆豪くんの赤くない?」
「お子様には無理だろうな」








そう言う爆豪くんは黙々と食べてゆく。た、確かに私にはあれは無理だ…。







「あ、そうだ。爆豪くん今度料理教えて?」
「あ?」
「私も出来る時に一緒に作りたいし少しは爆豪くんみたいに上手になりたい」








爆豪くん少し眉が動いた。これはもう一押しいけば承諾を得られるのだろうか?









「爆豪様お願いします!」
「……」

「爆豪くんの料理本当に美味しいの」
「……」

「そ、それに花嫁修業だと思って」
「あァ?!」

「ひっ、なんで怒るの」
「てめー男いんのか?」

「……イナイデス」
「…だろーな」
「もー!なに!ひどい!!」







中々頷いてもらえない。もう諦めようかなと思ってオムライスを食べながらむすっとしてしまう。
料理を習いたいと言うのは本心だ。元から料理上手でない自分が少しでも爆豪くんの味を伝授して覚えれたらと思っただけだった。それに爆豪くんの料理は本当に美味しくて素直に尊敬している。









「……おい」

「…なーに」

「……たまになら教えてやる」

「!!」
「…気分が乗った時だけな」
「ありがとう爆豪くん!」






嬉しくて満面の笑みをすると顔をそらされる。
何はともあれ叶ったのだ。爆豪くんの料理は本当に美味しい。教えてもらう日が楽しみだ。










「んー!美味しかった!ごちそうさまでした」
「……んじゃ、そのまま風呂入ってこい」
「え、お皿くらい洗うよ」
「いいから行け。皿でも割られたらたまったもんじゃねぇ!」










そんな心配の仕方があるのかとツッコミたくなるが爆豪くんなりの心配なんだろう。
ここはお言葉に甘えてと思いお風呂へと準備をして向う。
ふとお風呂場の中を覗いてみると。











「…いつの間に」









既にお湯がはられている。
本当に出来る子だ。ありがたいと心の中で爆豪くんを称える。
とりあえず入ろうとお風呂場へと向かった。













*


















「…気持ちかった〜」











疲れている時のお風呂とは入るのはだるいが入ってしまうと気持ちいい。
途中で寝かけてしまったけど爆豪くんが心配するだろうからと頑張った。偉いね、私。ボディークリームを塗ったりケアをしてから服を着る。もう眠いなぁと寝ぼけながらもリビングに向う。
そこには既に食器も洗い終えてソファに座っている爆豪くんが居た。









「爆豪くんありがとうね」
「寝たまんま溺れなくてよかったな」
「そ、そんなことしないよ〜」
「…嘘下手かよ」






「はっくしょん!」





「っ、きったねぇ!!髪乾かさねぇからだろ!」
「あはは、ごもっともで…」



「はぁ…ドライヤーもってこい」


「え?」
「いいから持って来いって言ってんだ!!」

「わ、わかったから怒んないで…!」








すごい形相で怒られドライヤーを取りに行く。見つけて取ると爆豪くんの元へと向う。
次はコンセントにさせと指示を貰い言われた通りにする。








「……おい、貸せ」
「…やってくれるの?」
「いいから座れ」








有無を言わさないと私からコンセントにさしたドライヤーを奪い取られる。
スイッチを入れたドライヤーを無言のままソファに座らせられた私の後ろから髪を乾かしてくれた。たまに見かねた爆豪くんがこうやって髪を乾かしてくれるが髪を触られるのは嫌じゃないと感じる。











「爆豪くん髪乾かすの得意だよね」
「普通だろ。お前が下手なだけだ」

「あー、またひどいこと言う」









乾かす髪をさらさらと触られる。このまま眠れるかもしれないとつい目を閉じてしまう。そうはうまくいかずカチャッと音を立てて消えるドライヤー。あ、終わったんだと寝ぼけた目を頑張って開ける。










「…おい。寝るならあっち行け」










乾かす体制からしてソファに座っている私の後ろに爆豪くんが居るため自然と爆豪くんの声が耳元に聞こえる。
耳元で言われたことにピクっと反応してしまう。










「…耳弱ぇんか」










気のせいか爆豪くんの声が楽しんでるように気がする。
耳に爆豪くんが口を当てた感触がする。








「っ、爆豪くん耳やめて」
「あ?なんか言ったか」







爆豪くんの声が。息が近い。
咄嗟に離れようとすると爆豪くんの手が私を捕らえる。また耳元で何か言われるのだろうかと身構える。











「はる」








どくり。心臓がどきどきと鳴る。
この前から爆豪くんにしてやられてる気がして悔しい。
そうはさせないと反応をしないと頑張るが爆豪くんの吐息が 声が近くにあり反応してしまう。まずい。








「っは、震えてんぞ年下にドキドキでもしてんのか」
「ち、違う」
「…違うんか」

「爆豪くんにするわけないじゃん」










怒らせちゃったのかと分かるくらいにあ?と低い声が聞こえる。
まずいと思い離れようとするが今度は後ろから抱きしめられる。








「ば、爆豪くん!」
「絶対ドキドキしねぇならいいだろーが」

「そ、そうだけど…」

「だよなぁ。年下にときめくわけねぇよなぁ」








後ろからは楽しんでいる爆豪くんの声が聞こえる。このまま雰囲気に呑まれるのだけはだめだとわかっているのに離れるのが惜しいと思っている自分がいる。










「…耳まで赤ぇ」
「っ、誰のせいだと」
「わかんねーな。俺には何も感じないってさっき言ってたよなぁ」








な、なんか機嫌が悪い?
そう悟った時には既に遅く耳元で爆豪くんの唇が声が私を襲う。








「っ、ひ、ゃ」
「……」
「ね、ねえ!もうやめよ」









声をかけても止まらない爆豪くんに抵抗しようとするが声が届かない。
何か爆豪くんの気が逸れるものがあれば。と普段からでない言葉を口に出す。








「か、つき」

「……っ、は?」




「勝己、だめだよ」







涙目になりながらも後ろにいる爆豪くんを睨みつけると顔を真っ赤にした彼の姿が。
これはレアな爆豪くんなのだろうか。一瞬で爆豪くんが止まってしまった。








「っ、あはは」

「ってめ」



「爆豪くん可愛い」








ついにしてやったぞ。とこの場に及んで喜んでしまう自分がいる。
そんな大笑いしている私を見て爆豪くんは不機嫌そうだ。








「クソ女」
「っ、ふふ、ごめんてば。先にしてきたの爆豪くんでしょー」
「っ、お前」
「いいよ、おかげで目が覚めた!ちゃんとベッドまで歩くから大丈夫!」
「…おい」
「よし、寝る!おやすみ爆豪くん」











変な雰囲気になってしまったこの空気を無くすように元気に振る舞う。
爆豪くんも観念したのか後ろから舌打ちをしてくれる。
その日の夜は酷く心臓がなり止むのに時間がかかった。










《不意打ち》






「あ、おはよう爆豪くん」
「……」
「いい匂いする!私も手伝う」
「(…なんでこいつは普通にできんだよ)」