決定。






昨日はなんだったんだろう。
見たことのない制服を着ていたが彼はちゃんと家に帰れたのかな。
それにしては昨日は特に部屋が荒らされたわけでもなく何か盗られているというのも全くなかった。
それに家の鍵も空いてなかったし閉め忘れたわけでもなかった。じゃあ一体どうやって中に?そんな考えばかりが頭を巡る。










…そうだ。
今日は休みだし街に出て気分転換をしよう。そうしよう。
私は身支度を整え街へと歩く。




























「ーー!!」
「〜!!」

















騒がしい。








誰だと思い目を向けると…















見覚えがある。昨日の少年だ。
彼は昨日私にしたように男の人の胸ぐらを掴みかかり何か口論している。





















「っだと?!もういっぺん言ってみろ!!」
「ひぃっ!!だ、だから知らないってば!!」





















そう言い彼は手からBoom!と爆破をさせる。
え、ええ?!今のって一体…?
見てもいられず彼に近寄る。
私が近づいた時には何かに気づいたのか彼は掴んでいた男性の胸ぐらを離し私を見つめる。
















「!!てめー…昨日の…!」
「なにやってるの!
す、すみません、お怪我はありませんか…?」
「っ!!だ、大丈夫です…!」























男性は怯えた表情をして急いでその場から去っていった。
あの怯えよう何があったんだと思い私は彼に問う。

















「…なんであんなことしていたの?」
「っうせぇ。てめーには関係ないだろクソババア」



















また言ったな?!私は彼をキッと睨みつけるが彼にはそれは効かず私の反応を面白そうに見ている。




















「…クソババアじゃなくて
赤羽 はる」




「あ?」






「私の名前。いつまでもクソババアなんて呼ばないでよね。私まだ20歳だし!!君は?」
「あぁ?!なんでてめぇに教えなきゃいけねぇんだ!!」
「名前!なーに?」

















怒り出す彼に大人の対応をしようと下から覗き込んで問い出そうとするとものすごく嫌な顔をされる。











「…爆豪」
「下の名前は?」
「…勝己。もういいだろーが!!これで満足かよ!」
「ふむふむ。爆豪くんね。」










よろしくねと笑って見せればッチと舌打ちが聞こえる。照れてるのかな?
そんな彼を見てみると服装が昨日見かけた制服のまま。えーと、まさか?









「…お家、帰れてない?」
「あぁ?!」
「いや、昨日と同じ服装だからもしかしてって…」
「……だったらなんだってんだ」
「お家どこにあるの?一緒に行こうか?」









昨日に加えて今日もとはおかしい。
ひょっとして迷子だろうか。彼は未だに制服姿。制服もこの辺では見かけない格好をしている。










「っるせぇ!!」
「でもその様子じゃ昨日も、」
「放っとけクソ女!!!」
「んなっ」










爆豪くんはスタスタと歩き始める。
それを放っておけるわけでもなく咄嗟に彼の手を掴む。











「っ!触んな!てめぇにつべこべ言われる筋合いなんざねぇぞ!!」
「だーめ。見ちゃったからには最後まで付き合う。いい?」
「……」
「いーい?」
「……ッチ、勝手にしろ」
「ふふ、はーい」









振りほどられた手ではあったが拒まれなかった。それだけが少し嬉しかった。
爆豪くんの隣につき歩く。










「……」
「ねえ、爆豪くんのお家って…」
「……ここってどこだ」
「へ?」
「どこだって聞いてんだ……昨日からニュースを見かけてもヒーローも敵の文字もねェ」





「ヒーロー…?
あの…その昨日から言ってる“個性”に“敵”っていうのは?」
「あ?!知らねーのか!?」









爆豪くんが言うには
ある日、こんなニュースが報じられ
『中国で発光する赤子が生まれた』
原因が分からないまま、そのような超常現象に目覚めた者は世界中で増え続けてゆく。
そしてそんな中、その個性で人々を救う「ヒーロー」の存在が確立した。それが爆豪くんのいう“個性”と“ヒーロー”そして個性によって自分の欲望を満たすものを“敵(ヴィラン)”といい事件を起こしたり人々を襲ったり…様々な敵がいる。ヒーローは街から人々とを守る。そんなかっこいい存在なんだと彼は教えてくれた。
俺は、絶っ対ぇにオールマイトも超えるNo.1ヒーローになると。
それが彼の強い目標なのだと。かっこよく見えた。




















「そっかあ、かっこいいね。
でも爆豪くん大変申し上げにくいんだけど…落ち着いて聞いてほしい」







「あ?」











「ここにはヒーローも敵もいない。個性もだす人もいない。ここは平和な世界だよ」









「っ、」
「爆豪くん」
「っうるせぇ!だったらなんで俺はここに…っそれにお前のは一体」
「ば、爆豪くん!落ち着いて!!」















爆豪くんは悲しげな表情を見せた。あぁ、この子はきっと嘘をついてないんだろうな。私は根拠もない彼の話を嘘だとは思えなかった。














「ねぇ、爆豪くん。この辺の街並みに見覚えは?」
「……ねェ」
「…お家、探したけどなかったの?」
「…ここがどこだかわからねぇ。気づいたらお前ン家にいた」









それなら家をでた時に鍵を掛けたのに帰ってきたら部屋にいた彼との話に合点がいくかもしれない。馬鹿げた話だろうけども彼のあの時の焦った様子に彼が出て行ったあとに戸締りを確認したが鍵を閉め忘れた 入られた様子は何一つもなかったのだ。この話はきっと爆豪くんは嘘をついていない。なら、私は。

















「ね、爆豪くん。うちにくる?」






「あァ?!」
「行く所がないなら私の家においでよ。一人暮らしだしね。
それに爆豪くん未成年でしょ?なら尚のこと放っとけない」










「…ねーぞ」
「うん?」
「てめぇに利益なんぞねーぞ」









「うーん、そうかも。ただ困ってる人を放っとけない。君の言ってることは嘘だとは思えない」
「…っ、は、そーかよ」







「それに君のいうヒーローなら困ってる人を見捨てずに助ける。そんなヒーローなんじゃないかな?」
















そんなきざな事を言うと目を見開く彼。
















「ま、まあ?他に宛があるなら出過ぎたことなんだけどね!」






「…行ってやるよ」





「だ、だよねー!ダメだよね!って、えぇ?!」




「だから行ってやるって言ってんだよ!てめーの耳は飾りかよ?!」






ぽかーんとしてたら彼は舌打ちをして視線を逸らす。爆豪くんはつんでれなのかな…?

















「ふふ、じゃあ決まり。そうと決まれば今日は私は休みだし必要最低限な物は揃えておこう」










ほら、と手を繋ぐとなっ?!と驚く声が聞こえる。そんなのお構い無しに私と爆豪くんは服や生活用品を買いに行くのであった。













《決まり。》









「離せ!!クソ女!!」
「はいはい、はるって呼べたら離してあげるね〜」
「…っ!!クソがァ!!!」