04



「答えろ」
「……」
「なんで居なくなった」
「それは親の都合で、」
「違ェ。なんで俺"に"何も言わなかった」
「っ、それは」



今も後悔しているそのお別れの言葉は今もまだなまえを苦しませている。言いたかった、言えなかった。本人も何度か伝えようと試みたが個性が発動した爆豪はいつも必ず周りに人が居た。一緒にヒーローを目指すことを約束したのに引っ越しで遠くに行ったら一緒にヒーローを目指すことが出来ない。それを聞いた時爆豪はどんな顔をするのか。それが彼女にとっては酷くつらく当時は言えなかったことだ。




「……一緒にヒーローになるって約束したのに、」
「……」
「なのに私引っ越しが決まっちゃって。何度も言おうとしたのに、言える機会があったのに。伝えれなかった。約束破って遠くに行くことになるんだって思うと怖くて言えなかった、」
「おい、」
「ごめんね、勝己くん」
「泣くな」



自分が泣いているだなんて爆豪に言われるまでは気づいていなかったなまえは咄嗟に涙を拭う。まさか泣くとまで思わず、幼なじみのくせに初めて自分の前で泣くなまえに爆豪は戸惑う。


「泣いてない」
「んじゃコレはなんだよ」
「っ〜!泣いてないってば!」



わんわんとまた泣き始めるを見てはぎょっとして自らの腕の中になまえを抱き寄せる。



「……勝己くん怒ってる?」
「……もう怒ってねーわ」
「………さっきまで怒ってたんだ」
「っ、クソ!泣きやめ!!」
「うう、」
「はあ、それなら今どこに居ンだよ…」
「………ひみつ」
「あ?」
「い、言ったら勝己くんこっちまで来るじゃんか!」




小さい頃からの爆豪は特になまえに対しての執着心が酷くなまえがどこで何をしているかを必ず把握して一緒に行動するかはたまた何故かそこにいる。そんな状況が多かったのだ。



「あァ?!男でも居ンのか?!」
「出来たことありません!悲しいから聞かないで!!」
「……」
「ひどい。黙らないで。余計に悲しくなるから…」



自らの発言をしておいて悲しくなるなまえは爆豪の胸にぐりぐりと頭を押し付けて決して顔を合わせようとしない。しかし爆豪にとっては好都合だった。



「……じゃあ、俺が行っても問題ねえだろ」
「今のでどうしてそうなるの…」
「どこだ」
「……そのうちまた会えるよ」
「は?どういう意味だ」
「私もヒーロー志望。だから会えるよ」
「!!…そーかよ」


諦めなかったなまえもまたヒーロー科のある高校を受験していた。また卒業してヒーローになった時胸を張って彼に出会えるように。
それだけを聞くと少し安心したのか優しい声が聞こえる。


「勝己くんってすごいね」
「あ?」
「……雄英でしょ」
「……たりめーだろ」
「テレビで見たよ。行くなら雄英だと思ってた」
「重力操作だろ、個性」
「あ、わかってたんだ」
「それくらい知っとるわ」


なまえの個性は重力操作で物や人物を重力で圧をかけたり逆に重力に逆らって軽くさせることも出来る。1度個性が発動した時に大切なおもちゃを壊して大泣きしたことがあることを今でも彼は覚えているのか。
たった1度しか見せていない個性を覚えていることに驚いてしまうなまえ。




「勝己くんにも負けないように頑張らなきゃね」
「そりゃ楽しみだな。俺が1番だろうが」
「その自信どこから湧いてくるの……」
「っは。俺が目指すのは完膚無き1位だ」
「それ、体育祭でも言ってた」
「……見たんか」
「そりゃあね。見てたよちゃんと。ヘドロ事件に合宿に。雄英の事がある度に心臓止まるかと思ってた」
「………やっぱ聞かせろ。俺がいない間のなまえのこと」
「えっ」
「あァ!?なんでテメェが知ってて俺はなんにも知らねェんだ?!」
「ひぇ、いいじゃんか、これから知ってけば……」



ぴくっ。
ーー何言ってるのかわかってんのかコイツ。



「え、私何か変なこと言った?」
「これからは連絡するってことか」
「え、うん。連絡先知らなかったけどこれからは取れるしするよ?
それにさっきちゃんと返事してって言ったの勝己くんじゃん」



きょとんとするなまえを見てなぜか頭をぽんぽんと撫でる爆豪。




「というか、もう大丈夫だから離れても、」
「るせえ」
「っわ、なんで。あ、少し心音早くなった」
「聞いてんじゃねぇ!!!!」




怒り出す爆豪だがなまえを離そうとしない。ここに居られるのも少しの間だけ。帰る時なんて来なければいいのに。






 - back - 


top