07



小さい頃、家が近く親同士も仲がよかったなまえ達はよく一緒に行動を共にすることが多かった。その日初めて幼稚園で個性が出た爆豪は家に帰ってからも注目の的だった。

『かつきくんすごいね!』
『そーだろ!これでなまえをまもってやれる!』
『まもる?』
『なまえには、けがをさせない。つよいヒーローになるんだ!』
『わたしもこせい でたら かつきくんをまもる!』
『ばーか、おれがまもるんだよ!』
『勝己ってば本当になまえちゃんのことが大好きね』
『まあな!』
『わたしもかつきくんすき!』
『ふふ、これはいつか結婚までしちゃうのかねぇ』
『光己さん…!』
『けっこん?』
『いいじゃない。それと、結婚っていうのは好きな人と一生一緒にいれることよ』
『へえ』
『じゃあ、おれ、おおきくなったらなまえとけっこんする!!』
『するー!』


思い当たる記憶といえばその話しかないように思える。
ーーまさかその話じゃないよね。


「確認だけどもしかして小さい頃の話してる?」
「それしかねェだろ」
「……は」
「居ないんだろ相手。」
「違う違う!大人になった今じゃ違うでしょ…!!」
「違かないだろ」
「だ、だって勝己くん彼女は?」
「あ?居ねーよ」
「好きな子は?」
「……変わっちゃいねーわ」
「……それってもしかして」



ぐいっと引き寄せられれば爆豪と口が重なる。それがすぐにキスだとわかると顔が赤くなりわなわなし始めるなまえ。


「なななな…!!」
「ばぁか」


悪戯そうになまえを見つめる爆豪は満足気に笑う。



「目の前に居んだ。逃がさねえよ」
「わ、私のファーストキスだったのに…!」
「あ?んなもんもっとちっこい時にしただろ」
「あれは違う!ぶつかった拍子にだったからノーカウント!!」
「まァ、どの道もう逃がさねぇよ」
「え」
「遅くても早くても一緒になんだ。諦めろ」
「い、いっしょ、って、」



その言葉の意味をわかって言ってるんだろうか彼は。



「もう、逃げないんだろ、」


掴まれた腕に。なまえを見つめる爆豪が真っ直ぐで逸らせないでいる。
爆豪に恋心を抱いた事が無いわけじゃない。ただ、離れていた期間があまりにも長かったのだ。忘れていた忘れようとしていた感情がふつふつと出てくる。振りほどくはずだったのに振りほどけないのは一体なんでだろうか。なまえが出した答えは爆豪に応えるものだった。


「……うん」
「…帰る」
「え、」
「家寄ってくだろ」
「う、うん?」


彼も勇気を振り絞って言ってくれたのだろうか。少しよそよそしいのがそう感じさせる。
帰り道もなまえ達は手を繋いで歩いてゆくが途中吹いた風は赤くなった頬を冷やすのにも足りなく未だに心臓はどきどきと鳴り響いていた。






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