04





「…お風呂ありがとう」
「おかえり」







荷物の片付けが終わり時間も時間で出前を取りご飯を食べた私は悟の厚意に甘えお風呂に先に入ることになった。寝巻きのスウェット姿をまじまじと見られるのは気の所為だろうか。








「いいね」





「はい?」
「いや、こっちの話。んじゃ、僕も行ってくる」









わしゃわしゃと頭を撫でると悟もお風呂場へと向かう。当たり前だけど同じシャンプーとボディーソープを使ったから悟と同じ匂いがして変な感じがする。








「ふぁ」








1日色々あって眠い。まだ何処で寝るか決めてないけど少しくらい横になってもいいかな、そう思い私は近くのソファに横になる。そのままうとうとすると少しだけ。と重い瞼を閉じてしまう。思った以上に横になったソファは気持ちくて寝入ってしまった。










*











「……どうしたもんかなぁ」








お風呂から上がるとソファには気持ちよさそうになまえが寝ている。寝顔も愛おしく感じてしまうのは末期だろうか。仮にも異性がすぐそこに居るのに平然と寝てしまうとは。
それを思うと今の僕はもう昔みたいには見られてないことがわかりどうしようも無く胸が苦しくなる。









「さて」









よいしょとなまえを横抱きをし起こさないようにベッドまで連れていく。警戒心のない安心しきった顔についむきになりそうになるが寝てる人間を起こすほど情がない訳では無い。なまえをベッドに横にさせると今度は自分もどこに寝るか迷う。いや、ここは予めどこに寝るか決めてなかったからと理由でも付けて一緒のベッドに寝るか。引っ越すにあたって家具は心配要らないと伝えていたから案の定なまえも必要な物を持ってきている程度だった。
つまりベッドはここ1つ。もういっそ僕と一緒に寝たらいいのに。











「…ま、いっか」









不可抗力という事でなまえの横に入り寝る体勢をとる。寝てる今なら腕枕くらいしてやってもバレないだろう。ふわりと僕と同じ香りがする彼女に口が緩む。今でも想い人な彼女に僕もぞっこんだ。どうやって解らせてやろうか。今はもう隣に居るからそう焦らなくてもいいか。








「おやすみなまえ」









彼女の額に唇を寄せて眠るなまえの顔を見る。これからは嫌でも一緒だ。愛ほど歪んだ呪いはない。確かにそうだなと自分でも笑えてしまう。
それでもいい。少しずつでも彼女が振り向いてくれるなら。眠る彼女に向けて「覚悟しといてね」と満足気に言う。眠る彼女を抱きしめるようにその夜なまえと寝た。
朝起きたらどんな反応するかだなんてこれからの楽しみを胸によせて。








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