04
「……悟?」
後を追いかけ教室を入ると机に不貞腐れたまま座っている悟がいた。
「ねぇ」
「……」
「……悟?」
「……」
「ねぇ、五条さんってば」
「……それ」
「?」
「やめろって言っただろ」
ようやく反応してくれたと思えば口を尖らせながら私を見る悟。“それ”とは今まで呼んでいた五条呼びのことだろうか。
「ごめんごめん」
なんだが少し可愛い姿に自然と悟の頭を撫でてしまう。当の本人は嬉しいのか拗ねてるのか葛藤しているみたいだけど。
「悟の髪ってふわふわだよね、きもちい」
「……オマエな」
「あ、やっとこっち向いた」
「…」
「どうしたの」
「なまえって本当鈍いよね」
「はあ?」
「……俺一応なまえの彼氏なんだけど」
「え、昨日の話本当なの」
「あ゛???」
「だ、だって私承諾してな、い」
撫でていた腕を掴まれるとそこに自らの唇を落とし愛しそうに見つめられる。
どくり。
心臓が脈打つ。
「冗談だと思う?」
「っ、わかんない」
「っふ、顔真っ赤」
「い、いきなりこんなことするから…!」
「いいよ、そうやって意識してくれるなら」
「意識なんかしてな、っ!?」
ぎゅっと抱きしめられ悟の腕の中に閉じ込められる。
「なまえ」
近づいくる悟の顔。「待って」なんて言う私の声なんか無視して唇に何かが触れる。
キスをされたのだと分かるには早かった。ただ、嫌ではなかった、私は悟の行為を受け入れてしまう自分に驚き情報の処理に頭がパンクしそうになる。
「…なに黙ってんの」
「…うるさい」
「ふーん?」
「普通付き合ってからするもんじゃないの」
「嫌じゃないからしたんだろ?」
「…………わかんない」
「なまえって欲求不満?」
「はあ?」
「誰でも迫られたらおっけーすんの?」
「そんなわけ」
「だったら俺だからよかったってこと?」
「……」
「いいじゃん。大人しく俺を彼氏にしとけよ」
「なに。その上から目線」
自信に満ち溢れた言葉に思わず笑ってしまう。
「どう?」
「……いいよ、付き合って悟」
そう返事すると満足気に「やっぱり」だなんて言う悟。こうなるとは分かっていたのだろうか。五条悟には敵わないかもしれない。
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