06
「あの、近いんだけど、悟さん」
「あ゛???」
なんだかデジャブを感じる距離の近さだ。
「……傑となに話してた?」
「??いや、いつも通りの会話」
「ふーん」
「……傑と話すのそんなに嫌?」
ピクっと悟の眉間が反応する。もしかして地雷を踏んでしまったのかと内心私も驚く。
「友達だからいいでしょ、別に…」
「友達、ねぇ」
「??なに」
「それ、なまえだけかもよ」
「は、」
それなら傑との関係はなんだというのだ。何だと聞かれればただの同級生だ。それは紛れもない事実なわけだが。
「悟、なんか重い」
「はあ???」
「傑とは友達なんだよ?気にしてたらキリないよ」
「……じゃあ」
「??」
「……俺はなまえのなに」
「なにって」
そんなの彼氏、なんて言おうとするがまだ付き合って間もない初彼に私が素直になれるはずもなく。口が止まってしまう。若干ニヤつき顔の悟の表情を見て素直になる気がどんどんなくなってしまう。
「……ねぇ、これ言わせたいだけでしょ?」
「んなわけないだろ。人聞きの悪い」
「じゃあ言わなくても良くない!?」
「はあ??無理。聞くまで離してやんね」
「なにそれ我儘!!」
「……俺だって不安になんの。言って」
なんだと言うんだこの五条悟は。今まで友達だった彼が彼氏になってなんだか更に心臓に悪い。根負けしてしまうがやはり恥ずかしい。決して悟の目を見て言わないようにする。
「……だよ」
「??聞こえねー」
「彼氏だって言ってんの…」
「!!」
「もー!!いいでしょ!あっち行っ、んん!?」
何かと思えば悟からキスを何回もされる。角度を変えて何回も。長かったり音をたててキスをされる。
「っ、ん、ねぇ、さと、っん」
「……黙って」
逃げる私の顔に手が伸びてくる。顎を持ち上げられると再び何回もキスをされる。こんなの息が持つわけが無い。ぷはっと空気を求めて口を開けるとするりと悟の舌が口の中に入ってくる。
こんなキスなんか知らない。互いに熱を絡めてする大人な行為に息をするのに必死になる。
「っ、ふ、ん」
「っはぁ、」
ようやく終わったかと思えば離れた拍子に繋がる糸がやけに生々しく感じて目を逸らしたくなる。最後に私の頬に唇をあてる悟がやけに色っぽくてぼーっとしてしまう。
「〜っ!」
「っふ、可愛い」
「なっ…!!」
「…よそ見してたらまたするから」
「よ、よそ見って」
「言葉で駄目なら体に教えこもうかなと」
「っ、変態」
「あ゛???もう1回するか?」
「ごめんなさい」
「よろしい」
そう言うといつもの様に笑い合う私達。その一方で苦しんでいる友人がいるだなんてこの頃の私は全然気づきやしなかった。そしてあの日を迎えることになる。
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