あの後轟さんにはおかずを渡して解散という形になった。きっと次の日になればいつものように連絡をとりあえるはずだと思っていたが
一向に轟さんからは昼休憩に入っても連絡がこない。
「はぁ…」
「なーに、ため息ついちゃって。
なまえちゃん今日は元気ないね?」
「あ、先輩……」
「例の想い人?」
先輩には根掘り葉掘り聞かれてしまっておりプロヒーローのショートさんが隣にいるということは伏せて話してはいる。
「あはは、そんなんじゃないですよ」
「そう?でもそのお隣さんなんじゃないの?」
「まあ…その人です」
轟さんに「今日はご飯どうしますか?」という内容のメール文を送るか送らないかの画面のまま葛藤していた。後は送信ボタンを押すだけなのに。
それに気づいた先輩は。
「えい」
「ええ?!」
そ、送信しちゃった…。
「だめよ、悩んでてもアクション起こさなきゃ変わらないもの」
う、大人な意見だ。するとすぐに携帯のバイブ音が鳴り画面を見ると轟さんの表示が。
「は、早い」
「なんだってなんだって?!」
「…今日はいらないそうです」
嫌われちゃったかな、いやいや轟さんはきっとお仕事が忙しいんだ、そうだよ。
落ち込む自分に言い聞かせる。
「なーに、喧嘩しちゃったの?」
「喧嘩っていうか…先日の不審者騒動で迷惑かけちゃって」
「ふーん、それだけかしら」
他に何があるんだろ…そこではっとする。
あの場から逃げるように去ってしまったのがいけなかったのかな。
「そんななまえちゃんに朗報よ」
「?なんですか」
「今日はこの後とあるヒーロー事務所さん達と飲み会なのよ」
「の、飲み会ですか…?」
なんでもうちで開発案件を出したプロダクションが成功しそれを挙げてでの飲み会らしい。
「なまえちゃんも来なさいな」
「そ、そんな場に私が行ってもいいんですか…」
「これも社会勉強の一環よ。勤務終了次第行くからちゃんと残っててね」
るんるんとした先輩を見送り午後の勤務も切り替えてやろうと気合いをいれた。
そういえばどこのヒーロー事務所だろう。
《そんな日もある》
「とりあえず仕事に戻ろう…」