※轟目線
昼休憩になりなまえに連絡を自分から入れるのを迷っていた。
昨日の自分の行動を思い出す。
…なんで体が勝手に動いてたんだろうか。なまえのことを愛しいと守りたいと思ってしまった時から自分が自分じゃなくなる。一体どうしたんだ。
「ショートさん」
「…お疲れ様です」
「今日は帰り飲み会ありますのでお願いしますね」
以前から聞いていた飲み会だ。
ヒーローとは言えど色んな人達からの協力があってでのヒーローだからな。
あまり長居するつもりは無いが今日はなまえには断りのメールを入れておくか…。
そう思い携帯を取り出した時にはメールが来ていた。これじゃあ、タイミングとしては俺が避けている形になってしまうのか。
「……」
一呼吸置いてから「今日はいらない。ごめん」と送る。
一先ずこのまま外回りにいってからどこかで飯を食うかと考えていると再び携帯が鳴る。
「もしもし?轟くん」
「あぁ。緑谷か」
「今日僕と麗日さんでいつもの所に来てるんだけどどうかな?今日は忙しい?」
「いや、見回りついでに飯食おうと思ってた所だ。それなら今から行く」
「あ、じゃあ待ってるね」
携帯を切り事務所から近くの飯屋に向かう。
外に出てみるとすぐに緑谷と麗日が席に座っているのが見える。気づいた2人は俺に手を降ってくれる。俺もそれに応えようと向かう足を早めた。
*
「轟くん!こっちこっち」
「あぁ。待たせた」
「?轟くん今日元気ないね」
「そうか?」
そう言いメニューを見て店員にとろろそばを頼む。
その間にも緑谷と麗日は俺の様子を見ている。
「…どうした」
「昨日大変だったね、朝一で聞いたよ」
「助けた女の子にも怪我なくてよかったね、一安心だよ!」
「…そうだな」
無事ではよかったものの未だにあの時俺が立ち会えてなかったらなまえとは会えなくなってしまっていたのかもしれないとぞっとする。
難しい顔をしてしまっていたのか麗日は俺に言う。
「うーん、その女の子って轟くんが言ってた女の子なん?」
「!!」
「いやぁ、犯人捕まったのも轟くんのアパート付近だしその子も同じアパートって聞いてたし…それに轟くんなんか浮かない顔してるから…」
違かったらごめんねと麗日は言う。
女の勘って言うやつか。当てられて驚いた。
「…いや、合ってる」
「ええ!?」
「その後大丈夫だったん?」
「なんつーか……やらかした」
何事と言わないばかりに2人は顔を見合わせる。
俺は昨日のことを思い出し再び落ち込んでしまう。
「…なあ、緑谷」
「は、はいっ」
「愛しいと思ったり自分の抑えが効かなくなったりするのって…俺は何か病気なのか」
昨日から本当にどうかしている。それともなまえの個性か…?
「と、轟くん…それって」
「恋、だね」
「それってこの前言ってたのか?」
「あ、恋は恋でも魚の鯉じゃないよ。
きっとその人のことが好きなんじゃないかな轟くん」
俺がなまえを……?
「轟くんさ。その子が他の誰かと付き合ったり
他の人と仲良くしている所想像すると嫌な気持ちになったりしない?」
想像…か。考えただけでも嫌な気持ちになる。
「嫌、だな」
「それじゃあ、それってその人のことが好きってことなんじゃないのかな」
好き、か。
何故かその言葉にしっくりと来てしまう。
あぁ、そうか俺はなまえのことが…。
「…緑谷、ありがとな」
「そ、そんな!友達が困ってるなら当たり前だよ」
「私も女心はわかってるつもりだし轟くんへのサポートするからね!アタックしてかんと!」
「アタックか?」
どうゆうことだ?
考えていると注文した蕎麦が運ばれ
しっかりと手を合わせてからいただきますをし蕎麦をずずーっと啜り食べる。
「例えば世間で噂の壁ドン・・はたまた抱きしめたり…」
「?壁…?そういや、昨日無意識に抱きしめちまったな…いきなりはまずいか」
ええ?!と2人の声が合う。
やはりいきなりはまずかったみたいだ。無意識とは言えどなまえには嫌なことだっただろうか。
「と、轟くんやるなぁ…」
「そ、その後は?」
「…あのままじゃきっと」
きっと唇を重ねてただろうな。
……次は自分を抑えなきゃいけないと改めて考える。
「…どんまいだよ!轟くん!」
「そうそう、まだまだこれからだよ!」
「…ありがとな」
緑谷達に話して少し気持ち的に楽になった気がする。
残りの蕎麦を口にかきこみ食べ終えて立つ。
「…悪い。今日このまま見回り行かないとだから先に行く」
「あ、うん!轟くん!」
「??」
「「頑張ってね!」」
思わぬ言葉に笑みが出てしまう。今日は早めに飲み会を切り上げてなまえに会いに行こう。そう決めた。
《この正体は》
「…うまくいくといいね、デクくん」
「うん。僕もそう思うよ。頑張れ轟くん」