その後轟さんと一緒にご飯を食べたり買い物を堪能し日も暮れてきたためお互いの家へと帰るべく帰宅に向かっていた。
その間にも中々轟さん呼びと敬語が抜けない私がいて不機嫌になってしまっている轟さん。私も早々に出来るわけでもなく少しずつ慣れるように努力をしようと決意をする。
「と、轟さ……しょ、焦凍さん」
「……」
「あの」
「……なまえ」
「…はい」
「名前、ちゃんと呼べなかったからなまえから手 握ってもらってもいいか?」
驚きの提案にびっくりしてしまう。轟さ…焦凍さんの顔は悪戯の笑みを浮かべている。差し出される手に恐る恐る自分から手を乗せて繋いでみる。繋いだ手を見ては満足気に私を見る焦凍さん。
「いいな、名前呼ばれるのって」
「そ、そうです?」
「後は敬語だな。気にしなくていい」
「……善処します」
歩きながら話しているとあっという間にアパートの前へと到着してしまう。この時間もお終いかと思うと少し寂しく感じる。
「……飯、なまえの所で食べていってもいいか?」
「あ、大丈夫で…大丈夫。有り合わせになっちゃうけどいい?」
「俺も手伝う」
手を繋いだまま部屋に入ると買った荷物の中から野菜を取りだし準備しようとする。
「…今日は楽しかったな」
ぽつりと声に出して言う。ハッとして慌てて恥ずかしさを消そうと食材を取り出そうとするが焦凍さんが私の手を掴んで離そうとしない。
「??焦凍さん」
「…なまえ」
いつにもなくまっすぐと私を見つめる焦凍さんに心臓がまたうるさくなる。焦凍さんから目が逸らせず私も焦凍さんを見つめる。
「……俺はなまえのことが好きだ」
夢でも見ているのだろうかと目を疑う。
それでも焦凍さんは真っ直ぐ私を見つめている。
「……悪ぃ。我慢できなくなった。
なまえのことが好きだと気づいてから顔を合わせる度になまえのことが好きだって何度も思って苦しいんだ、」
「っ」
嬉しい恥ずかしい色んな感情が出てくるがまさか焦凍さんから言われるだなんて思ってもいなくて。それでも私の心臓はどきどきと止む気配もなく顔には熱が集まっているのがわかる。
「……迷惑だったか」
「そ、そんな!」
「……その顔。少しは期待してもいいのか?」
「っ、わ、私も焦凍さんのことが好き、です」
好きという言葉がこんなにも勇気がいることなんて。ぎこちない言葉でつたえるとあっという間に私は焦凍さんの腕の中にいた。
「しょ、焦凍さ、ん」
「……やべぇな」
「っ、どうしたの」
「嬉しすぎてどうにかなりそうだ」
ぎゅっと抱きしめられる腕に私も応えるように焦凍さんに腕をまわしぎゅっと抱きしめる。どきどきとうるさい心臓と焦凍さんの体温に私の体温が混ざってどきどきが止まらない。
「……俺と付き合ってくれなまえ」
「っ、はい」
初めて見る焦凍さんの笑みに愛しさが込み上げる。こんな人と両思いだなんて夢みたいだ。
体を離した焦凍さんが私の顔を真っ直ぐに見る。その行為ですら恥ずかしくなり咄嗟に焦凍さんから目を逸らしてしまう。
「!!また逸らされた…」
「な、慣れなくて…その、恥ずかしいし、」
「…なんだそれ。可愛い」
「っ、あまりからかわないで」
「?なまえは可愛い。もっと見せてくれ」
逃がさないと言わないばかりに焦凍が私の顔に手を添える。私も覚悟を決めて焦凍さんを見つめる。
「っ、ん」
目が合うと私達はキスをしていた。離れてもまだ足りないと言わないばかりに焦凍さんは私をはなそうとしない。
「……まだ。もう少しだけ」
目を見開くものの私も焦凍さんからのキスを受け止める。何度も何度も繰り返しされるキスに息が持たない。苦しくて離れようとすると「だめだ」と焦凍さんから言われまた再び頭を抑えられて甘いキスがふってくる。
「っ、ふ、焦凍さん」
「わ、悪ぃ」
涙を浮かべるとようやく私が限界だと気づく焦凍さん。少し焦って申し訳なさそうにする姿は相変わらず子犬を連想させられる。
「……嫌だったか?」
「そ、そんな」
「怖がらせるつもりはなかった。なまえが可愛いから止まらなかった…」
次々と出てくる甘い言葉に未だに心臓が鳴り止まない。
焦凍さんは誤解をしやすい。そんな彼に真っ直ぐと言葉で返さなきゃ伝わらないだろうと思い意を決して伝える。
「い、嫌じゃなかったです」
「!!」
「ただ、初めてだったから少しずつでお願いしたいな、」
「……初めてなのか?」
まずい。言葉を間違えてしまったのか初めてという言葉に反応する焦凍さん。
なぜか彼の目の奥がギラギラしているのがわかる。
「え、待って焦凍さ」
「……少しずつ慣れていこうな」
「まっ、ん、んんっ」
嬉しそうな顔を浮かべた焦凍さんは私の言葉を聞く前に私の唇を再び奪う。
熱烈なキスが終わったのは…その20分後になるのだろうか。
《恋に溺れる》
「っ、はぁはぁ」
「ちゃんと口で息しないと苦しいぞ」
「ん、待って」