翻弄





焦凍さんと付き合うことになってからと言うものの変わらぬお付き合いが続くのだろうと思っていた私だが一つだけ違う行動が増え私は悩ませられていた。







「あの、焦凍さん」
「??どうした」
「……近いです」





ご飯を共にした後片付けが終わり焦凍さんの膝の上に。後ろから抱きしめられるように密着している。
そう。距離が近いのだ。嫌なわけではないけど男性経験のない自分からしたら心臓がいくつあっても足りない。






「……嫌なのか」
「っ、嫌じゃなくて…あまりこう密着されると心臓がもたない…!」
「そうだな。震えている。でも無理だ」
「なんで、」
「……夜ぐらいしか一緒に居れない」






そうぎゅっとまた私を抱きしめてくれる焦凍さん。この甘い言葉ですらどきどきして仕方ない。確かに昼間はお互い仕事で終わってからでしか会えないのが現状だ。そんなに会いたいと思ってくれていることが素直に嬉しく思う。





「……それに」
「うん?」
「俺が離したくない」





なんてことを言うんだ。
これでは本当に心臓がもたない。愛しさが込み上げてきて後ろにいる焦凍さんに体を預ける。





「焦凍さんかわいい」
「??どこがだ。俺はなまえが可愛くて仕方ない」
「っ、もう!そういうところが…!!」
「ふ、耳まで赤ぇ」
「……見ないで」





咄嗟に耳に手を当てて見えなくする。が、そんなのは焦凍さんには逆効果で耳に当てていた手を取られて今度は焦凍の手に絡められる。肩には顎を肩に乗せられた感覚がある。気づけば焦凍さんの声が耳元からする。





「…なまえ」
「っ、どうしたの」





こういうときの焦凍さんはきすをしたいときなんだとわかるようになってきた。
それでも彼のきすは長い。それに経験がないと言う割にはきすもうまく、しているうちに酸欠になり挙句最後は変な雰囲気になってしまう。それを知っている私はわざと焦凍さんのところを向かない。






「なまえ」
「ん、なに」




ふにふにと私の唇を手でなぞる焦凍さん。





「こっち向いてくれ」
「……やだ」
「!!なんでだ」
「……焦凍さんまたキス、しようとしてるでしょ」
「……だめか?」




ぎゅっと後ろから抱きしめてくる焦凍さん。今日こそは飲まれてはいけないと自分に言い聞かせる。




「……じゃあ、こっちでいい」





そんな私の思いなど届くはずもなく私の首に唇を這わせキスをし ぬるっとした舌の感触がして思わず声が出てしまう。





「ひゃっ?!しょー、とさん!」
「…こっち向いてくれたら止めてやる」
「わ、わかったからそれ止めて」




それを聞いて満足したのか最後にちゅうと吸われて少し痛みが走る。思わず振り返ると今度は唇にキスをする焦凍さん。心做しか嬉しそうに見える。




「ん、」
「やっとこっち向いたな」





にやりと笑い再びキスを開始した焦凍さん。
彼に翻弄されるのはこれからも続くのだろうと私は意をけして焦凍さんに応える。この後結局また酸欠になるくらいに焦凍さんとキスをし続けた。






《翻弄》


「っ、はぁ」
「……可愛い」
「(なんで焦凍さんは息をあまり乱さないの…!)」