一條くんの本性 02
エントランスを出ると、豪華な長い廊下だった。
壁には燭台にランプが灯されていて、等間隔にまた絵画や壺が飾られている。

「…すごいところだね、ここ」
「そう思うのも最初だけだよ。僕はもう慣れちゃった。」

他愛もない話をしながらエレベーターに乗り、4階で降りる。
蒼生の部屋は4階らしい。408と書かれた部屋の前で立ち止まった。

「…圭太くん、僕の趣味知っても引かないでくれる?」
「うん、勿論。」

人に言えない趣味の1つや2つ誰にだってあると思う。
俺だって脳内でずっと蒼生のことをおかずにしていたことがあるし。
寧ろ、それは俺しか知らないことだと思うと特別感があって嬉しくなる。
どんな趣味でも受け入れよう、そう心から思えた。

「本当に誰にも言わないでね。
…というか、誰にも言えないと思うけど」

後半の言葉は蒼生が鍵を開けた音にかき消されてしまい、聞こえない。
ドアを開けた蒼生が思い出したように振り返る。

「あ、そうだ。中に入ったら、正面の部屋に入って、ソファーに座って待っててくれる?
その他の部屋はちょっと散らかってるから…」
「うん、わかった」

おじゃましますと中に入り、俺は言われた通りリビングのソファーに座る。
リビングは高校生の部屋とは思えない程生活感がなかった。白を貴重としたモデルルームのように見える。
床は落ち着いた色味のフローリングに白いマットが引かれていて、壁紙は汚れ一つ無い白
だ。天井も白く、シャンデリアが煌々と輝いている。
別の部屋で生活しているんだろうか。

「ごめんね、待たせちゃって。ここは両親用に作られたからか、あんまり使ってないんだ。部屋片付けたから僕の部屋で話そう?」

だからこんなに生活感がなかったのかと納得し、蒼生の部屋に向かう。

蒼生の部屋って、どんな部屋なんだろう…
散らかってるからとか言ってたけど多分綺麗な部屋なんだろうな。

蒼生のプライベートの話はまだ聞いたことがなかったからか、変な期待が胸を渦巻く。

4/13
しおりを挟む
ミドル・シフォン