一條くんの本性 05
「逃げちゃだめだよ?」

いきなり膝が上げられ、蒼生の膝が俺の股間を直撃する。

「ガハッ…」

急に急所を膝で蹴られ、グリグリと踏みつけられる。

「いっ…」

痛い、という言葉では表せないくらいの激痛に顔を歪める。

「その顔、たまらないなぁ…ゾクゾクする。
…僕の趣味はね、好きな人を僕の好みに仕立て上げることなんだ。
…圭太くんがそんないい顔するから僕のこんなになっちゃったよ?」

蒼生はまるで触ってみて、と言わんばかりに空いていた俺の手を自身の股間に誘導する。

「っ…」

蒼生のソレはズボンの上からでも熱く、硬く主張していることがわかる。

「だから、もっと良い顔してね?」

蒼生は自身のモノへと導いた俺の手を壁に縫い付ける。そして、一度は離れた膝が再び股間を刺激しはじめた。
先程とは違い、ゆっくり撫でるように膝で俺のものを撫であげる。

「っ…」

痛みではないその感覚に思わず体を仰け反らした。

「…へぇ、素質あるんじゃない?」

期待通りだ、と言わんばかりの顔で嘲笑う蒼生。グリグリと膝を押す力を強めていく。その度に押し寄せてくるある感覚。それは認めたくないものだった。しかし、確実に“それ”はじわじわと下腹部に広がっていく。

「やっぱり感じてるんだ、圭太くん」
「っ!!」

認めたくない台詞を突きつけられ、羞恥で頬が染まる。

違う、俺は…感じてなんかない。これを認めたら変態じゃないか。壁に押さえつけられて股間踏まれて感じてます、なんて…

「あーあ、ここは素直なのにっ!」

グッと力を入れ、股間を踏まれる。

「あっ…」

思いもよらない事に、つい声が出てしまった。聞いたこともない自分の声に驚く。

「ほら、可愛い声でるじゃん。」
「っ…今のは、違…」

なんとかして否定しようとするが、蒼生には通用しない。それどころかニヤニヤと笑われる始末だ。

「ねぇ、本当に嫌なら藻掻くなり僕を蹴るなり出来るでしょ?
…それに圭太くん、片手空いてるよね?どうして何もしないの?」

耳元に唇を寄せ、囁く蒼生。

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