一條くんと開発
あの後、俺は「話はこれだけだよ」と普段の様子に戻った蒼生に何事も無かったかのように帰された。
蒼生のあの告白から数日。
あれは夢だったんじゃないかと思いはじめている俺がいる。
それから一度もあのブラックな蒼生にはなっていない。
それに、今日の昼休みキラキラとした笑顔で愛らしく微笑み、お菓子を頬張っていた。
それは以前と同じ。つまり、蒼生は変わっていないんだ。
「圭太くーん!!帰ろ!」
「うん、今行くよ」
ほら、こうやって言うのもいつも通りかわいい。天使だ。あんなブラックな言動をするのが蒼生だなんて…ありえない。
「あ!そういえば、今日部室の掃除頼まれてたんだった…
悪いんだけど手伝ってくれないかな?」
手を合わせて、上目遣いで目をうるうるさせながら頼み込む蒼生。
そんな顔をされたら断るほうが困難だろう。
「うん、俺に出来るなら任せて!」
蒼生に頼られた、という事実が嬉しくてつい、快諾してしまう。
「よかったぁ!ありがとう圭太くん!
部室は旧校舎近くなんだけど、あそこ僕達くらいしか普段使ってないから、一人で行くの怖くて…」
ほっとした、という顔をする蒼生。
それにしても、旧校舎かぁ…
本校舎から少し距離があるし、使ってるのは写真部くらいだって聞いてるし…
確かに、一人で行くのは俺も怖いかも…
「一人じゃ怖くても二人だし、暗くなる前にさっさと終わらして帰ろう!」
「うん!」
それにしても、蒼生って写真部だったのか。
写真部とかあんまり目立ってないみたいだし、よくわかんないな。
「ねえ蒼生、写真部って普段何するの?」
旧校舎へと向かう廊下を歩きながら尋ねる。
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