第15話 秘密主義

出入り口の暖簾をくぐり抜ける。


「案内、ご苦労様」


と言われたが、迷うことなく出口に辿り着いた。わざわざ、私が来る意味はあったのだろうか。



夜はもう深く、店の提灯と月明かりが彼を映しだした。
以前会った時は気がつかなかったが、明るいとこだとわかる。


透き通るような白い肌に、鮮やかな朱色の髪。
加えて、吸い込まれそうな青。
私の記憶の中にもう1人、似た顔が浮かんだのは気のせいだろうか。




というか、自分の周りは何でこんな顔が整ってる人が多いのか。
つい、まじまじと見てしまい、慌てて視線を落とす。


頭のてっぺんに流れに逆らった毛がゆらりと揺れ……あれ? この人、




「団長、さん? 」
「は? 」



眉毛を歪めて、困惑しているようだ。こういう顔もするなんて、今までの記憶にはなかったので新鮮味を感じる。



「阿伏兎さんが探してました……よ? 」



先ほど教えてもらった名前を出せば、ますます眉をひそめ、イヤそうな顔をしてる。
私は阿伏兎さんとの約束を果たせたので、少しだけ達成感に浸る。


そうだ、とこの際、いろいろ聞いておこうと図々しい考えが頭に浮かぶ。




「あなたは、何者ですか? 吉原の人、ではないですよね……

あと、この前狙われてるのは、私ってどういう意味、」


「ストップ。なまえ、意外と欲張りだね」



人差し指で口元を押さえられ、子どもに言い聞かせるように微笑む。
しかし、その笑みには余計なことは聞かない方が良いという意思が感じられた。




「まぁ、普段は宇宙を飛び回ってるよ。吉原の人間じゃない。
そして、アンタが狙われてるって言ったのは、まだ予測の段階っていうのが正しいかな」



一つ一つ丁寧に答えてくれるが、どこか曖昧というか、煮え切らない返事。
突っ込みたいところはたくさんあるのに、あの微笑みを見たらそれ以上は突っ込めない。




「予測? 」




なんだ、それなら私が狙われてるということに関しては、そんなに心配することもない。
と、安心したのも束の間だった。




「でも、いずれ奴はアンタに近づく。そいつを捕まえる為に、俺は吉原ココに来た」



気の緩んだ私を咎めるように、鼻をギュッと掴まれる。
軽くつままれたのに、涙が出るほど痛い。
悪くもないのについ、すみませんと謝ってしまう。



「だから、アンタを監視することにした」

「え? 」

「なまえのそばにいれば食にも困らないね」




それはもしかして、店のまかないを当てにしてるのだろうか?

TOPへ