27. フラッシュバック



 目の前では、姉様とお得意様があはは、うふふと楽しげに宴をしている。よく見ればここは神威さんが取引? に使っていた部屋だ。


 薄暗い灯りに、欄干から差し込む月明かり。綺麗だな、なんて呑気なことを考えてるくらいだから、この様子なら無事に終わりそう。久しぶりに弾く和楽器も少し楽しい。



「おい、そこの娘たちも一緒にどうだ」



 急に呼ばれ、隣にいた姉様と顔を見合わせる。彼女もこのお客は苦手だと言っていた。
断ったら面倒な事になりそう、姉様と目で瞬時に会話をして、私たちはにこやかな笑顔で、



「ぜひ」



と受け答えをした。お酒を盃いっぱいに注がれ、口につける。酔っ払った顔でじっと飲み干したのか見てくる為、無理やり流し込む。苦い味が口の中に広がった。
 今すぐ水が欲しい……!



「姉様、」
「ちょっと、大丈夫? 上手くやっとくから水でも飲んできな」



 そう告げ、そそくさと座敷をあとにする。お客さんも相当酔ってたし、1人いないところで気づかないだろう。

 廊下に誰もいないことを確認しながら、ヒタヒタと休憩室へと急ぐ。着慣れない着物に胸やお腹が締めつけられて、お酒が逆流しそうだ。走りたいのに、足がもつれる。



「うぅ……」



 唸り声をあげ、廊下の柱に手を置いたその時だった。




「さっきの子だよなぁ」




 角から姿を現したのは、先ほど張見世で私に絡んできた男。ニタニタとさっきと同じ笑みを浮かべてる。




「あの、っ! 」



 背筋を伸ばし、明るく挨拶しようとしたその時だ。近くの部屋の襖を開けて、中に押し込まれる。段差につまずいて私は畳に無様に転がった。パタンと襖が閉じられる音。まさか、閉じ込められた……?



「あの、お客様、」
「さっきは邪魔が入ったけど、今度は大丈夫。さぁ疲れた俺の心をお前の身体で癒やしてくれ…! 」



 私の声は届かない。薄暗い中で確かなのは、男と天井が見えることだけ。口を塞がれて声もあげられない上に、お酒のせいでクラクラする。




「い、やっ」




これは、あの時と同じだ。









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※未成年の方、お酒は20歳になってからですよ!



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